Skip to main content

コロンビアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が2024年7月に提供した最新の統計データによると、コロンビアの羊肉生産量は1960年代の成長期を経て、1980年代以降停滞と減少を見せ、2000年代初頭には一桁台の生産量にまで急減しました。その後、2015年頃から一時的な回復傾向が見られたものの、2020年以降再び低下しており、2023年には558トンと過去の水準と比較して大幅に低い数値となっています。この推移は、国内外の経済状況や農業構造の変化、地域情勢の影響を強く反映しているものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 558
-7% ↓
2022年 600
4.9% ↑
2021年 572
-5.14% ↓
2020年 603
-43.64% ↓
2019年 1,070
14.44% ↑
2018年 935
7.1% ↑
2017年 873
3.44% ↑
2016年 844
21.61% ↑
2015年 694
28.76% ↑
2014年 539
59.94% ↑
2013年 337
55.13% ↑
2012年 217
-36.69% ↓
2011年 343
11.18% ↑
2010年 309
22.6% ↑
2009年 252
-87.84% ↓
2008年 2,070
-13.5% ↓
2007年 2,393
-14.69% ↓
2006年 2,805
-11% ↓
2005年 3,152
-21.73% ↓
2004年 4,027
-20.25% ↓
2003年 5,050
-6.83% ↓
2002年 5,420
-13.96% ↓
2001年 6,300
-9.09% ↓
2000年 6,930
20% ↑
1999年 5,775
-5.44% ↓
1998年 6,107
-17.42% ↓
1997年 7,395
-6.69% ↓
1996年 7,926
-18.87% ↓
1995年 9,769
-0.28% ↓
1994年 9,797
-0.01% ↓
1993年 9,798
12.61% ↑
1992年 8,701
6.09% ↑
1991年 8,202
-1.18% ↓
1990年 8,300 -
1989年 8,300
-10.43% ↓
1988年 9,266
1.43% ↑
1987年 9,135
0.69% ↑
1986年 9,072
-6.33% ↓
1985年 9,685
0.7% ↑
1984年 9,618
-8.4% ↓
1983年 10,500
7.69% ↑
1982年 9,750
5.98% ↑
1981年 9,200
7.73% ↑
1980年 8,540
1.67% ↑
1979年 8,400
3.7% ↑
1978年 8,100
5.19% ↑
1977年 7,700
6.94% ↑
1976年 7,200
7.46% ↑
1975年 6,700
1.52% ↑
1974年 6,600
4.76% ↑
1973年 6,300
-4.55% ↓
1972年 6,600
-5.71% ↓
1971年 7,000
2.94% ↑
1970年 6,800
7.94% ↑
1969年 6,300
-1.56% ↓
1968年 6,400
6.67% ↑
1967年 6,000
1.69% ↑
1966年 5,900
7.27% ↑
1965年 5,500
10% ↑
1964年 5,000
16.28% ↑
1963年 4,300
10.26% ↑
1962年 3,900
18.18% ↑
1961年 3,300 -

コロンビアにおける羊肉生産量の変遷を見ると、1961年から1983年にかけて生産量は着実に増加し、9,000トン台を超える水準へと成長しました。この増加は、当時の畜産業の拡大や農地の開発が進んだことが要因として挙げられます。しかし、1980年代半ばから1990年代後半にかけては緩やかな減少が記録されています。この背景には、国内外での輸出志向型農業の展開、牛肉や豚肉などの他の畜産物が市場での競争優位を築いたことが影響していると考えられます。

1990年代後半から2000年代初頭においては急激な生産量の減少が顕著です。この時期には羊肉生産量が6,000トン台からわずか2,000トンを切る水準まで落ち込み、2009年には252トンまで減少しています。このような急激な変化には、コロンビア内部における情勢不安や麻薬関連の地域紛争、農村部の生産基盤の崩壊が大きく関与していると推測されます。さらに、同時期に隣国ブラジルやアルゼンチンのような大規模畜産国の影響を受け、羊肉の市場での競争力が著しく低下し、生産者が養羊事業から他の農業活動へと転換する動きも見られました。

2015年以降、生産量は一時的に回復の兆しを示し、2019年には1,070トンと再び年間1,000トン台に乗る値を記録しました。この回復の背景には、政府による農業振興政策や畜産技術の導入の促進が挙げられます。しかし、2020年には新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)による物流の停滞や経済不安が、再びコロンビアの羊肉生産へ負の影響を与えました。その後も生産量は低迷しており、2023年の558トンという値は依然として改善が見られていません。

コロンビアの羊肉生産衰退の背景にある課題は、地政学的リスクや生産者基盤の低下、市場競争力の不足にあります。また、環境変動の影響で放牧可能な土地が縮小していることや、小規模農家における投資余力の限界も大きな要因です。これに加え、国内市場における羊肉の消費が限定的であることが、生産量そのものに抑制的な影響を与え続けているとも考えられます。

今後の対策としては、小規模生産者を支援するための技術的サポートの強化、地域間の協力を通じた共同市場プラットフォームの構築が求められます。また、環境影響を最小限に抑えた形での環境適応型放牧の導入が重要です。さらに、羊肉の消費需要を国内および海外で拡大するために、ブランド化や観光資源を活用したマーケティング戦略を展開することも視野に入れるべきです。

教育や研修を通じて、特に若年層の農業従事者が羊肉生産に関与する意欲を高めることも、持続可能な産業構築に重要です。また、国際金融機関や技術支援組織と連携し、コロンビア政府が農業投資の誘致を図りながら、地域情勢による基盤の不安定化を軽減する政策を設ける必要があります。

データは明確に、コロンビアの羊肉生産が長期的な低迷傾向にあり、外的要因が解決されなければその改善には至らない可能性を示しています。しかし、この状況は適切な政策と計画の実行、そして持続的な経済基盤の構築次第で解消し得る課題でもあります。国際共同の枠組みを活用しながら、新しい可能性を模索する必要があります。