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ポルトガルの馬肉生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ポルトガルの馬肉生産量は1960年代初頭に約2,500トンから始まり、1970年代に減少傾向を示し、2000年代以降はさらに減少してきました。最も顕著な低下は2010年代の前半で一桁台に近い水準となりましたが、2012年や2013年には一時的に543~547トンへ回復する場面も見られました。しかし、その後は再び減少していき、2018年にはわずか180トンという記録的な低水準に達しています。この長期的な下落傾向は、馬肉の需要の変化や、農業や畜産業の構造的な移行を反映している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2018年 180
-19.28% ↓
2017年 223
5.69% ↑
2016年 211
-65.18% ↓
2015年 606
12.22% ↑
2014年 540
-1.28% ↓
2013年 547
0.74% ↑
2012年 543
205.06% ↑
2011年 178
41.27% ↑
2010年 126
-15.44% ↓
2009年 149
-5.1% ↓
2008年 157
-21.5% ↓
2007年 200
-5.21% ↓
2006年 211
-13.17% ↓
2005年 243
-0.82% ↓
2004年 245
-15.52% ↓
2003年 290
-14.96% ↓
2002年 341
-29.25% ↓
2001年 482
29.57% ↑
2000年 372
-20.51% ↓
1999年 468
-21.74% ↓
1998年 598
11.15% ↑
1997年 538
-23.03% ↓
1996年 699
23.72% ↑
1995年 565
-13.21% ↓
1994年 651
-14.9% ↓
1993年 765
-2.42% ↓
1992年 784
-9.36% ↓
1991年 865
-5.88% ↓
1990年 919
-13.95% ↓
1989年 1,068
2.89% ↑
1988年 1,038
-10.75% ↓
1987年 1,163
-6.81% ↓
1986年 1,248
-12.17% ↓
1985年 1,421
-8.85% ↓
1984年 1,559
11.12% ↑
1983年 1,403
37.41% ↑
1982年 1,021
7.59% ↑
1981年 949
-3.36% ↓
1980年 982
0.92% ↑
1979年 973
17.94% ↑
1978年 825
19.74% ↑
1977年 689
-30.26% ↓
1976年 988
-4.73% ↓
1975年 1,037
-9.11% ↓
1974年 1,141
-23.58% ↓
1973年 1,493
-15.03% ↓
1972年 1,757
-17.2% ↓
1971年 2,122
22.73% ↑
1970年 1,729
12.27% ↑
1969年 1,540
7.54% ↑
1968年 1,432
-10.5% ↓
1967年 1,600
-22.03% ↓
1966年 2,052
-15.56% ↓
1965年 2,430
-16.18% ↓
1964年 2,899
14.31% ↑
1963年 2,536
6.11% ↑
1962年 2,390
-4.4% ↓
1961年 2,500 -
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ポルトガルにおける馬肉生産量の推移は、この国の農業・畜産業を取り巻く環境や消費者の嗜好の変化を如実に表しています。1960年代にはおよそ2,500トンという相対的に高い生産量が示されています。しかし、これ以降は全体的な減少が顕著で、2000年代以降には年間200トンを下回る水準にまで落ち込むことが多くなっています。

この減少の背景にはいくつかの要因が挙げられます。まず、ヨーロッパ全体で見られる食文化の変容により、馬肉が主要な食材としての位置を失いつつあることが一つの原因と考えられます。たとえば、ポルトガル以外の西ヨーロッパ諸国においても、馬肉の消費は減少傾向にあります。これは、馬肉に対する需要自体の縮小や消費者の意識の変化、さらには流通や供給の課題などが複合的に絡んでいると考えられます。特にポルトガルの場合、牛肉や豚肉、鶏肉といった比較的価格が安定し、供給が容易な肉類の方が一般消費者に選ばれやすいと言えるでしょう。

地政学的背景も、この動向に影響を与えています。他の国々と比べると、ポルトガルは馬肉生産の国際市場における競争力が低いと言わざるを得ません。地中海地域の他国、たとえばフランスやイタリアと比較しても、ポルトガルの気候や地理的条件は他の畜産業に向きやすい傾向があります。このため、徐々に馬肉生産が他の産業へシフトしていった可能性があります。加えて、ヨーロッパ地域における食品の安全性をめぐる規制強化も無視できません。馬肉は一部の食肉スキャンダルの対象となったことがあり、これが消費者心理に影響を与えた可能性もあります。

一方、2012年から短期間ではありますが馬肉生産量が増加した点は注目に値します。この時期における増加は、EU内部の食肉取引や一定のプロモーション活動による一時的な需要増加が影響している可能性があります。ただし、この回復は長続きせず、直後に再び減少へと転じています。これにより、ポルトガルの馬肉生産量は頭打ち状態からさらに縮小を続ける形となりました。

将来に向けた課題として、ポルトガルの馬肉生産は小規模な伝統的農家が主体であり、このまま需要が縮小を続けると経済的に存続が不可能になるリスクが高まります。産業として存続させるには、より高付加価値の商品展開が求められるでしょう。例えば、観光業との連携で馬肉を用いた伝統料理を訴求することで地域ブランドを強化することが考えられます。また、近年注目されているサステイナブルな生産方法をアピールし、欧州市場における高価格帯商品としてのポジションを確立する可能性も模索すべきです。

このような課題に加え、疫病や自然災害といったリスクについても見逃せません。特に家畜の疫病が発生した場合、輸出制限や国内消費の停滞がさらなる生産量の低下を引き起こす恐れがあります。そのため、国としては獣医学の研究や防疫体制の強化を推進し、安全性を確保することが重要です。また、EUを含む国際的な枠組みの中で、ポルトガルの馬肉産業の競争力を強化する政策が欠かせません。

結論として、ポルトガルの馬肉生産は過去数十年で大幅に縮小し、この傾向は今後も続く可能性があります。しかし、地域の伝統や食文化資源を基盤にしながら、さらなる商品付加価値の向上や海外市場への展開を進めることで、持続可能な発展を模索できる余地があります。そのためには、政府や農業団体の支援、多国間協力による長期的な戦略の策定が必要です。

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