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ポルトガルの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)が更新した2024年7月時点のデータによれば、ポルトガルにおける桃(モモ)とネクタリンの生産量は、ここ数十年で大きな変動を見せています。1961年から2023年までのデータでは、生産量に幾度かの急増と減少が見られ、ピークは1992年の104,596トン、直近である2023年の生産量は34,580トンとなっています。全体的には近年の生産量は低迷傾向にあり、特に2000年以降の安定性の欠如が特徴といえます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 34,580
5.33% ↑
2022年 32,830
-22.07% ↓
2021年 42,130
21.17% ↑
2020年 34,770
-22.32% ↓
2019年 44,760
5.02% ↑
2018年 42,620
2.34% ↑
2017年 41,646
28.75% ↑
2016年 32,347
-31.03% ↓
2015年 46,899
14.24% ↑
2014年 41,053
79.75% ↑
2013年 22,839
-24.27% ↓
2012年 30,157
-12.64% ↓
2011年 34,520
4.61% ↑
2010年 33,000
-17.58% ↓
2009年 40,040
3.92% ↑
2008年 38,528
-11.72% ↓
2007年 43,641
5.09% ↑
2006年 41,528
-0.26% ↓
2005年 41,637
-9.55% ↓
2004年 46,035
-12.55% ↓
2003年 52,641
-8.49% ↓
2002年 57,523
144.52% ↑
2001年 23,525
-62.95% ↓
2000年 63,492
-11.01% ↓
1999年 71,344
34.36% ↑
1998年 53,099
-36.5% ↓
1997年 83,620
9.6% ↑
1996年 76,296
-14.71% ↓
1995年 89,455
-2.17% ↓
1994年 91,443
-0.11% ↓
1993年 91,542
-12.48% ↓
1992年 104,596
9.95% ↑
1991年 95,131
11.77% ↑
1990年 85,116
-5.56% ↓
1989年 90,123
23.35% ↑
1988年 73,060
-5.69% ↓
1987年 77,471
18.13% ↑
1986年 65,579
127.7% ↑
1985年 28,800
9.04% ↑
1984年 26,413
-31% ↓
1983年 38,280
16% ↑
1982年 33,000
10% ↑
1981年 30,000
-9.12% ↓
1980年 33,012
8.04% ↑
1979年 30,554
-14.42% ↓
1978年 35,701
9.51% ↑
1977年 32,600
-58.86% ↓
1976年 79,251
26% ↑
1975年 62,898
19.6% ↑
1974年 52,592
3.41% ↑
1973年 50,857
-9.28% ↓
1972年 56,060
30.98% ↑
1971年 42,800
20.67% ↑
1970年 35,470
23.8% ↑
1969年 28,650
4.95% ↑
1968年 27,300
-28.16% ↓
1967年 38,000
8.57% ↑
1966年 35,000
-3.58% ↓
1965年 36,300
142% ↑
1964年 15,000
-51.46% ↓
1963年 30,900
43.06% ↑
1962年 21,600
-46.61% ↓
1961年 40,458 -

ポルトガルの桃およびネクタリン生産量は、1961年から2023年の期間にわたり大きな浮き沈みを経験してきました。1961年の40,458トンからスタートし、1992年に104,596トンと過去の最大値に達しましたが、その後は主に減少傾向をたどり、近年では1980年代以前の水準に戻っています。このデータは、ポルトガル農業の変遷を示す重要な指標といえます。

1970年代から1980年代半ばにかけては、生産量が比較的安定して増加しており、機械化の進展や農業政策の支援が寄与したと考えられます。一方、2000年以降は、生産量に明らかなばらつきが生じており、2013年の22,839トンのような急減も見られます。これは天候不順や高齢化した農業従事者の減少、あるいは市場条件の変化といった複数の要因が重なっている可能性があります。

ポルトガルの生産量を国際的に比較すると、日本の桃生産量(おおよそ15万トン前後)や中国(世界最大の約1,500万トン)には大きく下回り、西ヨーロッパの比較対象となるフランスやスペインと比べても生産量は少ない状況です。しかしながら、ポルトガルの気候と土壌の条件は、品質の高い桃やネクタリンの生産を可能にするため、グローバルマーケットでは一定の競争力を持つ可能性があります。

近年の低迷は、生産のみならず農業全体における課題を浮き彫りにしています。例えば、気候変動の影響で収穫期に異常気象が発生し、生産効率が低下していることが考えられるでしょう。また、農業従事者の高齢化や若年層の参入不足も主要な問題点です。さらに、輸出市場での競争力を高めるには、品質向上や販路拡張が必要となるでしょう。

これらを踏まえ、ポルトガル政府および国際社会が採るべき対策として以下が挙げられます。まず、気候変動への適応策として灌漑技術の改善や耐候性のある品種研究が重要です。また、農業従事者への補助金や若年層の新規参入を奨励する政策が不可欠です。さらに、輸出市場を開拓するためのマーケティング支援や物流インフラの強化も進めるべきです。

地政学的観点では、EU内部での農産品競争や、ポルトガルが他国と締結している自由貿易協定が影響を与える可能性があります。これに加え、2020年以降続いた新型コロナウイルスのパンデミックは、国際的な物流の停滞や市場価格の変動を引き起こしました。このような外的要因も、ポルトガルの生産量を左右する要因となっています。

結論として、ポルトガルの桃およびネクタリン生産は、過去には高い成果を上げていたものの、近年は課題を抱えています。このトレンドを転換するためには、政策的支援、革新的な農法導入、および国際市場での競争力強化が不可欠です。ポルトガルの特有の地理的および気候条件を活かしつつ、持続可能な農業の確立に向けた具体的な施策が必要です。