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コロンビアのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、コロンビアのコーヒー豆の生産量は1961年から2022年の間で大きな変動を見せており、そのピークは1992年の1,100,000トンとなりました。一方で、2011年から2022年にかけての生産量は50万~80万トン台で推移しており、特に2021年には560,340トンと明らかな減少が見られます。この変動には地政学的背景、気候変動、また経済的要因が大きく影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 680,858
2.38% ↑
2022年 665,016
18.68% ↑
2021年 560,340
-32.76% ↓
2020年 833,400
-5.84% ↓
2019年 885,120
8.81% ↑
2018年 813,420
-4.49% ↓
2017年 851,640
4.08% ↑
2016年 818,243
-1.15% ↓
2015年 827,750
13.64% ↑
2014年 728,400
11.52% ↑
2013年 653,160
41.38% ↑
2012年 462,000
-1.4% ↓
2011年 468,540
-12.48% ↓
2010年 535,380
14.22% ↑
2009年 468,720
-31.94% ↓
2008年 688,680
-9.03% ↓
2007年 757,080
4.46% ↑
2006年 724,740
8.63% ↑
2005年 667,140
-1.08% ↓
2004年 674,400
-2.84% ↓
2003年 694,080
-0.4% ↓
2002年 696,840
6.2% ↑
2001年 656,160
2.99% ↑
2000年 637,140
16.54% ↑
1999年 546,720
-28.72% ↓
1998年 766,980
19.42% ↑
1997年 642,239
-4.34% ↓
1996年 671,401
-18.3% ↓
1995年 821,820
13.85% ↑
1994年 721,860
-11.78% ↓
1993年 818,220
-25.62% ↓
1992年 1,100,000
13.32% ↑
1991年 970,740
14.88% ↑
1990年 845,000
27.26% ↑
1989年 664,000
-6.31% ↓
1988年 708,700
8.76% ↑
1987年 651,600
-8.68% ↓
1986年 713,500
10.95% ↑
1985年 643,100
-20.39% ↓
1984年 807,800
5.1% ↑
1983年 768,600
-0.65% ↓
1982年 773,600
-1.1% ↓
1981年 782,200
7.98% ↑
1980年 724,380
1.55% ↑
1979年 713,340
4.41% ↑
1978年 683,220
6.85% ↑
1977年 639,420
32.39% ↑
1976年 483,000
-5.88% ↓
1975年 513,200
9.19% ↑
1974年 470,000
-10.98% ↓
1973年 528,000
22.22% ↑
1972年 432,000
-7.69% ↓
1971年 468,000
-7.69% ↓
1970年 507,000
6.96% ↑
1969年 474,000
-1.25% ↓
1968年 480,000
5.26% ↑
1967年 456,000
-7.32% ↓
1966年 492,000 -
1965年 492,000
5.13% ↑
1964年 468,000
4% ↑
1963年 450,000
-6.66% ↓
1962年 482,100
7.13% ↑
1961年 450,000 -

コロンビアは、長年にわたって高品質なアラビカコーヒーを世界へ供給してきた主要生産国の一つとして知られています。この国のコーヒー生産量は1960年代から1980年代にかけては平均45万~80万トン台で比較的安定していましたが、1977年以降、一時的に大幅に増加し、1992年には1,100,000トンに達しました。この数値は、コロンビアが世界市場におけるその地位を強化していたことを反映しています。しかしその後、急激な減少が見られ、1990年代後半以降、気候変動や農業政策の変化、主要輸出国との競争激化などの影響を受け、年間生産量は安定しない状況が続いています。

特に、コロンビアのコーヒー豆生産量に重大な影響を及ぼしている要因として、気候変動が挙げられます。コーヒー豆の生育には特定の温度帯と降雨量が不可欠ですが、気候変動により降雨パターンが乱れたり、温暖化が進んだことで収量が影響を受けているのが主な要因です。たとえば2011年以降、異常気象やラニーニャ現象などの影響で生産量は著しく減少し、この期間は456,000トン台まで低下した時期もありました。また、近年注目される問題として害虫や病害(特にさび病)の発生率も増加しており、これが品質や収量に不利な影響を与えています。

さらに、地政学的背景も無視できません。コロンビアにおける長引く内戦や政治的不安定さが、農作業環境やインフラ整備を制約し、生産コストの上昇や輸出市場への迅速なアクセスを妨げてきました。また、ブラジルやベトナムといった他国が安価で大量生産可能な品種を拡大させる中、コロンビアは国際市場における競争力を維持することが課題となっています。

2021年のデータによれば、生産量は560,340トンと、前年に比べても大きく減少しました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で農業労働者の不足が深刻化したことも一因です。2022年にはやや改善が見られ、665,016トンとなりましたが、これは依然として過去数十年の平均値と比較すると低調です。

未来に向けての課題として、コロンビアは持続可能な農業への取り組みを加速させる必要があります。具体的には、高収量で気候変動に強い品種の開発と導入、農業生産プロセスの効率化、小規模農家への資金援助と技術支援が重要となります。この地域の売りとなっている「高品質」であるアラビカ品種の特徴を維持しながらも、より変動する環境に対応できる生産体制の構築が求められます。また、国際協力を通じた市場アクセスの拡大や輸送インフラの改善も、経済的発展と産業の再活性化のためには不可欠です。

加えて、気候変動への適応戦略の一環として、国際機関や地域間連携を通じて、防災対策や気象予測システムの導入が必要です。さらに、国内の政治状況の安定化や社会的安全の確保も優先課題となります。これらの課題を克服し、具体的な政策やプロジェクトを実施することで、コロンビアのコーヒー産業は持続的な成長を遂げる可能性があります。コーヒー生産の復興と発展は、コロンビアのみならず、世界の消費者にとっても重要な関心事であると言えるでしょう。