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チリのメロン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、チリのメロン生産量は1961年の160,000トンから2023年の38,367トンまで大幅に減少しています。総じて長期的には減少傾向にあり、一部の期間では若干の回復が見られるものの、2023年時点では最盛期の1960年代の約1/4程度の生産量に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 38,367
-2.99% ↓
2022年 39,551
3.61% ↑
2021年 38,171
-12.11% ↓
2020年 43,432
5.51% ↑
2019年 41,165
-4.65% ↓
2018年 43,172
16.83% ↑
2017年 36,953
-17.41% ↓
2016年 44,743
12.21% ↑
2015年 39,876
-6.48% ↓
2014年 42,637
8.86% ↑
2013年 39,168
-21.66% ↓
2012年 50,000
9.12% ↑
2011年 45,822
-6.49% ↓
2010年 49,000
4.48% ↑
2009年 46,900
4.22% ↑
2008年 45,000
-2.17% ↓
2007年 46,000
-4.17% ↓
2006年 48,000
-9.43% ↓
2005年 53,000
-8.62% ↓
2004年 58,000
-4.92% ↓
2003年 61,000
-4.69% ↓
2002年 64,000
1.59% ↑
2001年 63,000
1.61% ↑
2000年 62,000
8.68% ↑
1999年 57,049
-4.92% ↓
1998年 60,000
-11.76% ↓
1997年 68,000
-5.56% ↓
1996年 72,000
-6.49% ↓
1995年 77,000
0.14% ↑
1994年 76,896
60.12% ↑
1993年 48,024
-26.05% ↓
1992年 64,944
9.23% ↑
1991年 59,458
10.43% ↑
1990年 53,842
0.92% ↑
1989年 53,352
-32.12% ↓
1988年 78,600
-4.01% ↓
1987年 81,885
16.98% ↑
1986年 70,000
37.25% ↑
1985年 51,000
-36.25% ↓
1984年 80,000
-20% ↓
1983年 100,000
-9.67% ↓
1982年 110,700 -
1981年 110,700
-8.21% ↓
1980年 120,600
1.52% ↑
1979年 118,800
-8.45% ↓
1978年 129,762
5.78% ↑
1977年 122,677
5.7% ↑
1976年 116,064
5.92% ↑
1975年 109,579
-4.71% ↓
1974年 115,000
-5.74% ↓
1973年 122,000
-2.4% ↓
1972年 125,000
-8.76% ↓
1971年 137,000
-4.86% ↓
1970年 144,000
-7.69% ↓
1969年 156,000
-3.11% ↓
1968年 161,000
-3.59% ↓
1967年 167,000
-2.34% ↓
1966年 171,000
-9.47% ↓
1965年 188,880
4.93% ↑
1964年 180,000
4.65% ↑
1963年 172,000
3.61% ↑
1962年 166,000
3.75% ↑
1961年 160,000 -

チリは長きにわたって農業生産を支える国として、その独自の気候条件を活かしてさまざまな農産物の生産に取り組んできました。メロンもその一つであり、国内向けの消費だけでなく、輸出用の重要な農産物として発展してきました。しかしながら、1960年代には160,000トンを超えていた生産量が、2023年には38,367トンまで減少しており、特に持続的な規模縮小が顕著です。この長期的な減少の背景には、気候変動の影響や輸出市場の競争激化、そして農業労働力の変化など、複合的な要因が絡んでいると考えられます。

まず注目すべきなのは、1960年代後半から1970年代にかけての減少です。この時期は、気候環境の変化とともに内政的要因の影響があった可能性が指摘されています。特に、地政学的な混乱や農地改革が進んだことで、農業生産全般に影響を与えたことが考えられます。1970年以降は、より急激な生産量の落ち込みが見られ、1985年には51,000トンと、1961年の約3分の1にまで減少しています。この要因の一部には、インフラの不足や技術的な制約も関係していたと推測されます。

その後、1990年代に若干の回復が見られたものの、再び低下傾向を示しており、2000年代以降は安定しつつも低い生産量で推移しています。最近のデータでは、コロナ禍や輸出市場の変動により、2021年以降やや不安定な状況が続いているとも考えられます。また、気候変動による干ばつや異常気象、農地の変質化が、チリのメロン生産力の低下をさらに加速させている可能性が高いです。

他国と比較すると、例えばインドやアメリカといったメロンの生産国は、広大な農地と強力な輸出基盤を有し、依然として高生産量を維持しています。チリがこれらの国と競争力を持つためには、農業技術のイノベーションや国際市場でのブランド構築が急務となるでしょう。

一方で、チリの農業政策において注目すべき点は、環境のサステナビリティを軸にした取り組みを進めることです。例えば、乾燥化が進む中での水資源の効率的な利用や、耐乾性の高いメロン品種の開発、さらには生物多様性の取り組みを強化することが重要になるでしょう。また、農家への補助金政策や輸送コストを削減するための支援策も、有効な対策となりえます。さらに、地域協力を強化し、南米全体での農産物市場の連携を高めることで、輸出機会を増やすことも一つの解決策として考えられます。

結論として、チリのメロン生産量の減少は、短期的な市場動向を超え、気候変動や地政学リスクといった構造的な課題に直面しています。この現状を打破するためには、政府と民間セクター、国際社会が一体となって対応策を講じることが不可欠です。具体的には、気候変動対策に基づく農業技術の向上や、輸出市場の多様化を進めることで、メロン生産の持続的な回復を目指す必要があります。これらの取り組みが実現した場合、将来的にはチリのメロン生産の安定性が向上し、地域経済および世界における位置づけを改善できるでしょう。