Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データ(2024年7月更新)によると、ポルトガルのキュウリ類の生産量は、1977年の6,000トンから2023年には11,740トンへと大幅に増加しました。特筆すべきは2020年からの生産量の急増で、2021年には過去最高の14,070トンを記録しました。この増加には農業技術の進展や気候対策が関連し、今後も安定した生産量維持が期待されますが、気候変動や資源の競争が課題となる可能性があります。
ポルトガルのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 11,740 |
-5.85% ↓
|
2022年 | 12,470 |
-11.37% ↓
|
2021年 | 14,070 |
1.37% ↑
|
2020年 | 13,880 |
33.85% ↑
|
2019年 | 10,370 |
12.35% ↑
|
2018年 | 9,230 |
-3.42% ↓
|
2017年 | 9,557 |
-0.81% ↓
|
2016年 | 9,635 |
-8.8% ↓
|
2015年 | 10,565 |
-8.8% ↓
|
2014年 | 11,584 |
60.71% ↑
|
2013年 | 7,208 |
-6.92% ↓
|
2012年 | 7,744 | - |
2011年 | 7,744 |
-26.43% ↓
|
2010年 | 10,527 |
-1.34% ↓
|
2009年 | 10,670 |
-1.19% ↓
|
2008年 | 10,798 |
27.04% ↑
|
2007年 | 8,500 |
6.25% ↑
|
2006年 | 8,000 |
-2.28% ↓
|
2005年 | 8,187 |
2.32% ↑
|
2004年 | 8,001 |
-1.02% ↓
|
2003年 | 8,083 |
-2.99% ↓
|
2002年 | 8,332 |
1.15% ↑
|
2001年 | 8,237 |
-2.34% ↓
|
2000年 | 8,435 |
0.76% ↑
|
1999年 | 8,371 |
-0.08% ↓
|
1998年 | 8,378 |
-2.25% ↓
|
1997年 | 8,571 |
22.45% ↑
|
1996年 | 7,000 |
-4.71% ↓
|
1995年 | 7,346 |
-2.05% ↓
|
1994年 | 7,500 |
7.14% ↑
|
1993年 | 7,000 |
-6.67% ↓
|
1992年 | 7,500 |
-11.76% ↓
|
1991年 | 8,500 |
-5.56% ↓
|
1990年 | 9,000 |
20% ↑
|
1989年 | 7,500 | - |
1988年 | 7,500 |
-16.67% ↓
|
1987年 | 9,000 |
12.5% ↑
|
1986年 | 8,000 |
26.98% ↑
|
1985年 | 6,300 |
5% ↑
|
1984年 | 6,000 |
13.21% ↑
|
1983年 | 5,300 |
-3.64% ↓
|
1982年 | 5,500 |
-3.51% ↓
|
1981年 | 5,700 |
3.64% ↑
|
1980年 | 5,500 |
1.85% ↑
|
1979年 | 5,400 | - |
1978年 | 5,400 |
-10% ↓
|
1977年 | 6,000 | - |
ポルトガルのキュウリ類生産量の動向を検証すると、1970年代から2000年代まで生産量は6,000トン~9,000トンの範囲で安定していました。しかし、2008年以降、生産量が10,000トン以上へと跳ね上がり、また2020年には13,880トン、2021年には14,070トンへと歴史的な増加を見せました。このような増加は、主に農業技術の進歩、温室栽培の普及、そして欧州連合(EU)の農業支援政策によるものと考えられます。特にEUの緑の経済促進政策は、持続可能な農業への投資を促し、収穫効率を向上させました。
生産量の増加には世界的な気候変動も少なからぬ影響を及ぼしていると考えられます。ポルトガルは地中海性気候を持つ国であり、冬場の穏やかな気候はキュウリ類の成長に適しています。しかし同時に近年の干ばつリスクや水資源不足が懸念されています。たとえば、2022年の生産量は12,470トンであり、前年から約1,600トン減少しています。この減少は気候条件が不安定になったことによる影響が含まれていると予測されます。また、生産量が最高値を記録した2021年以降、漸減している点も注視すべきでしょう。
ポルトガルの農業セクターにおいて、キュウリ類は内需の充足および隣国スペインやフランスへの輸出に重要な役割を果たしています。しかし、ポルトガルが位置するイベリア半島は、気候変動が進行する中で水資源の制約を課題として抱えている地域でもあります。長期的には、これらの問題を解消するために適応策が急務となるでしょう。
今後の課題として、まず挙げられるのは水資源管理です。キュウリ類の栽培には適度な水分が必要ですが、干ばつが頻発する現在の環境下では、効率的な灌漑技術の導入が不可欠です。例えば、滴下灌漑(ドリップ灌漑)システムの普及は、水資源の消費削減と生産効率の向上に寄与します。また、気候リスクを回避するためには、地域間協力が重要となります。特にEU加盟国間での気象データの共有や農業支援の拡充は、ポルトガル農家にとって大きな助けとなるでしょう。
さらに、地政学的な観点から見ると、作物生産は国際市場、特にヨーロッパ市場の動向にも影響を受けるため、近年の国際的な供給チェーンの混乱が続くことも考慮しなければなりません。また、将来的には新型ウイルス出現や自然災害のリスクもあります。これに対応するため、農業政策には多様なリスク要因を考慮するための柔軟性が求められます。
結論として、ポルトガルのキュウリ類生産は過去40年で確実に成長を遂げた一方で、水資源や気候変動といった現代的な課題に直面しています。より持続可能で安定した生産量の実現には、農業技術の革新、地域間協力の強化、気候変動への適応策の導入が不可欠といえるでしょう。これに加え、EUと連携した資金援助や教育プログラムの実施も、将来的な対策として望まれるべきです。