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チリのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、1961年から2022年までのチリのオレンジ生産量は、45,000トンから138,222トンへと増加しています。特に、高度成長期の1980年代から2000年代にかけて顕著な増加が見られましたが、2010年以降はやや停滞し、年ごとの変動が小幅になっています。これは生産量拡大の限界と気候変動の影響が考えられる時期であると解釈できます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 146,746
6.17% ↑
2022年 138,222
0.62% ↑
2021年 137,371
2.31% ↑
2020年 134,275
-3.05% ↓
2019年 138,500
-1.07% ↓
2018年 140,000
1.1% ↑
2017年 138,481
2.13% ↑
2016年 135,595
3.71% ↑
2015年 130,747
-7.33% ↓
2014年 141,082
-2.44% ↓
2013年 144,610
1.17% ↑
2012年 142,933
1.89% ↑
2011年 140,282
5.72% ↑
2010年 132,686
-1.71% ↓
2009年 135,000
-15.63% ↓
2008年 160,000
6.67% ↑
2007年 150,000
1.35% ↑
2006年 148,000
5.71% ↑
2005年 140,000 -
2004年 140,000
12% ↑
2003年 125,000
4.17% ↑
2002年 120,000
18.81% ↑
2001年 101,000
4.12% ↑
2000年 97,000
10.23% ↑
1999年 88,000
-8.33% ↓
1998年 96,000
9.09% ↑
1997年 88,000
-29.6% ↓
1996年 125,000
15.74% ↑
1995年 108,000
-3.57% ↓
1994年 112,000
1.82% ↑
1993年 110,000
4.76% ↑
1992年 105,000
6.06% ↑
1991年 99,000
1.85% ↑
1990年 97,200
-1.82% ↓
1989年 99,000
3.13% ↑
1988年 96,000
12.28% ↑
1987年 85,500
9.34% ↑
1986年 78,200
4.27% ↑
1985年 75,000
4.17% ↑
1984年 72,000
7.82% ↑
1983年 66,776
2.18% ↑
1982年 65,350
11.11% ↑
1981年 58,815
-0.65% ↓
1980年 59,200
4.62% ↑
1979年 56,585
5.18% ↑
1978年 53,800
5.49% ↑
1977年 51,000
6.25% ↑
1976年 48,000
2.35% ↑
1975年 46,900
0.64% ↑
1974年 46,600
2.42% ↑
1973年 45,500
5.81% ↑
1972年 43,000 -
1971年 43,000 -
1970年 43,000
7.5% ↑
1969年 40,000
-9.09% ↓
1968年 44,000
10% ↑
1967年 40,000
-2.44% ↓
1966年 41,000
-6.82% ↓
1965年 44,000
2.33% ↑
1964年 43,000
10.26% ↑
1963年 39,000
-18.75% ↓
1962年 48,000
6.67% ↑
1961年 45,000 -

チリのオレンジ生産量は1961年の45,000トンからスタートし、2000年代までの約40年間で比較的安定した成長を遂げてきました。特に1980年代以降、輸出市場や国内需要の拡大とともに生産量が急速に増加し、2000年代半ばには過去最高の160,000トンに到達しています。農業施策や灌漑技術の向上、特定品種の栽培による耐候性の強化がこの成長に寄与したと見られます。

しかしながら、2010年代以降のデータを見ると、生産の成長ペースは減速し、むしろ小幅な変動を繰り返していることがわかります。たとえば、2010年頃には一時的に130,000トン台に減少し、その後も140,000トン前後で推移しています。この原因としては、気候変動による天候不順や降水量の変化、さらに灌漑資源の限界が挙げられます。過去数十年にわたる農地開発の集中も、土壌の質の低下や収穫効率の低減を招いている可能性があります。

近隣諸国や他の主要農業国との比較では、主にブラジルやメキシコなどの南米諸国が非常に高いオレンジ生産量を持つ一方で、チリの生産量は比較的小規模です。この点から、チリのオレンジ生産は一貫して自国の需要および一部輸出市場を重点的に支える役割を果たしていると考えられます。そのため、競争力強化のためには、より高付加価値な製品やオーガニック農法を活用した差別化が重要となるでしょう。

課題として、チリは気候変動の影響を大きく受けると予測される国の一つです。具体的には、降雨パターンの変化や水資源の不足がオレンジなどの水を多く必要とする作物に悪影響を与える可能性があります。また、2020年代初頭の新型コロナウイルス感染症による労働力不足や輸送制限が一時的に生産性に影響を与えたことも留意すべきです。これらは依然として農業政策上の重要な課題として捉えられています。

将来的にチリがこの分野で持続可能な成長を遂げるためには、複数の具体的な対策が必要です。一つには、水資源の効率的な管理が挙げられます。気候変動に伴う水不足に備えるため、先進的な灌漑技術や雨水確保技術の普及は、生産維持の鍵となるでしょう。加えて、オレンジの生産品種を地域ごとに再評価し、気候適応性の高い種に転換することも有効です。例えば、乾燥気候にも耐性のある品種の研究開発や導入が考えられます。

また、国際競争力を高めるためには、国内外の市場で需要の高いオーガニック農業や持続可能農業への転換が必要不可欠です。具体的には、有機農法を取り入れることで輸出製品としての魅力を増し、ヨーロッパやアジア市場でのプレゼンスを向上させる可能性があります。その際、国や国際機関を通じた補助金制度や、技術知識の普及を進めるべきでしょう。

以上を踏まえると、チリのオレンジ生産は過去半世紀にわたって大きく進展してきたものの、将来の課題に正面から向き合うためには、気候変動対応、技術革新、そして市場戦略の再編成が必要です。地域や国際的な視点を持った施策が今後の持続可能な農業発展に寄与すると考えられます。特に、水資源管理の強化と市場戦略の確立が重要なカギとなるでしょう。