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ポルトガルのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、ポルトガルのオリーブ油生産量には長期的な変動が見られ、ここ数十年では大きな回復傾向が観測されています。2021年の生産量は過去最高の228,954トンを記録し、2019年や2017年といった近年高水準の年々増加基調が顕著です。このデータは、ポルトガルがオリーブ油の生産国としての地位を再確立しつつあることを反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 228,954
113.98% ↑
2020年 107,000
-30.55% ↓
2019年 154,063
40.77% ↑
2018年 109,443
-25.57% ↓
2017年 147,035
94.14% ↑
2016年 75,737
-30.55% ↓
2015年 109,052
78.94% ↑
2014年 60,944
-33.46% ↓
2013年 91,587
54.92% ↑
2012年 59,117
-22.42% ↓
2011年 76,203
21.12% ↑
2010年 62,914
-7.73% ↓
2009年 68,185
16.08% ↑
2008年 58,742
66.61% ↑
2007年 35,257
-32% ↓
2006年 51,847
62.95% ↑
2005年 31,817
-36.45% ↓
2004年 50,066
37.17% ↑
2003年 36,498
17.55% ↑
2002年 31,050
-11.16% ↓
2001年 34,950
34.56% ↑
2000年 25,974
-44.89% ↓
1999年 47,130
41.93% ↑
1998年 33,207
-14.79% ↓
1997年 38,970
-6.3% ↓
1996年 41,588
-5.37% ↓
1995年 43,950
38.29% ↑
1994年 31,780
-1.61% ↓
1993年 32,300
56.62% ↑
1992年 20,623
-66.48% ↓
1991年 61,520
153.98% ↑
1990年 24,222
-41.01% ↓
1989年 41,064
183.77% ↑
1988年 14,471
-62.97% ↓
1987年 39,080
-23.7% ↓
1986年 51,220
54.3% ↑
1985年 33,195
-30.22% ↓
1984年 47,570
440.57% ↑
1983年 8,800
-88.93% ↓
1982年 79,510
216.65% ↑
1981年 25,110
-28.1% ↓
1980年 34,925
-44.1% ↓
1979年 62,475
42.32% ↑
1978年 43,897
34.98% ↑
1977年 32,520
-16.93% ↓
1976年 39,150
-27.35% ↓
1975年 53,890
2.53% ↑
1974年 52,560
14.89% ↑
1973年 45,750
-22.22% ↓
1972年 58,820
28.48% ↑
1971年 45,780
-37.7% ↓
1970年 73,480
-7.05% ↓
1969年 79,050
36.11% ↑
1968年 58,080
-33.94% ↓
1967年 87,922
112.24% ↑
1966年 41,426
-46.69% ↓
1965年 77,711
72.54% ↑
1964年 45,040
-58.46% ↓
1963年 108,437
87.05% ↑
1962年 57,971
-53.03% ↓
1961年 123,431 -

ポルトガルのオリーブ油生産量推移を見ると、1970年代の長期的な低下、および1980年代から1990年代にかけて断続的な低迷があった一方で、21世紀に入ってから生産量に持続的な上昇傾向が見られることがわかります。特に、2015年以降のデータでは急激な生産量の伸びが確認できます。この傾向は、生産プロセスの近代化や輸出促進政策、そして気候変動の影響がポルトガル特有の農業環境に与えた影響が複合的に作用した結果と考えられます。

過去を振り返ると、例えば1961年は生産量が123,431トンと非常に高水準でしたが、その後数十年間は10,000~40,000トン台という非常に不安定な状態に陥りました。この当時、ポルトガルの農業は工業化の影響と経済的困難に直面しており、オリーブ油の生産がそれに強く影響を受けた可能性があります。これに対し、1990年代末からの持続的な上昇には、EU加盟に伴う農業補助金や持続可能な農業政策による影響が背景として挙げられます。

2021年の生産量(228,954トン)は、それ以前のピークである2019年(154,063トン)や2017年(147,035トン)を大きく超えており、ポルトガルの農業部門にとって大きな節目を示しています。この躍進の要因として、灌漑施設の拡張や耐乾性の高いオリーブ品種への転換、さらなる輸出市場の開拓に向けた促進が功を奏したことが考えられます。これは、国際市場におけるポルトガル産オリーブ油の品質の高さによる評判向上とも関連しています。

しかし、未来を見据えるといくつかの課題が残っています。まず、気候変動による気温上昇と降水量の変動は、依然としてオリーブ栽培に大きなリスクを与えています。過去数十年間の乾燥地域におけるオリーブ栽培への依存は、降雨量の変化や干ばつへの脆弱性を伴うため、今後の生産基盤の安定には新たな灌漑技術の導入や環境保全型農業の推進が必要です。また、地政学的リスクや輸送コストの上昇も輸出市場に負担を与えるため、EU内および第三国の市場との連携強化が必要不可欠です。

加えて、ポルトガルは現在の高水準な生産を維持するために、若手農家の育成や農地の維持を重要課題として取り組む必要があります。他国、特にスペインやイタリアといった伝統的なオリーブ油主要生産国との競争の中で一層の生産技術向上が求められることでしょう。さらに、商品ブランディングと観光戦略を組み合わせることで国内経済への総合的な波及効果を高めることができます。

結論として、ポルトガルのオリーブ油生産は著しい回復を遂げ、このセクターは地域経済と国際的な名声に大きく貢献しています。ただし、気候や地政学的な課題への対処が今後の持続可能な成長の鍵となるでしょう。具体的な対策として、農業技術への投資や環境配慮型政策の採用、国際市場での競争力強化が求められます。また、長期的にはEUや国際機関との協力を通じて、ポルトガルのオリーブ油産業全体の安定基盤を強固なものにすることが必要です。