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チリのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、チリのオリーブ油生産量は1961年では2,400トンでしたが、その後一時的な減少を経て、特に2000年代以降大幅に増加しました。2021年には24,800トンに達し、大きな成長を遂げています。この長期に及ぶデータは、チリ国内のオリーブ油の生産体制が確立され、輸出志向の拡大が進んでいることを示しています。一方で、生産量には年ごとの変動も見られ、自然条件や国際市場の影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 24,800
18.66% ↑
2020年 20,900
22.94% ↑
2019年 17,000
-22.37% ↓
2018年 21,900
6.31% ↑
2017年 20,600
15.73% ↑
2016年 17,800
-8.72% ↓
2015年 19,500
23.42% ↑
2014年 15,800
24.19% ↑
2013年 12,722
36.86% ↑
2012年 9,296
17.05% ↑
2011年 7,942
22.84% ↑
2010年 6,465
59.64% ↑
2009年 4,050
39.53% ↑
2008年 2,903
7.5% ↑
2007年 2,700
20% ↑
2006年 2,250
15.38% ↑
2005年 1,950 -
2004年 1,950
18.18% ↑
2003年 1,650
22.22% ↑
2002年 1,350
24.14% ↑
2001年 1,088
26.09% ↑
2000年 863
-4.17% ↓
1999年 900
7.14% ↑
1998年 840
-41.67% ↓
1997年 1,440
50% ↑
1996年 960
-11.11% ↓
1995年 1,080
28.57% ↑
1994年 840
-36.36% ↓
1993年 1,320
57.14% ↑
1992年 840
-30% ↓
1991年 1,200
53.85% ↑
1990年 780
-41.96% ↓
1989年 1,344
115.38% ↑
1988年 624
-38.1% ↓
1987年 1,008
42.37% ↑
1986年 708
-8.39% ↓
1985年 773
7.33% ↑
1984年 720
-16.08% ↓
1983年 858
-21.99% ↓
1982年 1,100
7.51% ↑
1981年 1,023
-16.42% ↓
1980年 1,224
-9.13% ↓
1979年 1,347
55.9% ↑
1978年 864
-30.1% ↓
1977年 1,236
39% ↑
1976年 889
-35.11% ↓
1975年 1,370
22.14% ↑
1974年 1,122
16.88% ↑
1973年 960
-27.27% ↓
1972年 1,320 -
1971年 1,320 -
1970年 1,320
-26.67% ↓
1969年 1,800
-25% ↓
1968年 2,400 -
1967年 2,400 -
1966年 2,400 -
1965年 2,400 -
1964年 2,400 -
1963年 2,400 -
1962年 2,400 -
1961年 2,400 -

チリのオリーブ油生産量は、1961年から2021年にかけて全体的に著しい増加を記録しています。1961年から1970年代半ばまでは2,400トン前後を維持していましたが、その後急激に低下し、1973年には960トンと、最初のデータの約40%まで落ち込みました。この時期は、国内政治の不安定性や農業インフラの不足が影響を与えたと推測されます。1970年代後半から1990年代半ばまでは、年ごとの変動が大きい状態が続き、生産量は1,000トンから1,500トン前後を推移していました。

2000年代に入ると状況は大きく変化します。2003年には1,650トンだった生産量が、2013年には12,722トンに達し、その後も増加傾向が続きました。特に2015年以降は、年間20,000トンを超える大規模な生産が見られ、2021年には24,800トンと最高値を記録しました。この急成長の背景には、チリが地中海性気候を活用し、オリーブ栽培に適した農業インフラを整備したことが挙げられます。また、政府による輸出促進政策や、国内外からの農業投資の増加も一因と考えられます。

このような成功にもかかわらず、課題も依然として存在しています。例えば、2019年の17,000トンへの減少や2020年の20,900トンという変動は、天候条件の変化や乾燥化、または市場需要の不安定さが影響したと考えられます。さらに、地球温暖化による気候構造の変化が中長期的にどのような影響を生産に及ぼすかについても未知数です。このため、灌漑システムの改善や耐乾燥性のオリーブ品種の開発など、気候リスクへの適応力を高めることが求められます。

また、世界市場においてチリはスペイン、イタリア、ギリシャなど地中海沿岸諸国に比べてまだシェアが低く、さらなるシェア拡大が課題です。これらの国々は伝統的に培われた生産技術とマーケティング戦略を持ち、特にヨーロッパ市場での独占的地位を築いています。一方で、チリのオリーブ油は高品質で知られ始めており、特にアジア市場や北米市場での拡大が期待される分野です。そのため、フランスやドイツ、イギリスなどのヨーロッパ諸国での認知度向上や、差別化戦略としてオーガニック認証や特定品種のブランド化を進めることが必要です。

さらに、地政学的背景も注意が必要です。たとえば、EUとチリの貿易協定の変化や、地域の環境規制の強化が輸出コストに影響を及ぼす可能性があります。特に、チリでの自然災害リスクや地球温暖化が生産体制や輸出量に深刻な脅威を与えることがあり得ます。このような背景から、災害リスク管理や国際貿易ルートの多様化といった施策も重要です。

結論として、チリはこの数十年でオリーブ油生産の大幅な増加を達成しましたが、気候変動、国際競争、貿易規制といった複数の課題に対応する必要があります。未来に向けては、持続可能な営農方法の採用や、輸出市場を視野に入れた魅力的なブランド確立、さらには国際的な協力関係の構築によって、さらなる成長が期待されます。これにより、チリのオリーブ油が国際市場での競争力を一層高め、多様化する消費者ニーズに応えられるでしょう。