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ポルトガルのナシ生産量推移(1961年~2023年)

食品農業機関(FAO)が発表した2024年7月のデータによると、1961年から2023年にかけて、ポルトガルのナシ生産量には大きな変動が見られます。近年では、2011年の230,447トンと記録的な生産量を達成したものの、その後は下落と回復を繰り返しており、2023年には118,350トンに留まっています。1960年代から2020年代までの長期的な視点では、生産量は上昇傾向が続いてきましたが、近年の減少には気候変動や農業構造の問題が示唆されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 118,350
-10.53% ↓
2022年 132,280
-41.3% ↓
2021年 225,360
72.03% ↑
2020年 131,000
-34% ↓
2019年 198,470
23.01% ↑
2018年 161,350
-20.23% ↓
2017年 202,277
46.78% ↑
2016年 137,805
-2.39% ↓
2015年 141,186
-32.77% ↓
2014年 210,009
3.72% ↑
2013年 202,483
74.12% ↑
2012年 116,287
-49.54% ↓
2011年 230,447
30.37% ↑
2010年 176,764
-11.64% ↓
2009年 200,040
16.17% ↑
2008年 172,199
22.61% ↑
2007年 140,441
-19.54% ↓
2006年 174,554
34.98% ↑
2005年 129,316
-31% ↓
2004年 187,402
110.62% ↑
2003年 88,975
-29.39% ↓
2002年 126,009
-11.34% ↓
2001年 142,132
-1.16% ↓
2000年 143,805
8.8% ↑
1999年 132,168
10.11% ↑
1998年 120,033
-36.89% ↓
1997年 190,191
71.46% ↑
1996年 110,927
34.05% ↑
1995年 82,748
-37.03% ↓
1994年 131,413
33.93% ↑
1993年 98,120
-2.54% ↓
1992年 100,677
6.45% ↑
1991年 94,573
-0.17% ↓
1990年 94,730
3.6% ↑
1989年 91,438
6.61% ↑
1988年 85,770
-11.15% ↓
1987年 96,530
0.72% ↑
1986年 95,839
67.79% ↑
1985年 57,120
-20% ↓
1984年 71,400
5% ↑
1983年 68,000
-8.97% ↓
1982年 74,700
50% ↑
1981年 49,800
-15.02% ↓
1980年 58,602
18.92% ↑
1979年 49,277
9.12% ↑
1978年 45,158
2.56% ↑
1977年 44,029
-32.28% ↓
1976年 65,014
5% ↑
1975年 61,918
25% ↑
1974年 49,534
-16.36% ↓
1973年 59,220
3.89% ↑
1972年 57,000
65.03% ↑
1971年 34,540
-24.91% ↓
1970年 46,000
-2.6% ↓
1969年 47,230
-19.66% ↓
1968年 58,790
-28.3% ↓
1967年 82,000
90.7% ↑
1966年 43,000
-30.65% ↓
1965年 62,000
29.17% ↑
1964年 48,000
-17.24% ↓
1963年 58,000
38.1% ↑
1962年 42,000
-16% ↓
1961年 50,000 -

ポルトガルのナシ生産は、1961年の50,000トンから始まり、その後、全体として増加傾向を描いています。しかし、各年代での大きな年次変動が特徴的です。1997年には190,191トン、2009年には200,040トン、2011年には230,447トンと大きく増加し、史上最高を記録しました。一方で、2022年と2023年のデータでは、131,000トンおよび118,350トンと顕著な減少が確認され、直近の低迷が課題となっています。

これら生産量の変動の原因を考えると、気候条件、農業技術の採用状況、農地の利用率が重要な要素として挙げられます。特に近年、ポルトガルを含む地中海地域は、気候変動の影響を受けやすい状況にあります。異常気象、長期間の干ばつ、豪雨などが作物生産に影響を与えており、これらがナシ生産量の減少に寄与している可能性があります。また、耕作地の縮小や農村人口の減少といった国内農業の構造問題も一因として考えられます。

国際比較では、ポルトガルのナシ生産量は中国、アメリカや韓国、さらには日本などと比べて規模が小さい状況にあります。特に、中国は世界最大のナシ生産国で、年間約1000万トンを超える生産量を誇っており、規模においてポルトガルを大きく上回ります。一方で、小規模ながらも質の高いナシを生産し、ヨーロッパ市場に供給し続けている点はポルトガルの特長であり、ニッチ市場での存在感を確保しています。

長期的に見た場合、ポルトガルの農業政策においても気候変動への適応策が急務と言えます。具体的には、乾燥地に耐性のある新品種の開発、灌漑設備の近代化、およびスマート農業技術の積極導入が生産アプローチとして挙げられます。例えば、イタリアやイスラエルが取り組む精密農業技術の導入は、生産を安定化させるだけでなく、気候リスクへの対応能力を高める可能性があります。また、欧州連合(EU)との連携をさらに強化し、共同研究や資金支援を活用することも重要です。

未来に向けての課題としては、気候変動に関連する問題だけでなく、ナシという作物のマーケティング戦略にも焦点を当てる必要があります。栽培から収穫、流通に至るまでの効率化を進める一方で、魅力的な商品としての価値を強調することが、ポルトガルのナシ生産業の競争力を高める鍵となるでしょう。

結論として、ポルトガルのナシ生産量の減少は気候的、農業的な要因が深く関わっていると考えられます。新たな技術導入や連携の促進による生産性の向上と環境適応が、持続的発展を支えるための具体的な対策として期待されます。国際連携と地元農家の意識改革を通じて、ポルトガル特産の高品質ナシが、さらなる成長と国際市場での地位向上を果たすことが望まれます。