チリのスイカ生産量推移（1961年～2023年）

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

チリのスイカ生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代初頭にかけては着実な増加を示していますが、1983年を境に急激に減少しました。その後、2000年代以降は低水準での横ばいが続いており、近年でも年間50,000トン前後の生産量を記録しています。2022年には一時的に増加しましたが、2023年には再び減少しています。

年度	生産量(トン)	増減率
2023年	48,064	-14.03% ↓
2022年	55,909	14.73% ↑
2021年	48,729	-4.1% ↓
2020年	50,812	1.31% ↑
2019年	50,152	4.69% ↑
2018年	47,906	7.55% ↑
2017年	44,543	1% ↑
2016年	44,103	4.48% ↑
2015年	42,214	-18.01% ↓
2014年	51,485	-8.18% ↓
2013年	56,069	1.94% ↑
2012年	55,000	-3.34% ↓
2011年	56,900	9% ↑
2010年	52,200	3.78% ↑
2009年	50,300	4.14% ↑
2008年	48,300	2.77% ↑
2007年	47,000	-17.54% ↓
2006年	57,000	-12.31% ↓
2005年	65,000	-4.41% ↓
2004年	68,000	-6.85% ↓
2003年	73,000	-11.52% ↓
2002年	82,500	3.13% ↑
2001年	80,000	6.67% ↑
2000年	75,000	15.38% ↑
1999年	65,000	3.38% ↑
1998年	62,877	-10.18% ↓
1997年	70,000	-6.67% ↓
1996年	75,000	-11.76% ↓
1995年	85,000	-14.84% ↓
1994年	99,808	19.23% ↑
1993年	83,712	1.46% ↑
1992年	82,510	13.17% ↑
1991年	72,909	-8.58% ↓
1990年	79,754	15.17% ↑
1989年	69,246	-19.77% ↓
1988年	86,311	-6.97% ↓
1987年	92,780	-7.22% ↓
1986年	100,000	-5.05% ↓
1985年	105,320	-23.1% ↓
1984年	136,950	-23.92% ↓
1983年	180,000	-21.74% ↓
1982年	230,000	-4.17% ↓
1981年	240,000	-4% ↓
1980年	250,000	2.46% ↑
1979年	244,000	6.09% ↑
1978年	230,000	9.52% ↑
1977年	210,000	16.67% ↑
1976年	180,000	12.5% ↑
1975年	160,000	3.23% ↑
1974年	155,000	3.33% ↑
1973年	150,000	-3.23% ↓
1972年	155,000	-3.13% ↓
1971年	160,000	-
1970年	160,000	1.27% ↑
1969年	158,000	1.94% ↑
1968年	155,000	1.97% ↑
1967年	152,000	1.33% ↑
1966年	150,000	3.29% ↑
1965年	145,225	3.73% ↑
1964年	140,000	3.7% ↑
1963年	135,000	3.85% ↑
1962年	130,000	4% ↑
1961年	125,000	-

国連の食糧農業機関（FAO）が発表した最新のデータを基に、チリのスイカ生産量の推移を分析すると、その変動は国内外の環境的および地政学的要因を反映していることが分かります。

チリのスイカ生産量は1960年代において安定的に増加していました。この時期は主に農業技術の改善と肥沃な土地の利用により、効率的な生産が可能になったと考えられます。1970年代半ばからの急速な増加は、国内の市場需要の高まりや輸出機会の拡大が背景にあります。この流れは1980年に最高潮となり、生産量は250,000トンに達しました。

しかし、1980年代初頭からスイカ生産量は急激に縮小しました。この急落の一因として、地政学的要因や気候条件の変動が挙げられるでしょう。チリは地震や干ばつなどの自然災害にしばしば見舞われる国であり、1980年代の減少は干ばつや土壌環境の劣化が影響した可能性があります。また、同時期には輸出競争力の低下や他農産物の需要が増加したことで、スイカ生産に割くリソースが制限される傾向もありました。1984年から1985年において生産量は大幅に減少し、10万トンを割り込みました。

1990年代から2000年代には、一時的な回復と低迷を繰り返しましたが、全体としては数万トン規模で生産が推移しました。この停滞は、スイカの市場競争力が周辺諸国（例えばブラジルやアルゼンチン）に比べて低下したことに関係していると考えられます。また、新型の農作物への転換が進む中で、スイカ生産は政府や農業団体による支援が十分得られなかった可能性があります。

最近のデータを見ると、2022年に55,909トンとやや回復しましたが、2023年には48,064トンへと再び減少しています。この短期的な増減は、近年の気候変動の影響や新型コロナウイルス感染症による物流の混乱、さらには消費者嗜好の変化など、様々な要因が絡んでいることが予測されます。特に、パンデミック以降のサプライチェーンの複雑化や燃料費の増加が、農業全体に悪影響を及ぼしました。

チリのスイカ生産の将来について、いくつかの課題および対策が考えられます。まず、持続可能な農業へのシフトが重要です。具体的には、耐乾性の高い新品種の開発や灌漑技術の向上を進めることが効果的です。これにより、生産の効率化と気象変動の影響緩和が期待できるでしょう。次に、近隣諸国との協力を強化し、地域的な農産品市場を形成することが必要です。ブラジルやアルゼンチンと連携することで、輸出の安定化と市場の拡大が可能になるでしょう。また、品種の多様化や高付加価値品の開発に取り組み、国際市場での競争力を高めることも検討すべき課題です。

さらに、地政学的リスクに対応するための柔軟な政策が求められます。チリ周辺の地域は頻繁に自然災害が発生するため、これに備えた資源管理や保険制度の充実が必要です。また、気候変動に伴う長期的な干ばつを考慮に入れて、水の管理政策を一層強化することが求められます。

このような対策が適切に講じられれば、チリのスイカ生産は再び持続可能な形で成長軌道に乗る可能性があります。国際機関や地域協力の支援を活用しながら、未来に向けた戦略を構築することが今後の鍵となるでしょう。この状況下で、チリは地理的特性と豊富な自然資源を活かし、地域農業のリーダーシップを目指すというビジョンを掲げるべきです。