国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コロンビアにおける桃(モモ)・ネクタリンの生産量は、1999年の5,300トンから2023年の26,147トンまで大きな変動を含みつつ増加しています。2005年から2019年にかけて生産量は急激に増加し、特に2014年から2020年の間は30,000トン以上を維持しています。しかし、2021年以降は減少傾向を示しており、2023年は近年のピークである2020年の31,386トンから約5,000トンの減少となっています。
コロンビアの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 26,147 |
-16.48% ↓
|
2022年 | 31,307 |
13.36% ↑
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2021年 | 27,617 |
-12.01% ↓
|
2020年 | 31,386 |
4.49% ↑
|
2019年 | 30,038 |
-0.76% ↓
|
2018年 | 30,268 |
-2.98% ↓
|
2017年 | 31,198 |
6.66% ↑
|
2016年 | 29,249 |
-0.29% ↓
|
2015年 | 29,334 |
0.74% ↑
|
2014年 | 29,118 |
13.81% ↑
|
2013年 | 25,584 |
2% ↑
|
2012年 | 25,083 |
26.37% ↑
|
2011年 | 19,849 |
7.43% ↑
|
2010年 | 18,476 |
-7.75% ↓
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2009年 | 20,028 |
26.93% ↑
|
2008年 | 15,779 |
44.54% ↑
|
2007年 | 10,917 |
-15.59% ↓
|
2006年 | 12,933 |
51.19% ↑
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2005年 | 8,554 |
41.88% ↑
|
2004年 | 6,029 |
0.03% ↑
|
2003年 | 6,027 |
21% ↑
|
2002年 | 4,981 |
-6.91% ↓
|
2001年 | 5,351 |
32.58% ↑
|
2000年 | 4,036 |
-23.85% ↓
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1999年 | 5,300 | - |
コロンビアにおける桃(モモ)・ネクタリンの生産は、近年まで一貫した増加傾向が見られました。1999年の5,300トンという低い生産量からスタートし、2000年代に入ると徐々に増加し、2009年に20,028トン、2013年には25,584トンを記録しました。その後、特に2014年以降の生産量は毎年30,000トン以上を記録し、高水準を維持してきました。この結果、コロンビアは地域全体で果樹生産の重要な役割を担う国として台頭してきました。
しかしながら、2021年以降、桃・ネクタリン生産量に減少傾向が見られることが特徴的です。2021年には27,617トンと減少し、2023年には26,147トンにまで及んでおり、これは2020年の生産量ピークである31,386トンから約16.7%の減少を示しています。これには、さまざまな背景が影響していると考えられます。
まず、気候変動の影響が挙げられます。地球温暖化による気象の変動や極端な気象現象は、生産量の変動に直接的な影響を及ぼす可能性があります。桃やネクタリンは特に気候条件に敏感な作物であり、適切な温度や降水量が確保されない場合に収穫量が大幅に低下する傾向があります。また、2021年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な影響もあったため、サプライチェーンや物流、農業労働力にも負のインパクトが及んでいる可能性があります。
さらに、農業従事者の高齢化や若者の農業離れもコロンビアの農業全般で指摘されており、この傾向が特定の果樹生産にも反映されていると考えられます。また、土地の利用競争や資源の分配の不公正が生産に影響している可能性も排除できません。
対策としては、具体的に以下の分野に取り組むことが考えられます。第一として、気候スマート農業(CSA)の導入が推奨されます。このアプローチは、持続可能な農業の基盤を作りながら、気候変動に適応し、同時に温室効果ガス排出を抑える試みです。農地毎に異なる気象データを収集し、より効率的な灌漑や栽培手法を採用することで、生産の安定性を図ることができます。
次に、地域レベルでの農業協力の促進も重要です。コロンビアはラテンアメリカ全体で果樹生産の中心地として役割を果たしており、周辺国との技術交流や市場拡大を進めることで、農業の競争力を高めることができます。国際レベルでは、各種貿易協定や輸出促進策を活用することで、桃・ネクタリンの国際市場における競争力を向上させることが期待されます。
さらに、農業労働者への教育や技術支援、また若年層への魅力的なインセンティブ制度を設けることで、農業従事者を増やすことも重要です。加えて、政府主導で生産資源の公平な分配や土地利用の最適化を推進することが求められます。
最終的に、生産量の回復と持続的な成長のためには、コロンビア政府と農業分野に関わる企業、さらには国際機関が積極的に連携を図り、総合的な施策を実施する必要があります。特に、輸出向けの高品質な桃・ネクタリンの生産に注力することで、経済の成長につながる可能性もあります。地政学的には、コロンビアはラテンアメリカ市場で安定した地位を獲得する機会を持っており、この優位性を活かしながら次の世代への農業の持続的な発展を目指すことが望まれます。