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ポルトガルのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の2024年7月のデータによると、ポルトガルのオリーブ生産量は2021年に過去最高の1,375,750トンを記録しました。同時に、長期的な生産量推移を観察すると、年間および世代間での生産量の大きな変動が見られることが特徴的です。特に1960年代から1980年代にかけての減少傾向、2010年代後半から2020年代の大幅な増加傾向が顕著です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,194,990
50.95% ↑
2022年 791,660
-42.46% ↓
2021年 1,375,750
87.09% ↑
2020年 735,350
-21.69% ↓
2019年 939,070
27.15% ↑
2018年 738,550
-15.71% ↓
2017年 876,215
84.08% ↑
2016年 476,003
-34.15% ↓
2015年 722,893
58.75% ↑
2014年 455,374
-30.13% ↓
2013年 651,741
51.6% ↑
2012年 429,922
-17.29% ↓
2011年 519,780
16.73% ↑
2010年 445,301
5.28% ↑
2009年 422,978
22.97% ↑
2008年 343,971
62.84% ↑
2007年 211,230
-43.22% ↓
2006年 372,012
76.25% ↑
2005年 211,070
-32.2% ↓
2004年 311,330
27.66% ↑
2003年 243,865
9.21% ↑
2002年 223,298
-3.85% ↓
2001年 232,250
33.16% ↑
2000年 174,418
-47.55% ↓
1999年 332,563
42% ↑
1998年 234,194
-26.67% ↓
1997年 319,365
12.41% ↑
1996年 284,118
-11.14% ↓
1995年 319,752
37.7% ↑
1994年 232,210
-6.55% ↓
1993年 248,485
58.14% ↑
1992年 157,125
-64.58% ↓
1991年 443,633
124.41% ↑
1990年 197,686
-40.24% ↓
1989年 330,795
155.05% ↑
1988年 129,700
-55.38% ↓
1987年 290,675
-18.32% ↓
1986年 355,878
48.22% ↑
1985年 240,095
-33.92% ↓
1984年 363,342
300.63% ↑
1983年 90,692
-82.84% ↓
1982年 528,554
218.63% ↑
1981年 165,881
-29.69% ↓
1980年 235,923
-42.43% ↓
1979年 409,780
26.46% ↑
1978年 324,050
39% ↑
1977年 233,132
-16.11% ↓
1976年 277,891
-17.09% ↓
1975年 335,161
-1.25% ↓
1974年 339,412
18.82% ↑
1973年 285,660
-29.65% ↓
1972年 406,029
37.05% ↑
1971年 296,266
-34.74% ↓
1970年 454,002
-12.02% ↓
1969年 516,000
36.87% ↑
1968年 377,000
-33.86% ↓
1967年 570,000
110.64% ↑
1966年 270,607
-52.53% ↓
1965年 570,000
84.47% ↑
1964年 309,000
-60.89% ↓
1963年 790,000
113.51% ↑
1962年 370,000
-57.32% ↓
1961年 867,000 -

ポルトガルのオリーブ生産量データは、気候変動や技術革新、農業政策の影響を受けながらも、長期的視点で注目すべき変化を示しています。

まず、歴史的な視点で見ると、1961年に約867,000トンの生産量を記録したものの、その後1980年代にかけて大幅な減少が確認されました。この時期には、1970年代における政治的不安定や農地の再編、さらには気候要因が影響した可能性があります。1981年には165,881トンという最低値となり、ポルトガルのオリーブ産業は一時的な停滞を余儀なくされたようです。同時期、地中海地域の多くの国々が新たな農業技術の導入を進める中、ポルトガルはその波に乗り遅れたという背景も考えられます。

しかし2000年代に入り、特に2010年以降、ポルトガルのオリーブ生産量は回復の兆しを強く見せ始めました。この復興の鍵となったのが、近代的な農業技術の導入とヨーロッパ連合(EU)による農業支援政策です。高度な灌漑システムや新しいオリーブ品種が導入され、効率的な収穫が可能となりました。その結果、2017年には876,215トン、2019年には939,070トン、そして2021年には1,375,750トンと、驚異的な成長を遂げました。

しかしながら、この急激な増産には幾つかの課題が伴っています。一つには気候変動の影響が挙げられます。ポルトガルを含む地中海地域では、干ばつや異常気象が拡大しており、将来的にオリーブ生産に深刻な影響を与える懸念があります。例えば、2020年と2022年では、生産量が735,350トンおよび791,660トンと比較的低下し、これは干ばつの影響を反映している可能性があります。

さらに、農地集約化が進む一方で、環境影響への懸念も指摘されています。大規模なオリーブ農園の拡張により、生物多様性への影響や土壌劣化が問題視されています。

持続可能な未来を実現するためには、以下の具体的な対策が求められます。まず、地元農家への技術支援と教育プログラムを通じて、効率的かつ環境に優しい農業技術の普及を進めるべきです。また、気候変動に対応した耐乾性のあるオリーブ品種の開発や、灌漑システムのさらなる改良が重要です。さらにEUや他国との国際協力により、農業の持続可能性に関する研究と対策を強化する必要があります。

また、地政学的な視点からも注目が必要です。ポルトガルは地中海沿岸国として、オリーブオイルの主要輸出国の一つとなっていますが、国際市場における競争が激化しています。スペインやイタリアに加え、近年ではトルコや北アフリカ諸国も低コストでの生産を進めており、ポルトガルは品質の向上やブランド力の確立を進めることが戦略上重要です。

結論として、ポルトガルのオリーブ生産は過去の低迷から劇的な復活を果たしており、これを今後さらに発展させるポテンシャルがあります。しかし、気候変動や環境保護、国際競争といった課題に直面しており、その対応が鍵となるでしょう。EUや国際機関との連携を強化しながら、持続可能で生産性の高い農業を目指す取り組みが求められています。この方向性を確立できれば、ポルトガルはオリーブ生産の先進国としての地位をさらに確保できるでしょう。