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ポルトガルのサワーチェリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによれば、ポルトガルのサワーチェリー生産量は、1961年の2,556トンをピークに初期の増加を経た後、長期的に一貫した減少傾向を示してきました。特に1990年代後半から2000年代前半にかけて激減し、1997年にはわずか154トンという歴史的な低水準となりました。その後、2010年代前半から生産量は徐々に増加しつつあるものの、2023年の170トンという水準にとどまっています。このデータは、地域的な生産課題や気候条件の変動の影響を浮き彫りにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 170
-10.53% ↓
2022年 190
-17.39% ↓
2021年 230
27.78% ↑
2020年 180
-18.18% ↓
2019年 220
46.67% ↑
2018年 150
-20.45% ↓
2017年 189
0.47% ↑
2016年 188
-1.74% ↓
2015年 191
2.14% ↑
2014年 187
1.08% ↑
2013年 185
105.56% ↑
2012年 90
-4.26% ↓
2011年 94
4.44% ↑
2010年 90 -
2009年 90
66.67% ↑
2008年 54
8% ↑
2007年 50
-13.79% ↓
2006年 58
-7.94% ↓
2005年 63
26% ↑
2004年 50
2.04% ↑
2003年 49
16.67% ↑
2002年 42 -
2001年 42
-60.75% ↓
2000年 107
-13.71% ↓
1999年 124
133.96% ↑
1998年 53
-65.58% ↓
1997年 154
-74.2% ↓
1996年 597
2.93% ↑
1995年 580
-9.38% ↓
1994年 640
-4.48% ↓
1993年 670
-6.94% ↓
1992年 720
-4% ↓
1991年 750
30.21% ↑
1990年 576
-4% ↓
1989年 600
50% ↑
1988年 400
-34.75% ↓
1987年 613
-18.05% ↓
1986年 748
-23.05% ↓
1985年 972
4.97% ↑
1984年 926
-10.01% ↓
1983年 1,029
-6.03% ↓
1982年 1,095
-0.99% ↓
1981年 1,106
-14.99% ↓
1980年 1,301
-7.99% ↓
1979年 1,414
19.02% ↑
1978年 1,188
-13.03% ↓
1977年 1,366
-44.99% ↓
1976年 2,483
38.02% ↑
1975年 1,799
1.47% ↑
1974年 1,773
3.08% ↑
1973年 1,720
-46.58% ↓
1972年 3,220
-6.4% ↓
1971年 3,440
-0.86% ↓
1970年 3,470
32.44% ↑
1969年 2,620
92.65% ↑
1968年 1,360
-32% ↓
1967年 2,000 -
1966年 2,000
-50% ↓
1965年 4,000 -
1964年 4,000 -
1963年 4,000 -
1962年 4,000
56.49% ↑
1961年 2,556 -

ポルトガルのサワーチェリー生産量の歴史的な記録を振り返ると、1960年代から1970年代にかけては、比較的高い生産水準を維持していました。1961年の2,556トンから1960年代半ばには4,000トンに達するなど安定して推移していました。しかし、1970年代後半から顕著な減少を見せ始め、1990年代後半には過去最低水準の154トンを記録しました。その後の生産量も年間100~200トン台を推移しており、かつての数千トンという規模を取り戻すことはありませんでした。

この低迷の要因としては、複数の因子が考えられます。まず、ポルトガル国内の農業生産環境の変化が挙げられます。農業従事者の減少、高齢化、若い世代の農業離れは、ヨーロッパ全体で共通する傾向ですが、特にポルトガルでは土地の小規模化や技術的革新の普及が遅れた背景が影響しています。また、市場の需要が甘い果実を求める傾向にシフトし、サワーチェリーのような酸味の強い果実の人気が低迷したことも無視できません。

加えて、ポルトガルは地中海性気候に属し、降水量や気温の変動が作物の収穫量に直結します。近年、気候変動の影響により、春先の霜害や夏の極端な干ばつが頻発し、サワーチェリーの生育環境が悪化しているとの指摘があります。さらに、2000年代に入ると、欧州連合(EU)の農業政策の影響により、サワーチェリー以外の市場価値の高い作物へ栽培を転換する農家が増加した点も重要です。

2023年時点でも年間170トンと振るわず、他のサワーチェリー生産国と比較してもポルトガルのシェアは低いままです。たとえば、同じヨーロッパでも生産量の多いポーランドやトルコでは数万トン規模で生産されており、ポルトガルとの差は歴然としています。ポルトガル国内の競争力の低さは、産業としての魅力を下げ、結果的に新規参入の妨げにもつながっています。

このような状況を打開するためには、まずサワーチェリーの高付加価値化を目指すべきです。たとえば、健康志向が世界的に高まる中で、ポリフェノールやビタミン類を多く含むサワーチェリーを利用した機能性食品の市場開拓が考えられます。また、観光産業と結びつけることで、地元の果樹園への訪問型ツアーや地域特産品としてのプロモーションを強化するのも効果的です。さらに、農業技術の導入による収量改善や、干ばつや害虫被害への対策の強化も、その持続可能性を高めるための重要課題です。

地政学的にも、ポルトガルはヨーロッパとアフリカ、南米との交易ルートの中心に位置しており、この地理的優位性を利用して輸出市場を拡大する可能性があります。特に新興国市場は、今後のポルトガル産サワーチェリーの輸出促進において大きなポテンシャルを秘めています。また、EUの気候変動対策や農業支援基金を活用し、競争力の高い作物生産を推進するための支援を受けることも検討すべきでしょう。

結論として、ポルトガルのサワーチェリー生産量の推移は、歴史的な低水準からやや回復を見せているものの、依然として多くの課題を抱えています。市場動向の変化、気候リスク、政策支援の不足といった要因を克服するためには、多角的なアプローチが必要です。具体的には高付加価値製品の開発、国内外市場の開拓、そして持続可能な農業技術の導入が鍵を握るでしょう。将来的な発展のためには、地元農家や政策立案者、企業が一体となって取り組む努力が重要です。

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