国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年、コロンビアのココナッツ生産量は117,678トンを記録しました。この数字は、2020年と2021年における生産のピーク(153,800トンおよび155,081トン)から減少しており、過去数年間の急増傾向から転じて下落基調にあります。この間、生産量は歴史的に見ると幾度かの大幅な変動を伴いながら、全般的には増加傾向にありましたが、2022年以降の減少は特筆すべき変化です。
コロンビアのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 117,678 |
-0.32% ↓
|
2022年 | 118,052 |
-23.88% ↓
|
2021年 | 155,081 |
0.83% ↑
|
2020年 | 153,800 |
5.65% ↑
|
2019年 | 145,578 |
3.8% ↑
|
2018年 | 140,249 |
-1.4% ↓
|
2017年 | 142,235 |
4.66% ↑
|
2016年 | 135,908 |
4.02% ↑
|
2015年 | 130,662 |
0.79% ↑
|
2014年 | 129,633 |
13.01% ↑
|
2013年 | 114,708 |
0.11% ↑
|
2012年 | 114,585 |
1.96% ↑
|
2011年 | 112,380 |
11.15% ↑
|
2010年 | 101,105 |
5.32% ↑
|
2009年 | 96,000 |
-12.05% ↓
|
2008年 | 109,150 |
-0.77% ↓
|
2007年 | 110,000 |
-4.83% ↓
|
2006年 | 115,579 |
7.09% ↑
|
2005年 | 107,927 |
4.72% ↑
|
2004年 | 103,062 |
-1.7% ↓
|
2003年 | 104,847 |
9.38% ↑
|
2002年 | 95,854 |
-3.31% ↓
|
2001年 | 99,132 |
-2.08% ↓
|
2000年 | 101,239 |
-5.03% ↓
|
1999年 | 106,606 |
49.52% ↑
|
1998年 | 71,299 |
-14.11% ↓
|
1997年 | 83,012 |
-12.85% ↓
|
1996年 | 95,253 |
2.47% ↑
|
1995年 | 92,954 |
6.58% ↑
|
1994年 | 87,212 |
24.48% ↑
|
1993年 | 70,059 |
-11.5% ↓
|
1992年 | 79,163 |
-38.94% ↓
|
1991年 | 129,643 |
8.66% ↑
|
1990年 | 119,308 |
34.72% ↑
|
1989年 | 88,560 |
12.86% ↑
|
1988年 | 78,470 |
-11.03% ↓
|
1987年 | 88,200 |
0.23% ↑
|
1986年 | 88,000 |
0.33% ↑
|
1985年 | 87,710 |
-7.7% ↓
|
1984年 | 95,025 |
2.37% ↑
|
1983年 | 92,828 |
16.04% ↑
|
1982年 | 80,000 |
9.59% ↑
|
1981年 | 73,000 |
12.31% ↑
|
1980年 | 65,000 |
18.18% ↑
|
1979年 | 55,000 |
7.84% ↑
|
1978年 | 51,000 |
1.04% ↑
|
1977年 | 50,475 |
18.07% ↑
|
1976年 | 42,750 |
3.26% ↑
|
1975年 | 41,400 |
3.5% ↑
|
1974年 | 40,000 |
3.36% ↑
|
1973年 | 38,700 |
3.2% ↑
|
1972年 | 37,500 |
3.31% ↑
|
1971年 | 36,300 |
3.71% ↑
|
1970年 | 35,000 |
2.94% ↑
|
1969年 | 34,000 |
3.03% ↑
|
1968年 | 33,000 |
3.13% ↑
|
1967年 | 32,000 |
3.23% ↑
|
1966年 | 31,000 | - |
1965年 | 31,000 |
3.33% ↑
|
1964年 | 30,000 |
3.45% ↑
|
1963年 | 29,000 |
3.57% ↑
|
1962年 | 28,000 |
3.7% ↑
|
1961年 | 27,000 | - |
コロンビアにおけるココナッツ生産は、国の農業セクターにおいて重要な役割を果たしており、多くの人々の生計を支えています。データを見る限り、1961年から2021年にかけては概ね上昇トレンドを示してきましたが、この間には時折減少する年も見られました。特に、1990年には119,308トン、その翌年には129,643トンと大きく増加しましたが、1992年には突然79,163トンまで落ち込むなど、激しい推移が特徴となっています。この不安定性は、気候変動の影響、農業政策変化、病害虫の影響、さらには地政学的リスクが絡んでいると考えられます。
2016年以降、輸出需要の増加や生産技術の改良により、ココナッツ生産は再び成長し始め、2020年と2021年には過去最高となる生産量を達成しました。しかしながら、2022年と2023年には急激に生産量が減少しており、118,052トン、117,678トンと連続した低下を記録しています。この減少の背景には、気候変動による生産環境の変化、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発端で生じた労働力不足や供給チェーンの混乱が影響していると考えられます。
また、地域に特有の課題として、政治的不安定やインフラの未整備が生産効率を阻害している可能性も無視できません。一部の産地は交通網が脆弱であり、国内外市場に円滑に供給することが難しい状況です。さらに、栽培技術の過不足や、持続可能性を欠いた農業慣習が生産性に悪影響を与える場合も見受けられます。
今後の政策的対応として、いくつかの具体的な提案が挙げられます。一つは、生産者へ気候変動に対応可能な新たな農業技術の研修を実施し、より適切な栽培手法の普及を図ることです。また、供給チェーンを強化するために道路や貯蔵施設などのインフラ整備を推進し、作物の流通を改善する取り組みが必要となります。特に、国際輸出の競争力を高めるため、これらのインフラは早急な整備が望まれます。
さらに、地政学的リスクにも目を向けるべきです。地域衝突や社会的安定性の欠如は、労働環境だけでなく輸出市場をも脅かす可能性があります。国際的な協力枠組みを活用し、こうしたリスクの緩和に努めることが重要です。加えて、2022年以降の生産量減少の原因をしっかりと分析し、特定作物の柔軟な転換や災害対策プログラムなど具体的な方策を講じる必要があります。
結論として、ココナッツ生産はコロンビアにとって依然として重要な経済要素です。しかし、生産量の不安定さや最新の減少傾向を克服するためには、長期的な視点での政策改善、環境や社会的課題への適切な対応が不可欠です。国際社会の協力を得ながら、持続可能な農業の実現に向けた努力を強化していくことが期待されます。