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ポルトガルのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、ポルトガルのアーモンド生産量は1961年から2023年まで大きな変動を見せています。一部の期間では生産量に低迷が見られる一方、近年は飛躍的な増加を記録しており、特に2023年には69,510トンに達し、過去最高の生産量を記録しています。長期的には、低迷期を経た後の復調が確認でき、効率的な農業技術の導入や気候対応型栽培の成果が伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 69,510
50.39% ↑
2022年 46,220
11.51% ↑
2021年 41,450
31.13% ↑
2020年 31,610
-2.14% ↓
2019年 32,300
49.26% ↑
2018年 21,640
-6.48% ↓
2017年 23,140
165.58% ↑
2016年 8,713
-13.65% ↓
2015年 10,090
11.7% ↑
2014年 9,033
103.17% ↑
2013年 4,446
-38.06% ↓
2012年 7,178
-6.54% ↓
2011年 7,680
9.53% ↑
2010年 7,012
-23.32% ↓
2009年 9,145
24.13% ↑
2008年 7,367
-19.61% ↓
2007年 9,164
-11.52% ↓
2006年 10,357
-11.78% ↓
2005年 11,740
-3.26% ↓
2004年 12,135
-12.17% ↓
2003年 13,817
-22.22% ↓
2002年 17,764
24.47% ↑
2001年 14,272
-14.73% ↓
2000年 16,737
-25.83% ↓
1999年 22,567
-8.99% ↓
1998年 24,796
-38.57% ↓
1997年 40,363
38.08% ↑
1996年 29,232
24.12% ↑
1995年 23,552
-10.9% ↓
1994年 26,433
-39.89% ↓
1993年 43,975
-4.28% ↓
1992年 45,940
-12.87% ↓
1991年 52,728
189.87% ↑
1990年 18,190
-17.17% ↓
1989年 21,960
144% ↑
1988年 9,000
-47.06% ↓
1987年 17,000
17.65% ↑
1986年 14,450
-11.35% ↓
1985年 16,300
-5% ↓
1984年 17,158
-20% ↓
1983年 21,447
19.15% ↑
1982年 18,000
119.51% ↑
1981年 8,200
26.15% ↑
1980年 6,500
62.5% ↑
1979年 4,000
-77.56% ↓
1978年 17,829
54% ↑
1977年 11,577
-39.53% ↓
1976年 19,146
67% ↑
1975年 11,465
-37.05% ↓
1974年 18,214
-24.83% ↓
1973年 24,230
7.78% ↑
1972年 22,480
-6.26% ↓
1971年 23,980
20.44% ↑
1970年 19,910
128.33% ↑
1969年 8,720
-49.89% ↓
1968年 17,400
-8.42% ↓
1967年 19,000
216.67% ↑
1966年 6,000
-57.14% ↓
1965年 14,000
7.69% ↑
1964年 13,000
8.33% ↑
1963年 12,000
-33.33% ↓
1962年 18,000
12.5% ↑
1961年 16,000 -

ポルトガルのアーモンド生産量は約60年の期間で大きな浮き沈みを経てきました。1960年代から1980年代まではおおむね平均15,000~20,000トンの生産量を維持していましたが、自然災害や農業政策の変動によって不安定な推移を見せていました。特に1979年や2007年から2014年にかけては、最低7,000トンを下回る年もあり、生産量が停滞していたことが確認されます。この背景には、農業従事者の減少や土地利用の効率性低下、さらには天然資源管理の課題があったと考えられます。

一方で、21世紀後半からの変化は注目に値します。2017年には23,140トンの生産量を記録し、それ以降、毎年増加傾向を示しました。特に2023年には69,510トンと過去最高を記録しており、この成長は従来の農業技術革新や持続可能な栽培手法の導入だけでなく、ヨーロッパ全域でのアーモンド需要の高まりが影響していると分析されます。気候変動への対応策とともに、大規模な灌漑システムの導入や、耐候性を備えたアーモンド品種の育成が成果を上げた可能性が高いです。

ただし、ポルトガルのアーモンド生産には依然として課題があります。まず気候変動の影響で干ばつや高温が続くリスクです。地中海性気候を持つポルトガルでは、これが収穫期の不安定性や農業従事者の経済的負荷を増大させる可能性があります。また、近年の生産増加は主に輸出市場の拡大に依存しており、国内需要と輸出需要のバランスをどのように最適化するかが問われる課題となるでしょう。

さらに、他の主要アーモンド生産国との競争にも目を向ける必要があります。例えば、アメリカのカリフォルニア州は世界最大のアーモンド供給地ですが、気候変動による水資源の課題に直面しています。一方、オーストラリアやスペインなどは持続可能な農業技術を早期に導入し、競争力を維持しています。このため、ポルトガルは国際市場で地位を高めるためにも、さらなる技術革新や効率性向上、輸送インフラの整備が必要です。

防災面では、森林火災や異常気象といった予測不能な災害がアーモンド生産に与える影響を考慮する必要があります。これらへの対応として、気象データのリアルタイム監視システムや保険制度の充実といった政策的支援が重要です。また、地域農家の教育や協力体制も欠かせない要素となります。

未来に向けた提言としては、まず生産地の気候適応能力を強化するために、耐干ばつ性や高収穫性を備えた栽培品種の開発を挙げることができます。さらに、農業分野におけるデジタライゼーションを推進し、収穫量の予測精度を上げることで、生産効率の向上と収益最大化を目指すべきです。また、複数のヨーロッパ国際市場やパートナーシップを通じた輸出先の多角化により、収益基盤を安定化させる必要があります。地域社会と協力しながら持続可能な農業モデルを構築することも同様に重要です。

アーモンド生産はポルトガルにとって農業部門の中核と言える分野であり、その成長潜在性は高い一方で、不確実な環境要因が強い影響を及ぼします。したがって、短期的利益を追求するだけでなく、長期的視点に立った包括的な農業戦略の策定が求められると言えます。

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