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コロンビアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が更新した2024年最新データによると、コロンビアのヤギ肉生産量は1961年の2,250トンから、1999年にはピークの6,300トンに達し、その後大幅な減少に転じました。2023年のデータでは344トンと、過去60年で最も低いレベルに近い状況です。長期に渡る変化には経済的、社会的、環境的な多様な要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 344
-19.63% ↓
2022年 428
-1.31% ↓
2021年 434
2.29% ↑
2020年 424
-43.39% ↓
2019年 749
15.05% ↑
2018年 651
9.23% ↑
2017年 596
2.94% ↑
2016年 579
69.79% ↑
2015年 341
-14.75% ↓
2014年 400
9.29% ↑
2013年 366
12.83% ↑
2012年 324
4.43% ↑
2011年 311
50.22% ↑
2010年 207
-15.17% ↓
2009年 244
-88.77% ↓
2008年 2,170
-27.17% ↓
2007年 2,980
-12.18% ↓
2006年 3,393
-17.99% ↓
2005年 4,138
-7.62% ↓
2004年 4,479
-6.71% ↓
2003年 4,801
-6.02% ↓
2002年 5,108
-7.83% ↓
2001年 5,542
-16.88% ↓
2000年 6,668
5.84% ↑
1999年 6,300
0.48% ↑
1998年 6,270
2.79% ↑
1997年 6,100
40.23% ↑
1996年 4,350
19.18% ↑
1995年 3,650
1.39% ↑
1994年 3,600 -
1993年 3,600
-5.26% ↓
1992年 3,800
2.7% ↑
1991年 3,700
-11.95% ↓
1990年 4,202
1.01% ↑
1989年 4,160
2.94% ↑
1988年 4,041
16.49% ↑
1987年 3,469
3% ↑
1986年 3,368
13.52% ↑
1985年 2,967
9.97% ↑
1984年 2,698
7.92% ↑
1983年 2,500
2.04% ↑
1982年 2,450
2.08% ↑
1981年 2,400
-1.03% ↓
1980年 2,425
1.89% ↑
1979年 2,380
11.74% ↑
1978年 2,130
0.95% ↑
1977年 2,110
1.2% ↑
1976年 2,085
0.72% ↑
1975年 2,070
-6.76% ↓
1974年 2,220
5.71% ↑
1973年 2,100
-3.67% ↓
1972年 2,180
0.93% ↑
1971年 2,160
3.6% ↑
1970年 2,085
4.25% ↑
1969年 2,000
-4.08% ↓
1968年 2,085
-2.57% ↓
1967年 2,140
-7.96% ↓
1966年 2,325
-3.13% ↓
1965年 2,400
10.34% ↑
1964年 2,175
-11.04% ↓
1963年 2,445
7.24% ↑
1962年 2,280
1.33% ↑
1961年 2,250 -

コロンビアのヤギ肉生産量は、1960年代から1990年代にかけてゆるやかな増加傾向を示していましたが、2000年を頂点に急激に低下しました。1997年から2000年にかけては、世界的な家畜飼育の活性化や地域経済の成長を背景に、ヤギ肉生産量が記録的な水準に達しました。しかし、その後の20年間で深刻な減少を見せ始め、特に2008年から2010年には200トン台という異常な低水準に落ち込みました。その後、ゆるやかな回復が見られたものの、新型コロナウイルスを含む多様な課題により、2023年には344トンと依然として低迷した水準に留まっています。

この長期的な変動には複数の要因が関与していると考えられます。まず、急激な減少が見られはじめた2000年代には、コロンビア国内での気候変動の影響が顕著になり、ヤギの生息環境が悪化した可能性が指摘されています。特に、干ばつや降水量の不安定な変化は、農作物や牧草の供給に大きく影響を与え、家畜飼育の維持を困難にしました。また、農村部のインフラ不足や都市部への移住促進も、ヤギ飼育者の減少につながったと考えられます。

さらに、地政学的な背景も重要です。コロンビアでは長年にわたり地域紛争が続き、特に1990年代から2000年代の内戦には多くの農業活動が影響を受けました。この影響で、農村部の治安が悪化し、ヤギ飼育を含む農業生産活動全般が停滞したとみられます。この結果、長期的には生産者の数が減少し、産業規模が縮小しました。

また、2009年以降の急激な低迷には、世界経済の変動が影響を及ぼした可能性があります。この期間は、世界的な金融危機を受けて輸出入業務が減少し、コロンビア国内消費への影響が深刻化しました。さらに、ヤギ肉市場の価格競争や、大規模酪農への移行などの構造的変化も、伝統的なヤギ肉生産者にとっての課題となりました。

将来を見据えた課題と対策としては、いくつかのポイントが挙げられます。まず、気候変動に対応した持続可能な飼育・生産方法を確立するための技術支援が必要です。例えば、干ばつ耐性のある牧草の普及や、飼育環境の多様化が生産効率を向上させる可能性があります。また、農村部のインフラ整備を進め、農産物の流通を促進することで、生産者がより広範な市場にアクセスできるよう支援することが重要です。

さらに、国内外の市場需要を掘り起こすための政策も必要です。ヤギ肉の栄養価の高さや健康志向に基づいたマーケティングが、都市部や国際市場での需要を喚起する鍵となるかもしれません。同時に、小規模農業への融資制度や補助金を導入し、ヤギ飼育者や家族経営者を支援する政策が重要です。

地政学的な安定が改善されつつある現状を踏まえて、政府主導での産業振興が求められます。具体的には、農村部での教育普及や基盤整備を通じた若年層の農業参加促進、地元行政や国際機関との協力による復興支援プログラムが有効となるでしょう。国際的には、FAOを中心とした技術援助プログラムに主体的に関与することも推奨されます。

結論として、コロンビアのヤギ肉生産量の推移は、単なる農業生産の変化ではなく、気候、経済、社会、そして地政学的リスクが複雑に絡み合った結果を反映しています。今後、コロンビアの農業政策においては、この教訓を踏まえた持続可能で多様性のある産業戦略の策定が急務です。具体的な目標設定と実施を行うことで、ヤギ肉生産業が再び振興の道を歩む可能性があります。