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コロンビアの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、コロンビアの大麦生産量は、過去数十年間にわたって大きく変動しており、ピークの1979年に136,600トンを記録した一方で、2023年には10,218トンと大幅に減少しています。このデータは、コロンビアの大麦生産が長期的には減少傾向にあることを示しつつも、年ごとで不安定な変動が見られることを明らかにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 10,218
46.92% ↑
2022年 6,955
10.57% ↑
2021年 6,290
2.26% ↑
2020年 6,151
-27.86% ↓
2019年 8,527
-14.76% ↓
2018年 10,004
81.55% ↑
2017年 5,510
-52.27% ↓
2016年 11,545
41.87% ↑
2015年 8,137
-41.32% ↓
2014年 13,868
6.85% ↑
2013年 12,978
56.59% ↑
2012年 8,288
51.38% ↑
2011年 5,475
-53.39% ↓
2010年 11,747
-33.13% ↓
2009年 17,567
59.09% ↑
2008年 11,042
42.85% ↑
2007年 7,730
17.28% ↑
2006年 6,591
-27.24% ↓
2005年 9,058
8.22% ↑
2004年 8,370
20.21% ↑
2003年 6,963
-35.04% ↓
2002年 10,719
90.56% ↑
2001年 5,625
-54.23% ↓
2000年 12,291
1.32% ↑
1999年 12,131
0.04% ↑
1998年 12,126
-36.21% ↓
1997年 19,009
-52.05% ↓
1996年 39,647
-11.76% ↓
1995年 44,930
-22.13% ↓
1994年 57,702
-20.47% ↓
1993年 72,552
29.47% ↑
1992年 56,039
-45.27% ↓
1991年 102,400
1.99% ↑
1990年 100,400
18.68% ↑
1989年 84,600
-12.96% ↓
1988年 97,200
6.11% ↑
1987年 91,600
25.14% ↑
1986年 73,200
21.19% ↑
1985年 60,400
114.18% ↑
1984年 28,200
1.44% ↑
1983年 27,800
-50% ↓
1982年 55,600
-1.42% ↓
1981年 56,400
-48.47% ↓
1980年 109,460
-19.87% ↓
1979年 136,600
14.89% ↑
1978年 118,900
46.25% ↑
1977年 81,300
13.87% ↑
1976年 71,400
-41.38% ↓
1975年 121,800
25.7% ↑
1974年 96,900
18.9% ↑
1973年 81,500
-16.84% ↓
1972年 98,000
-8.58% ↓
1971年 107,200
23.08% ↑
1970年 87,100
6.48% ↑
1969年 81,800
9.36% ↑
1968年 74,800
-21.43% ↓
1967年 95,200
0.21% ↑
1966年 95,000
5.56% ↑
1965年 90,000
-20.81% ↓
1964年 113,649
-3.35% ↓
1963年 117,587
8.88% ↑
1962年 108,000
8.66% ↑
1961年 99,390 -

コロンビアの大麦生産量に関する長期的なデータを見ると、1960年代から1970年代後半にかけては増加傾向が続き、1979年に136,600トンという最大の生産量を記録しました。しかし、その後は急激な減少期を迎え、1981年には56,400トン、1983年にはさらに27,800トンという縮小が見られました。その後も生産量は安定せず、1990年代には5万~10万トン程度で推移しつつも減少傾向にあり、2000年代以降は1万トンを下回る年が続く状況となっています。

生産量の減少背景には、多くの要因が考えられます。一つは、コロンビアの地形や気候条件の影響です。大麦は冷涼な気候を好む穀物であり、熱帯に位置するコロンビアでは生産条件が厳しい地域があります。この気候上の制約が、生産性の向上を阻む一因となっています。また、農業技術の発展や灌漑システムの整備が遅れている可能性もあり、特に他国と比較して生産効率が低いことが生産量の減少を助長していると考えられます。

さらに、経済的要因も無視できません。他国との競争や輸入大麦の台頭が、国内生産の採算性を低下させた可能性があります。コロンビアは他の主要な大麦生産国であるアメリカ、ドイツ、フランス、そして中国などと比較すると、大麦生産に割ける資源と需要のバランスが十分でないと考えられます。一方、都市化の進展や農地の用途転換も、生産減少に影響を与えています。

このような背景にもかかわらず、2023年には10,218トンと、2022年の6,955トンから回復の兆しも見られます。しかしながら、この回復が持続可能かどうかは不明であり、根本的な対策が求められます。他国では、先進的な農業技術を導入し、品種改良や灌漑設備の導入によって生産性の向上を実現している成功例があります。これを参考に、コロンビアでも農地への投資を増やし、特に標高の高い冷涼な地域を活用した効率的な大麦栽培を進めることが重要です。また、周辺諸国との協力を進めて市場アクセスを拡大し、国内消費だけでなく輸出の可能性も模索するべきです。

加えて、気候変動のリスクも無視できません。温暖化の進行が大麦の育成条件にさらに影響を及ぼす可能性があります。これを踏まえ、栽培手法や作物選択の適応戦略を取り入れるべきです。農家への補助金や教育プログラムの充実化も、技術向上と持続可能性への取り組みを支援するための重要な施策といえます。

また、地政学的な視点では、コロンビアは農業国としての一面に加え、地域衝突や治安問題も抱えており、これが農業インフラの整備や投資に悪影響を及ぼしている可能性があります。これらの問題を解消するためには、安定した治安の確保と持続可能な農業政策の推進が必須です。

結論として、コロンビアの大麦生産量は長期的に減少しているものの、回復の兆しも見られるため、持続可能な発展を目指した戦略的な取り組みが必要です。国際的な技術協力や国内の農業改革により、生産力を安定化・向上させることが可能と考えられます。今後、科学的なアプローチと政策支援を組み合わせることで、コロンビアの大麦産業は再び飛躍する可能性を秘めています。