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ポルトガルのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ポルトガルにおけるニンジン・カブ類の生産量は、1961年の35,000トンから2023年の125,540トンまで増減を繰り返しています。生産量は長期的な増加傾向を見せる一方で、1995年から1996年に急激な成長を記録しており、近年では2018年以降、生産量の変動が大きくなっています。2020年から2023年にかけては生産量が回復傾向にありますが、2022年には100,060トンと落ち込みが見られました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 125,540
25.46% ↑
2022年 100,060
-28.97% ↓
2021年 140,870
5.47% ↑
2020年 133,560
56.03% ↑
2019年 85,600
-6.52% ↓
2018年 91,570
-18.26% ↓
2017年 112,022
-12.28% ↓
2016年 127,697
9.18% ↑
2015年 116,961
-7.64% ↓
2014年 126,631
21.03% ↑
2013年 104,625
3.77% ↑
2012年 100,827
0.96% ↑
2011年 99,870
-22.78% ↓
2010年 129,333
-17.09% ↓
2009年 156,000
1.3% ↑
2008年 154,000
2.67% ↑
2007年 150,000
-6.25% ↓
2006年 160,000
6.53% ↑
2005年 150,186
0.83% ↑
2004年 148,956
4.4% ↑
2003年 142,675
6.21% ↑
2002年 134,336
-5.54% ↓
2001年 142,210
-5.19% ↓
2000年 150,000
-13.56% ↓
1999年 173,538
20% ↑
1998年 144,615
24.9% ↑
1997年 115,785
-33.57% ↓
1996年 174,300
37.14% ↑
1995年 127,100
43.52% ↑
1994年 88,562
6.7% ↑
1993年 83,000 -
1992年 83,000 -
1991年 83,000 -
1990年 83,000
1.22% ↑
1989年 82,000
2.5% ↑
1988年 80,000
-1.23% ↓
1987年 81,000
-4.71% ↓
1986年 85,000
4.94% ↑
1985年 81,000 -
1984年 81,000
1.25% ↑
1983年 80,000 -
1982年 80,000
-1.23% ↓
1981年 81,000
-1.22% ↓
1980年 82,000 -
1979年 82,000
1.23% ↑
1978年 81,000
1.25% ↑
1977年 80,000
-3.61% ↓
1976年 83,000
1.22% ↑
1975年 82,000
3.8% ↑
1974年 79,000
2.6% ↑
1973年 77,000
2.67% ↑
1972年 75,000 -
1971年 75,000 -
1970年 75,000 -
1969年 75,000
7.14% ↑
1968年 70,000 -
1967年 70,000
7.69% ↑
1966年 65,000 -
1965年 65,000
18.18% ↑
1964年 55,000
22.22% ↑
1963年 45,000
12.5% ↑
1962年 40,000
14.29% ↑
1961年 35,000 -

ポルトガルのニンジン・カブ類生産量の推移を振り返ると、初期の1960年代から順調な成長を遂げ、大きく飛躍した1990年代半ばにおいて顕著な転換点が確認されます。特に1995年から1996年にかけて、生産量が127,100トンから174,300トンへと短期間で急増した背景には、農業技術の進歩や政策的支援、国際市場への参入拡大が関与していると考えられます。一方で、その後の数十年間では、生産量が安定しない傾向が見られ、特に2011年以降は気候変動や経済的不安定さにより、生産が減少しやすくなっています。

近年では、例えば2020年の133,560トンという回復の兆候が見られた一方で、2022年には100,060トンまで減少が見られました。このような不安定さの一因として挙げられるのが、異常気象による水不足や旱魃(かんばつ)といった環境要因です。ポルトガルは地中海性気候の影響を強く受ける地域であり、干ばつが農業に与える影響が近年深刻化しています。また、地域的な人口減少や都市化に伴い、労働力不足や耕作面積の縮小も影響している可能性があります。

ポルトガルの生産量を国際的に見てみると、ニンジンやカブの主要生産国である中国やアメリカには到底及びませんが、ヨーロッパでは中規模の生産国と位置づけられます。中国は世界最大の生産国で、年間生産量は5,000万トンを超えています。一方、ポルトガルの生産量はこれを遥かに下回りますが、輸出において一定の存在感を示しています。ただし、ヨーロッパ内での競争が激化しており、特にドイツやオランダといった同地域の大規模農業国との差別化が求められています。

地域課題として、農業従事者の高齢化に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により物流や労働力確保の問題が浮き彫りになりました。加えて、2022年の記録的な熱波による作物被害も生産量減少の一因です。これにより、安定的な生産基盤を確立するためのインフラ整備や気候変動への適応が急務とされています。

今後、ポルトガルのニンジン・カブ類生産量を持続的に増加させるためには、以下のような具体的な対策が求められます。まず、気候変動に適応した農業技術を導入することが重要です。例えば、耐旱性(乾燥に強い)作物品種の普及や、灌漑(かんがい)システムの高度化が挙げられます。また、EUの農業政策や助成金制度を活用し、農業者や中小規模農家に対する資金援助を強化することも必要とされます。さらに、輸出市場を拡大するためにポルトガル産の農産物ブランドを確立し、差別化を図ることも不可欠です。

結論として、ポルトガルのニンジン・カブ類生産量は長期的に増加傾向にあるものの、近年の変動が示すように課題は少なくありません。気候変動や労働力不足といった現代的な課題に対処するための具体的な施策を講じることで、持続可能な農業発展を目指し、国内外の需要に対応することが期待されます。国際機関や他国との連携を活用しつつ、地域資源を効果的に活用することがポルトガル農業の未来を形作る鍵となるでしょう。