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ポルトガルの茶葉生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ポルトガルの茶葉生産量は1960年代には一定の増加傾向を示していましたが、1970年代以降減少に転じ、その後は大幅に変動を伴いながら減少傾向が続いています。1961年には128トンだった生産量は、ピーク時の1968年には500トンに達しました。以降長期にわたり生産量が減少し、2017年には78トンに留まる結果となっています。このデータからは、ポルトガルの茶葉産業における歴史的な興隆と、それに続く衰退のトレンドが読み取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 78
-6.59% ↓
2016年 84
-6.35% ↓
2015年 89
45.39% ↑
2014年 62
6.25% ↑
2013年 58
1.37% ↑
2012年 57
-17.86% ↓
2011年 70
-42.05% ↓
2010年 120
-3.98% ↓
2009年 125 -
2008年 125 -
2007年 125
8.7% ↑
2006年 115
2.68% ↑
2005年 112
-10.4% ↓
2004年 125
7.76% ↑
2003年 116
10.48% ↑
2002年 105
-0.77% ↓
2001年 106
3.58% ↑
2000年 102
-14.87% ↓
1999年 120
400% ↑
1998年 24
-4% ↓
1997年 25
-60.32% ↓
1996年 63
-23.17% ↓
1995年 82
105% ↑
1994年 40
90.48% ↑
1993年 21
-69.57% ↓
1992年 69
-46.51% ↓
1991年 129
-29.89% ↓
1990年 184
-7.07% ↓
1989年 198
4.76% ↑
1988年 189
2.16% ↑
1987年 185
-7.04% ↓
1986年 199
36.3% ↑
1985年 146
-19.78% ↓
1984年 182
-21.21% ↓
1983年 231
36.69% ↑
1982年 169
-11.05% ↓
1981年 190
-15.56% ↓
1980年 225
-29.47% ↓
1979年 319
0.31% ↑
1978年 318
19.1% ↑
1977年 267
10.33% ↑
1976年 242
-6.92% ↓
1975年 260
-13.33% ↓
1974年 300 -
1973年 300
-25% ↓
1972年 400
33.33% ↑
1971年 300 -
1970年 300
-25% ↓
1969年 400
-20% ↓
1968年 500
25% ↑
1967年 400
14.29% ↑
1966年 350
16.67% ↑
1965年 300 -
1964年 300 -
1963年 300
20% ↑
1962年 250
95.31% ↑
1961年 128 -
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ポルトガルにおける茶葉生産の推移を見ると、1960年代から1970年代初頭までは比較的安定した成長が見られました。特に1961年から1968年にかけて、生産量は128トンから500トンに増加しています。これは、当時の農業技術の進歩や、生産性向上を目指した土地利用の最適化が影響したものと考えられます。しかし1969年以降、徐々に生産量が減少し始め、1975年には再び260トンという低い水準に戻り、その後も不安定な推移をたどります。1980年代になると、生産量は200トンを下回り、さらに減少傾向が加速しました。1993年にはわずか21トンという大幅な最低値に達し、その後も一部で回復傾向が見られながら、2017年には78トンに留まりました。

この背景には複数の要因があると考えられます。一つ目は国内での茶葉の需要と供給の変化です。お茶の習慣が強いアジア諸国と異なり、ポルトガルではコーヒーがより嗜好されるようになり、茶産業の需要基盤が縮小しました。二つ目は、国際的な競争激化や輸入品との価格競争です。たとえば、インドやスリランカ、中国といった主要茶生産国に比べて、ポルトガルは気候条件や土地生産性で劣勢に立ち、生産コストの高さが競争を難しくしている可能性があります。さらに、地政学的な要因や農地転用に関する政策の影響も、生産衰退の一因と推察されます。

気候変動も無視できない課題です。茶葉生産に適した気象条件(一定の降水量や穏やかな気温)が変化することで、収穫量が不定期になり、品質にも影響を与えます。この点については、近年各地で注目されているスマート農業や、気候適応型の作物栽培技術の導入が重要です。

これらの課題解決に向けて、ポルトガルの茶葉産業が取るべき対策は多岐にわたります。まず、国際競争力を上げるためには品質重視の生産へ転換し、有機栽培や地域固有のブランド価値を追求することが有効です。イギリスやフランスのように高級茶の市場をターゲットにした輸出戦略も有望です。また、国内の消費を促進するためには、マーケティングキャンペーンなどによって「飲茶文化」を再定義し、現代のライフスタイルに合った提供方法を探ることも考えられます。

さらに、政府や国際機関が主導して持続可能な産業発展への道筋を設ける必要があります。その他の事例として、インドがTea Board of India(インド紅茶協会)を通じて行う国際プロモーションや、韓国が高付加価値茶製品を生産することで成功した事例が参考になるでしょう。地域間協力の枠組みや、適用可能な技術の共有も、成功の鍵となります。

結論として、この50年以上にわたる茶葉生産量の推移は、ポルトガルの茶産業が直面している困難のみならず、農業政策の転換や国際市場の動向が地域産業に与える影響の複雑さを示しています。今後、持続可能な農業や輸出拡大、国内消費の推進といった多面的なアプローチを講じることで、この産業の再活性化が図られることが期待されます。

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