国際連合食糧農業機関が提供した最新のデータによると、コロンビアにおけるサトウキビの生産量は1961年の約1,339万トンから2023年の約3,241万トンへと増加しています。特に1970年代から1990年代にかけての成長が顕著で、1996年に3,500万トンと最高値を記録しました。しかし、2008年以降には生産量の変動が目立ち、近年のデータでは減少傾向が見られます。この推移は様々な要因の影響を受けており、今後の課題と発展の可能性を探る必要があります。
コロンビアのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 32,415,575 |
-7.49% ↓
|
2022年 | 35,040,528 |
3.15% ↑
|
2021年 | 33,969,118 |
-6.59% ↓
|
2020年 | 36,364,744 |
7.48% ↑
|
2019年 | 33,835,406 |
1.14% ↑
|
2018年 | 33,454,409 |
43.03% ↑
|
2017年 | 23,389,039 |
-32.71% ↓
|
2016年 | 34,759,606 |
-3.82% ↓
|
2015年 | 36,139,166 |
-5.29% ↓
|
2014年 | 38,157,132 |
9.41% ↑
|
2013年 | 34,876,333 |
4.62% ↑
|
2012年 | 33,336,953 |
-4.45% ↓
|
2011年 | 34,889,672 |
7.22% ↑
|
2010年 | 32,538,976 |
-11.34% ↓
|
2009年 | 36,700,000 |
13.62% ↑
|
2008年 | 32,300,000 |
-8.24% ↓
|
2007年 | 35,200,000 |
-5.12% ↓
|
2006年 | 37,100,000 |
-6.9% ↓
|
2005年 | 39,849,240 |
-2.03% ↓
|
2004年 | 40,674,116 |
2.86% ↑
|
2003年 | 39,542,944 |
5.16% ↑
|
2002年 | 37,604,348 |
12.16% ↑
|
2001年 | 33,527,400 |
-1.27% ↓
|
2000年 | 33,959,252 |
1.17% ↑
|
1999年 | 33,568,144 |
-1.27% ↓
|
1998年 | 34,000,000 |
-5.56% ↓
|
1997年 | 36,000,000 |
2.86% ↑
|
1996年 | 35,000,000 |
9.38% ↑
|
1995年 | 32,000,000 |
2.56% ↑
|
1994年 | 31,200,000 |
2.3% ↑
|
1993年 | 30,500,000 |
5.43% ↑
|
1992年 | 28,930,016 |
4.1% ↑
|
1991年 | 27,789,968 | - |
1990年 | 27,790,736 |
4.9% ↑
|
1989年 | 26,491,600 |
2.74% ↑
|
1988年 | 25,784,000 |
3.28% ↑
|
1987年 | 24,964,896 |
0.46% ↑
|
1986年 | 24,850,096 |
-2.03% ↓
|
1985年 | 25,364,400 |
7.93% ↑
|
1984年 | 23,500,000 |
-2.89% ↓
|
1983年 | 24,200,000 |
2.98% ↑
|
1982年 | 23,500,000 |
1.29% ↑
|
1981年 | 23,200,000 |
-11.11% ↓
|
1980年 | 26,100,000 |
5.67% ↑
|
1979年 | 24,700,000 |
7.63% ↑
|
1978年 | 22,950,000 |
11.95% ↑
|
1977年 | 20,500,000 |
-2.84% ↓
|
1976年 | 21,100,000 |
2.93% ↑
|
1975年 | 20,500,000 |
22.02% ↑
|
1974年 | 16,800,000 |
7.69% ↑
|
1973年 | 15,600,000 |
4% ↑
|
1972年 | 15,000,000 |
11.11% ↑
|
1971年 | 13,500,000 |
6.3% ↑
|
1970年 | 12,700,000 |
-4.51% ↓
|
1969年 | 13,300,000 | - |
1968年 | 13,300,000 |
2.31% ↑
|
1967年 | 13,000,000 | - |
1966年 | 13,000,000 |
2.2% ↑
|
1965年 | 12,720,453 |
-9.88% ↓
|
1964年 | 14,115,308 |
11.65% ↑
|
1963年 | 12,642,162 |
-13.17% ↓
|
1962年 | 14,558,900 |
8.65% ↑
|
1961年 | 13,399,200 | - |
サトウキビはコロンビア農業の主要な作物の一つであり、国内の砂糖生産およびエタノール燃料において重要な役割を果たしています。1961年から2023年にかけて、サトウキビの生産量は総じて増加してきました。特に1970年代から1990年代にかけては急激な成長を見せており、1996年には3,500万トンを記録しました。この成長は、農業技術の進歩や市場需要の拡大に起因するとみられます。また、コロンビアの地理的条件はサトウキビ栽培に適しており、安定的な雨量や肥沃な土地が作物の収量向上に寄与してきました。
一方で、2000年代後半以降には生産量の変動が目立つようになりました。特に2008年以降の減少傾向や2017年の大幅な落ち込み(2,338万トン)は注目すべき現象です。この背景には、気候変動の影響による気象条件の悪化、農業従事者の労働条件の変化、新型コロナウイルスの感染拡大による流通の混乱、ならびに地政学的リスクが関係していると考えられます。特に新型コロナウイルスによる国際的な市場需要の変動や供給網の断絶は、大幅な生産不安定性をもたらしました。
また、近年のサトウキビ生産は国内外の政策的影響も受けています。コロンビア国内では、エタノール政策の推進に伴うバイオ燃料需要が一部の農家に経済的な利益をもたらしている一方で、伝統的な砂糖生産との競合も生じています。さらに、近隣諸国との市場競争が強まったことや、気候変動に関連する雨量不足や洪水被害もサトウキビの生産量に影響を及ぼしています。
今後の課題としては、まず気候変動への対応が挙げられます。具体的には、耐性の高い品種の開発や灌漑設備の拡充が求められます。また、農業従事者への支援強化として技術研修や適切な労働条件の整備が必要です。さらに、国内だけでなく国際市場を視野に入れた政策が求められています。他国、特にブラジルやインドといったサトウキビ生産大国との競争に対抗するためには、生産効率の向上やコロンビア産サトウキビのブランド価値を高める施策が必要となるでしょう。例えば、バイオ燃料だけでなく、有機砂糖や特殊用途砂糖の高付加価値製品への注力が考えられます。
地政学的背景としては、コロンビア国内の農地が紛争や違法作物栽培の影響を受けている点に注意が必要です。これにより農地の安定的な利用が困難となり、生産に長期的な悪影響を及ぼしています。政府や国際機関による農地の安定化政策が不可欠であり、周辺地域との協力フレームワークの確立も重要です。
全体として、コロンビアはサトウキビ生産において長い歴史を持つ重要な国ですが、直面する課題も少なくありません。持続可能な農業を実現するための具体的な対策を講じることで、気候変動や市場競争といった問題を克服し、長期的な安定成長を実現する可能性があります。