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コロンビアのナス生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点のデータによると、コロンビアのナス生産量は長期間にわたる変動を経て、近年急激な増加が見られています。1960年代から1990年代にかけて緩やかな増減を繰り返した後、2000年代には一時的な急増と減少が織り交ざった状態が続きました。そして2020年には、生産量が16,569トンと過去最高を記録し、その後も高水準を維持しています。これらのデータから、コロンビアのナス生産は地理的条件や政策的要因、さらには外的要因に大きく影響されていると言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,918
9.82% ↑
2022年 13,584
-12.68% ↓
2021年 15,556
-6.11% ↓
2020年 16,569
138.61% ↑
2019年 6,944
22.73% ↑
2018年 5,658
35.46% ↑
2017年 4,177
12.48% ↑
2016年 3,714
8.93% ↑
2015年 3,409
20.83% ↑
2014年 2,821
-19.39% ↓
2013年 3,500
5.27% ↑
2012年 3,325
27.1% ↑
2011年 2,616
15.91% ↑
2010年 2,257
-33.34% ↓
2009年 3,386
-39.42% ↓
2008年 5,589
8.48% ↑
2007年 5,152
37.13% ↑
2006年 3,757
18.33% ↑
2005年 3,175
-5.03% ↓
2004年 3,343
-7.96% ↓
2003年 3,632
93.29% ↑
2002年 1,879
20.37% ↑
2001年 1,561
-46.06% ↓
2000年 2,894
37.81% ↑
1999年 2,100
-6.22% ↓
1998年 2,239
4.05% ↑
1997年 2,152
-1.35% ↓
1996年 2,182
0.45% ↑
1995年 2,172
-0.12% ↓
1994年 2,174
7.31% ↑
1993年 2,026
1.32% ↑
1992年 2,000
100% ↑
1991年 1,000
-68.07% ↓
1990年 3,132
12.58% ↑
1989年 2,782
7.45% ↑
1988年 2,589
0.5% ↑
1987年 2,576 -
1986年 2,576
-11.45% ↓
1985年 2,909
-7.65% ↓
1984年 3,150
-4.55% ↓
1983年 3,300
-2.94% ↓
1982年 3,400
-2.86% ↓
1981年 3,500
1.45% ↑
1980年 3,450 -
1979年 3,450
4.55% ↑
1978年 3,300 -
1977年 3,300
10% ↑
1976年 3,000 -
1975年 3,000
47.06% ↑
1974年 2,040
2% ↑
1973年 2,000
2.04% ↑
1972年 1,960
2.08% ↑
1971年 1,920
2.13% ↑
1970年 1,880
2.17% ↑
1969年 1,840
2.22% ↑
1968年 1,800
2.27% ↑
1967年 1,760
2.33% ↑
1966年 1,720
1.18% ↑
1965年 1,700
1.8% ↑
1964年 1,670
1.21% ↑
1963年 1,650
1.85% ↑
1962年 1,620
1.25% ↑
1961年 1,600 -

コロンビアは地理的に熱帯地域に位置し、豊かな降雨と温暖な気候を有するため、多様な農作物の生産に適した国です。ナスはこの気候条件に適応しやすい作物として、コロンビア国内では安定した生産量を誇る一方で、他国と比較するとそれほど大規模な作物ではありませんでした。1960年代から1970年代にかけて、ナス生産量は毎年わずかな増加を続け、2000トン程度に達していました。この時期は農業の近代化や技術の導入が進み始めた段階と重なり、その効果が生産量に反映されたものと考えられます。

一方で、1980年代中盤から1990年代初頭にかけてコロンビアのナス生産量が急落している現象が見られます。これには国内の社会不安や農業政策の転換が影響を与えたと考えられます。この時期のコロンビアは、麻薬産業の拡大や内戦の影響により、農村部での生産活動が停滞したことが大きな課題でした。その後、1990年代半ばから徐々に生産量は回復し、2000年代以降には3,000〜5,000トンという安定的な水準に達しました。

2020年以降、ナスの生産量が急激に増加している点が特に注目されます。2020年には16,569トンに達し、2019年と比較して約2.4倍の飛躍を遂げました。この増加にはいくつかの要因が考えられます。まず、国内外の需要拡大と輸出市場の強化が挙げられます。特に近年、健康志向の高まりやナスを用いた植物由来食品市場の拡大が影響しています。また、最新の農業技術の導入や灌漑設備の整備、さらには気候変動に対応した品種改良の成功など、国内の農業政策が生産量向上に寄与している点も見逃せません。

しかしながら、この急激な増加には課題も存在します。特に、2021年以降は生産量がやや減少傾向にあり、2022年には13,584トンと2020年から約18%減少しました。この背景には、新型コロナウイルス感染症の影響により物流や供給体制が停滞したこと、肥料や資材の価格高騰などの経済的要因が挙げられます。さらに、急激な生産の増加が一部の地域で土地の過剰利用や環境負荷を増大させた可能性も否定できません。

地政学的視点で考えると、コロンビアは政治的不安定性やインフラ整備の遅れが課題となる一方で、その地理的利点を活かした農業分野での成長が期待されています。また自然災害や気候変動の影響を受けやすい地域であるため、長期的な政策として気候変動への適応能力を高める取り組みが必要です。隣国との協力関係を深め、地域間での技術共有や経済連携を強化することも効果的でしょう。

今後、コロンビア政府および農業団体が取り組むべき課題は、持続可能な農業の実現に向けた方策の構築です。具体的には、ナス生産をエコロジカルな形で拡大するための土地利用計画の策定、有機農法や環境に優しい施肥方法の普及、さらに国内外の市場へのアクセスを拡大するための輸出促進政策の強化が求められます。また、国際的な支援を受けてインフラ整備を進めることで、農業生産の効率化を図ることが可能です。

結論として、コロンビアのナス生産は長い年月にわたる変動を経て、近年大きく成長しています。この成長を持続的なものとするためには、環境への配慮と市場ニーズの的確な反映が不可欠です。国内の政策や国際協力を通じて農業の強化が進められることで、ナス生産は地域経済のさらなる発展に寄与するものとなるでしょう。