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コロンビアのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データによると、コロンビアのカカオ豆生産量は1960年代から安定した増加傾向を示しました。しかし、2000年代初頭から波動が大きくなり、近年では2017年に89,282トン、2018年に97,978トン、2019年に102,154トンと最高値に達する一方で、2020年以降は再び減少傾向となっています。2022年には62,158トンと、2019年のピーク時と比較して約40%の減少となりました。この長期的なトレンドを分析することで、生産量増減の要因や今後の課題が浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 59,831
-3.74% ↓
2022年 62,158
-4.61% ↓
2021年 65,164
2.76% ↑
2020年 63,416
-37.92% ↓
2019年 102,154
4.26% ↑
2018年 97,978
9.74% ↑
2017年 89,282
57.23% ↑
2016年 56,785
3.63% ↑
2015年 54,798
14.8% ↑
2014年 47,732
2.12% ↑
2013年 46,739
12.16% ↑
2012年 41,670
12.01% ↑
2011年 37,202
-5.9% ↓
2010年 39,534
-11.64% ↓
2009年 44,740 -
2008年 44,740
12.12% ↑
2007年 39,904
13.18% ↑
2006年 35,258
-4.96% ↓
2005年 37,099
-4.27% ↓
2004年 38,753
-7.08% ↓
2003年 41,704
22.65% ↑
2002年 34,002
-5.73% ↓
2001年 36,070
-1.8% ↓
2000年 36,731
-28.66% ↓
1999年 51,485
1.58% ↑
1998年 50,685
0.73% ↑
1997年 50,317
1.37% ↑
1996年 49,635
-12.39% ↓
1995年 56,652
11.91% ↑
1994年 50,624
-11.92% ↓
1993年 57,472
4.77% ↑
1992年 54,857
-5.65% ↓
1991年 58,141
3.54% ↑
1990年 56,153
1.3% ↑
1989年 55,430
2.5% ↑
1988年 54,080
0.75% ↑
1987年 53,680
14.95% ↑
1986年 46,700
9.88% ↑
1985年 42,500
4.42% ↑
1984年 40,700
10% ↑
1983年 37,000
-6.09% ↓
1982年 39,400
2.87% ↑
1981年 38,300
7.28% ↑
1980年 35,700
10.53% ↑
1979年 32,300
4.19% ↑
1978年 31,000
14.81% ↑
1977年 27,000
-7.53% ↓
1976年 29,200
12.31% ↑
1975年 26,000
6.12% ↑
1974年 24,500
6.52% ↑
1973年 23,000
4.55% ↑
1972年 22,000
4.76% ↑
1971年 21,000
10.53% ↑
1970年 19,000
2.7% ↑
1969年 18,500
2.78% ↑
1968年 18,000
5.88% ↑
1967年 17,000
-4.49% ↓
1966年 17,800
4.09% ↑
1965年 17,100
4.27% ↑
1964年 16,400
4.46% ↑
1963年 15,700
4.67% ↑
1962年 15,000
4.9% ↑
1961年 14,300 -

コロンビアのカカオ豆生産は、長年にわたり国の農業経済の重要な一部を担ってきました。1960年代は年間約14,000~19,000トンの生産量から始まり、その後持続的な成長が続いて1980年代半ばには50,000トンを超えました。この拡大は農地開発やカカオ栽培技術の向上が大きく寄与していたと考えられます。しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、生産量の減少が見受けられるようになり、2000年には36,731トンと低迷しました。この時期は内戦や地域衝突が農村部に与えた影響が甚大であり、農業に大きな打撃を与えたとされています。また、カカオ産業への公共投資の不足も、この減少に寄与している可能性があります。

その後、2008年以降になると、生産量は回復しています。この背景には、国内外での需要の増加、持続可能な農業やフェアトレードの推進、さらには政府主導のカカオ生産振興政策の効果が挙げられます。特に2017年から2019年は目覚ましい成長を遂げ、3年間で約15,000トン増加しました。この急成長は、技術の普及や気候の良好な条件、またコロンビア産カカオの品質向上とその輸出振興が要因と考えられます。

しかし、2020年以降ではカカオ生産量が著しく減少に転じている点が際立ちます。この時期には、新型コロナウイルスによるパンデミックがカカオ生産に関わるサプライチェーンに影響を及ぼしました。農家への資材供給や労働力の確保が困難となり、生産活動が制限された結果と考えられます。また、気候変動による異常気象や病害虫の拡大もカカオ豆生産の減少に拍車をかけた要因です。

現在、カカオ産業が直面する主な課題としては、持続可能な栽培の普及、気候変動への適応、ならびに地域分散型の生産基盤の強化が挙げられます。また、輸出市場の拡大とフェアトレードに基づく価格の安定を図ることも重要です。特に、カカオ農家の収益性を改善し、農村地域の社会的安定を図ることは、長期的な生産基盤の確立に欠かせません。

さらに、土地利用に関する地政学的課題にも注目すべきです。農村部の一部では内戦の余波として、違法作物の栽培が広がった過去があります。カカオ栽培への転換を促進する政策や国際協力の枠組みを強化すれば、経済発展と治安向上が同時に実現されるでしょう。

結論として、コロンビアにおけるカカオ豆の生産は過去数十年で大きな浮き沈みを経験してきました。しかし、この産業は依然として大きな可能性を秘めています。国としては、気候変動対応型の農業技術の研究・導入、国内外市場の拡大、支援体制の充実を進めることが求められます。特に、国際連合、非政府組織(NGO)、さらには主要なカカオ輸入国との協力が鍵となるでしょう。この道筋を辿ることで、コロンビアのカカオ産業は再び持続可能で競争力のある成長を遂げることが期待されます。