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ポルトガルのオート麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データに基づくと、ポルトガルのオート麦生産量は1960年代から2023年にかけて大きく変動し、特に近年では著しい減少が見られます。2023年の生産量は14,620トンであり、データ提供が開始された1961年の64,952トンから約77%減少しています。長期的には、1980年代に一時的なピークを迎えた後、全体として下降傾向にあることが確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,620
-33.15% ↓
2022年 21,870
-44.46% ↓
2021年 39,380
-19.02% ↓
2020年 48,630
-5.66% ↓
2019年 51,550
-10.69% ↓
2018年 57,720
25.87% ↑
2017年 45,856
-30.28% ↓
2016年 65,774
34.31% ↑
2015年 48,971
-27.39% ↓
2014年 67,443
7.68% ↑
2013年 62,632
105.31% ↑
2012年 30,506
-36.78% ↓
2011年 48,255
-27.05% ↓
2010年 66,145
-6.46% ↓
2009年 70,716
-23.49% ↓
2008年 92,422
48.97% ↑
2007年 62,039
-28.78% ↓
2006年 87,108
246.34% ↑
2005年 25,151
-58.98% ↓
2004年 61,317
57.14% ↑
2003年 39,020
-36.52% ↓
2002年 61,466
58.84% ↑
2001年 38,696
-65.57% ↓
2000年 112,395
12.71% ↑
1999年 99,724
247.3% ↑
1998年 28,714
-35.18% ↓
1997年 44,295
-26.76% ↓
1996年 60,480
4.93% ↑
1995年 57,636
-27.24% ↓
1994年 79,217
3.69% ↑
1993年 76,400
69.39% ↑
1992年 45,103
-40.73% ↓
1991年 76,100
5.54% ↑
1990年 72,104
-43.2% ↓
1989年 126,950
55.81% ↑
1988年 81,476
-47.51% ↓
1987年 155,229
1.64% ↑
1986年 152,727
28.48% ↑
1985年 118,870
-21.73% ↓
1984年 151,878
52.84% ↑
1983年 99,372
15.85% ↑
1982年 85,780
19.49% ↑
1981年 71,790
-25.18% ↓
1980年 95,950
38.1% ↑
1979年 69,480
8.57% ↑
1978年 63,994
7.48% ↑
1977年 59,541
-53.01% ↓
1976年 126,714
5% ↑
1975年 120,675
21.72% ↑
1974年 99,141
25.2% ↑
1973年 79,186
-6.62% ↓
1972年 84,800
-32.16% ↓
1971年 125,000
72.78% ↑
1970年 72,348
-8.83% ↓
1969年 79,354
-38.69% ↓
1968年 129,424
16.84% ↑
1967年 110,770
75.02% ↑
1966年 63,291
-35.96% ↓
1965年 98,834
46.16% ↑
1964年 67,622
-31.69% ↓
1963年 99,000
-4.44% ↓
1962年 103,600
59.5% ↑
1961年 64,952 -

ポルトガルのオート麦生産量の推移を見てみると、長期的に変動の激しいパターンが特徴です。1960年代から1970年代にかけてはいくつかの波があり、1976年の126,714トンという比較的高い生産量を記録した一方で、1977年には59,541トンとなり、その後の数年間では概ね70,000~90,000トン前後の範囲で推移していました。1984年から1987年にかけての期間、特に1987年に155,229トンと最高の生産量をマークしたのが、ポルトガルにおけるオート麦生産ピーク期と言えるでしょう。

しかし、1990年代後半からグローバリゼーションや市場競争の激化、さらに農業従事者の減少や農地転用が進んだことによって、生産量は著しく縮小しました。1998年には28,714トンと低迷し、以降も回復の兆しを見せる年もあるものの、概して減少基調が続いています。特に2020年代に入ると、その落ち込みはより顕著となり、2022年と2023年にはそれぞれ21,870トン、14,620トンと記録的な低水準へと下がっています。

この動向は、いくつかの背景的な要因に基づいています。まず、ポルトガル特有の地中海性気候が、オート麦の栽培に必ずしも適しているわけではない点が挙げられます。干ばつの影響も受けやすく、2020年以降の気候変動や異常気象の頻発が、さらなる悪化に拍車をかけていると考えられます。また、農業従事者の高齢化や減少が、労働力確保の観点からも課題となっています。さらに、他国との競争激化に伴い、ポルトガル国内でのオート麦の市場競争力が低下している点も問題です。他国、例えばフランスやドイツなどのヨーロッパの農業大国と比べて、ポルトガルのオート麦生産は規模と効率の面で劣っている状態が続いています。

未来に向けた課題としては、まず持続可能な農業の導入が重要だと言えます。水資源の効果的な管理や、干ばつ耐性を持つ新品種の開発・導入によって、ポルトガルのオート麦生産を安定させる可能性があります。また、EUの農業補助金を活用した設備投資やテクノロジー導入も推奨されます。加えて、地域農業を支える教育プログラムや働き手の再教育を通じた農業人口の増加政策が求められるでしょう。また、ポルトガルの地政学的条件を活用し、周辺国市場や地中海地域への輸出ルートを確保することで、農産物の需要を高めることも検討されるべきです。

結論として、ポルトガルのオート麦生産の減少は、複数の気候的・経済的・人的要因に起因しています。この課題を解決するためには、気候変動への適応策や、生産・輸出の効率を高めるための具体的な政策の実行が不可欠です。国際的な協力や技術支援による多角的な対策を講じることが、ポルトガルにおけるオート麦生産の維持、さらには向上のために重要な鍵となるでしょう。