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チリの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

チリの牛乳生産量は、1960年代~1970年代にかけて大きく増減しながらも徐々に増加し、1990年代後半には2,000,000トンの大台を突破しました。その後も増加傾向を維持していましたが、2013年以降は不安定な動きを見せています。直近2023年には2,224,325トンと微減しており、ピーク時と比較して横ばいまたは若干減少傾向が続いている状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,224,325
-2.65% ↓
2022年 2,284,942
-2.21% ↓
2021年 2,336,542
-0.3% ↓
2020年 2,343,640
6.1% ↑
2019年 2,208,973
-0.43% ↓
2018年 2,218,511
8.21% ↑
2017年 2,050,234
-0.02% ↓
2016年 2,050,737
-1.86% ↓
2015年 2,089,690
-5.58% ↓
2014年 2,213,191
-0.02% ↓
2013年 2,213,626
-16.47% ↓
2012年 2,650,000
1.15% ↑
2011年 2,620,000
3.56% ↑
2010年 2,530,000
7.66% ↑
2009年 2,350,000
-7.84% ↓
2008年 2,550,000
4.08% ↑
2007年 2,450,000
2.08% ↑
2006年 2,400,000
4.35% ↑
2005年 2,300,000
2.22% ↑
2004年 2,250,000
5.63% ↑
2003年 2,130,000
-1.84% ↓
2002年 2,170,000
-0.91% ↓
2001年 2,190,000
10.05% ↑
2000年 1,990,000
-2.93% ↓
1999年 2,050,000
-1.44% ↓
1998年 2,080,000
1.46% ↑
1997年 2,050,000
6.55% ↑
1996年 1,924,000
1.8% ↑
1995年 1,890,000
8% ↑
1994年 1,750,000
6.06% ↑
1993年 1,650,000
7.14% ↑
1992年 1,540,000
6.21% ↑
1991年 1,450,000
5.07% ↑
1990年 1,380,000
12.2% ↑
1989年 1,230,000
9.82% ↑
1988年 1,120,000
-1.24% ↓
1987年 1,134,100
0.64% ↑
1986年 1,126,880
8% ↑
1985年 1,043,370
15% ↑
1984年 907,280
-2.22% ↓
1983年 927,900
-14.77% ↓
1982年 1,088,740
-12% ↓
1981年 1,237,200
11.11% ↑
1980年 1,113,480
13.27% ↑
1979年 983,058
-2.49% ↓
1978年 1,008,173
-2.55% ↓
1977年 1,034,505
-1.81% ↓
1976年 1,053,560
6.88% ↑
1975年 985,698
5.64% ↑
1974年 933,055
5.85% ↑
1973年 881,500
-2.84% ↓
1972年 907,300
-6.38% ↓
1971年 969,140
-12.23% ↓
1970年 1,104,200
9.06% ↑
1969年 1,012,442
7.79% ↑
1968年 939,241
7.56% ↑
1967年 873,257
2.07% ↑
1966年 855,524
2.42% ↑
1965年 835,320
4.37% ↑
1964年 800,314
3.55% ↑
1963年 772,890
7.03% ↑
1962年 722,123
-5.51% ↓
1961年 764,229 -

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データに基づき、チリの牛乳生産量の推移を分析すると、明らかな増加期、減少期、そして調整期を経ながらその成長曲線を描いていることがわかります。特に、1960年代は不規則な増減を繰り返した後、1970年代後半から1980年代初頭にかけて1,000,000トンを大きく超える水準に安定して移行しました。その背景には、農業技術の改良や乳牛の品種改良、そして乳製品需要の拡大が関連している可能性が考えられます。

1990年代以降、牛乳生産量は急速に成長し、1997年には2,050,000トンに到達しました。この急成長期は、国内外の乳製品需要の高まりや農業補助金、自由貿易協定による輸出市場の拡大が後押ししたと推測されます。また、チリは温帯性の気候が牧草育成に適しており、この地理的条件が持続的な生産量の増加を支えた点も見逃せません。

しかし、2013年以降のデータからは不安定な傾向が見られます。特に2013年から2017年の間で2,213,626トンから2,050,234トンへ漸減しており、これは断続的な気候変動の影響や飼料価格の高騰、さらには牛乳生産における所得配分の格差が影響していると考えられます。2023年の生産量(2,224,325トン)は2012年のピーク時(2,650,000トン)に及びませんが、わずかな上昇も見られるため、一定の持続可能性は維持されているようです。

ただし、これらの統計を基にすると、今後の牛乳生産の持続的な成長にはいくつかの障害が予想されます。例として、地球温暖化がもたらす干ばつや農耕地の変化、過去数年間での輸入乳製品の増加が挙げられます。これらの外的要因は国内の生乳生産を圧迫する可能性が高く、特に賃金上昇と飼育コストの問題が生産者に重くのしかかっています。

こうした状況に対処するため、チリ政府や農業団体は以下の具体的な対策を実施することが求められます。第一に、酪農業の技術革新を促進するための公的投資の拡大が不可欠です。自動化の進展やデータ駆動型の畜産経営モデルを広めることで、効率性と収益を同時に高めることが可能になります。また、第二に、地域間の協力体制を強化することが重要です。特に南米地域内での乳製品取引や研究協力体制を模索し、競争優位性を確保する必要があります。第三に、環境政策との整合性を強化し、持続可能な酪農モデルにシフトすることで、気候変動のリスクにも対応できます。

結論として、チリの牛乳生産は、過去60年以上にわたって驚異的な成長を遂げましたが、現時点では慎重な対応が必要な分岐点にあると言えます。気候変動や農業コスト増大の課題に直面する中で、経済的・技術的に持続可能なモデルを構築することは喫緊の課題です。これが達成されれば、チリは引き続き国内外の乳製品市場において重要なプレーヤーであり続けることでしょう。