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ポルトガルのナス生産量推移(1961年~2023年)

ポルトガルのナス生産量は過去数十年間にわたり変動が見られ、1977年の4,700トンから2021年には10,160トンと最高値を記録しました。ただし、2022年には再び5,390トンに落ち込みました。長期的には1980年代に増加基調を示した後、1990年代から2000年代にかけて安定した水準で推移し、近年では大きな変動が目立っています。この変動には気候条件や農業政策の変化、経済的・市場的な要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,730
191.84% ↑
2022年 5,390
-46.95% ↓
2021年 10,160
56.31% ↑
2020年 6,500
14.84% ↑
2019年 5,660
-17.37% ↓
2018年 6,850
30.06% ↑
2017年 5,267
3.49% ↑
2016年 5,089
71.48% ↑
2015年 2,968
-52.83% ↓
2014年 6,292
4.73% ↑
2013年 6,008
22.69% ↑
2012年 4,897 -
2011年 4,897
-24.67% ↓
2010年 6,500
-13.33% ↓
2009年 7,500
7.14% ↑
2008年 7,000
7.69% ↑
2007年 6,500
8.33% ↑
2006年 6,000
2.42% ↑
2005年 5,858
1.33% ↑
2004年 5,781
1.2% ↑
2003年 5,713
1.06% ↑
2002年 5,653
-2.54% ↓
2001年 5,800
0.09% ↑
2000年 5,794
0.78% ↑
1999年 5,749
-0.7% ↓
1998年 5,790
-0.89% ↓
1997年 5,842
6.22% ↑
1996年 5,500
-8.82% ↓
1995年 6,032
0.53% ↑
1994年 6,000
9.09% ↑
1993年 5,500
-8.33% ↓
1992年 6,000
-11.76% ↓
1991年 6,800
-5.56% ↓
1990年 7,200
20% ↑
1989年 6,000 -
1988年 6,000
-16.67% ↓
1987年 7,200
12.5% ↑
1986年 6,400
28% ↑
1985年 5,000
4.17% ↑
1984年 4,800
14.29% ↑
1983年 4,200
-4.55% ↓
1982年 4,400
-2.22% ↓
1981年 4,500
2.27% ↑
1980年 4,400
2.33% ↑
1979年 4,300 -
1978年 4,300
-8.51% ↓
1977年 4,700 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データに基づき、ポルトガルの1977年から2022年までのナス生産量推移を分析します。このデータは、ポルトガル国内の農業生産におけるナスの位置づけや農業政策の影響を理解するうえで重要な情報を提供しています。

ナスの生産量は1970年代から1980年代にかけて緩やかな増加を見せ、1986年以降、6,000トンを超える生産量を安定的に記録するようになりました。この時期の増加は、新しい農業技術の導入や国内外需要の拡大によるものと考えられます。しかしながら、1990年代から2000年代にかけては、5,500~6,000トン付近で安定した一方で、生産の伸びは鈍化しました。これは、農地の制約や気候変動の影響、さらには市場競争の激化が生産のさらなる拡大を抑えた要因と見られています。輸出よりも国内消費に依存するポルトガルでは、市場需要が一定であったためにこの範囲内に留まったと言えます。

2000年代後半には再び増加の兆しがあり、2008年と2009年には7,000トンを超えましたが、2010年代前半には再び減少し、特に2015年は2,968トンと大幅な減少を記録しました。この大幅な落ち込みは、当時の異常気象や農家の経済的困難が影響していると考えられます。その後、回復傾向を示し、2018年には6,850トンに達しました。そして2021年には記録的な10,160トンを生産しましたが、この急増の背景には、ポルトガル農業政策の特別な支援策や輸出需要の伸びが影響した可能性があります。しかし、2022年には5,390トンへ急激に減少し、前年からほぼ半減しました。これは気候変動による天候不順や生産コストの上昇が主要因とされています。

ポルトガルのナス生産にはいくつかの課題があります。まず、気候変動の影響は不可避であり、特に乾燥化や極端な気象現象が生産に直接的な打撃を与えています。さらに、農業に従事する人口の減少や高齢化の問題も、長期的な生産能力に影響を及ぼす要因です。また、EU市場での競争は激化しており、同地域の他国、特にスペインやイタリアなどの主要生産国との価格・品質競争がポルトガルの生産にプレッシャーをかけています。

未来を見据えると、いくつかの具体的な対策が提案されます。持続可能な農業技術の導入は、これらの課題を克服する重要な鍵の一つです。例えば、水の効率的な利用や新しい灌漑技術の普及により、生産の安定化が期待されます。また、教育や訓練を通じ若い世代を農業に引き付ける取り組みも重要です。さらに、ナスの有機生産への転換や品種改良を進めることで、競争力を高めることが可能です。輸出市場の拡大に向けて、品質向上とともに、輸出入規制や関税の見直しを含む国際貿易戦略を見直すことも収益の改善に繋がるでしょう。

最後に、EUや国際機関と連携した政策が求められます。気候変動に対する適応策の実施や、加盟国間での協力による農業資源の最適化を目指す取り組みはポルトガル農業の持続性を確保するために不可欠です。これらの努力を進めることで、ポルトガルはさらに安定した生産とともに経済的な利益を享受できる可能性があります。