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ポルトガルのほうれん草生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月最新データによると、ポルトガルにおけるほうれん草の生産量は1977年の12,000トンからスタートし、その後40年以上の間に一定の変動を見せてきました。特に1986年から1991年の間、年平均約16,000~18,000トンというピークを記録しましたが、近年では2016年以降6,000トン前後と減少が顕著です。一方、2021年の15,760トンは近年における異例の生産量となり、2022年には再び大幅に縮減しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,290
-16.03% ↓
2022年 6,300
-60.03% ↓
2021年 15,760
77.28% ↑
2020年 8,890
13.83% ↑
2019年 7,810
12.37% ↑
2018年 6,950
6.96% ↑
2017年 6,498
13.82% ↑
2016年 5,709
-42.48% ↓
2015年 9,925
-17.51% ↓
2014年 12,032
46.61% ↑
2013年 8,207
-12.45% ↓
2012年 9,374
18.88% ↑
2011年 7,885
-37.37% ↓
2010年 12,589
-23.7% ↓
2009年 16,500
11.12% ↑
2008年 14,849
-7.19% ↓
2007年 16,000
6.67% ↑
2006年 15,000
4.68% ↑
2005年 14,329
0.63% ↑
2004年 14,240
1.07% ↑
2003年 14,089
-1.55% ↓
2002年 14,312 -
2001年 14,312 -
2000年 14,312
0.97% ↑
1999年 14,174
-0.71% ↓
1998年 14,276
-0.82% ↓
1997年 14,394
2.82% ↑
1996年 14,000
-6.34% ↓
1995年 14,948
-0.34% ↓
1994年 15,000
7.14% ↑
1993年 14,000
-6.67% ↓
1992年 15,000
-11.76% ↓
1991年 17,000
-5.56% ↓
1990年 18,000
20% ↑
1989年 15,000 -
1988年 15,000
-16.67% ↓
1987年 18,000
12.5% ↑
1986年 16,000
26.98% ↑
1985年 12,600
3.28% ↑
1984年 12,200
16.19% ↑
1983年 10,500
-4.55% ↓
1982年 11,000
-3.51% ↓
1981年 11,400
3.64% ↑
1980年 11,000
1.85% ↑
1979年 10,800 -
1978年 10,800
-10% ↓
1977年 12,000 -

ポルトガルのほうれん草生産量の推移をみると、初期(1970年代〜1980年代中盤)の安定した生産量から、1986年から1991年には急速な増加を見せ、18,000トンを超える規模となりました。この背景には、農業技術の向上や農地拡張、国内外市場での需要拡大といった要素があると考えられます。しかし、1990年代以降は15,000トン付近での安定した状態が続き、2006年をピークに徐々に減少傾向に入っています。

特に2010年代以降、生産量の低下は顕著で、2016年には記録的な低値である5,709トンを記録しました。この時期の背景には、気候変動による影響、農地の縮小、そして他作物への転作が挙げられます。異常気象や干ばつの頻発は、繊細な作物であるほうれん草にとって大きな打撃を与えたと推測されます。また、2021年の15,760トンという数値は平年の2倍を超える異常値となっていますが、これは特定の地域における降水量が安定したことや輸出需要の一時的な回復が寄与した可能性があります。しかし、翌2022年には6,300トンと急減しており、このことは生産の不安定性を物語っています。

ポルトガルのほうれん草生産は、特に地域の気候条件や市場のトレンドに強く依存しています。世界的に見て、アメリカや中国のような巨大生産国と比べても、ポルトガルの生産量は小規模であるため、輸出競争力の点で課題があります。例えば、アメリカでは自国の需要を賄いつつ大量生産が可能であり、中国では広大な農地に基づく大規模な生産が進んでいます。一方、ヨーロッパでは、オランダやイタリアが主要な生産国として輸出をリードしています。

今後、ポルトガルが直面する課題の一つに、気候変動への対策が挙げられます。干ばつや洪水などの自然災害は、ほうれん草の生産量と品質に直接的な打撃を与えるため、灌漑設備のアップグレードや品種改良による耐候性向上が必要です。また、農業従事者の減少も長期的な課題として残されています。若年層への支援策や技術革新を取り入れることで、生産への参加を促進する必要があります。

また、ほうれん草市場全体への影響として、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中には、輸送網の停止やロジスティクスの課題が生産意欲を低下させた可能性があります。ポルトガル国内消費が低迷する中、輸出市場を広げることも重要です。具体的には、EU内市場と連携を強化し、品質の高さをアピールできる付加価値商品の開発が推奨されます。

結論として、ポルトガルにおけるほうれん草生産の現状は、多くの不安定要素を含んでいますが、絶対的な克服不可能性を示すものではありません。今後、効率的な農業政策の導入、気候変動への柔軟な対応、国際市場に対応した輸出戦略の再構築など具体的な施策が鍵となるでしょう。国際連携を強化し、可持続的な農業モデルを構築することがポルトガルにとっての重要な課題です。