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チリのニンニク生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表した最新データによると、チリのニンニク生産量は1960年代には10,000トン前後で安定していましたが、その後の数十年間で大きく増減を繰り返し、2023年には25,739トンに達しています。特に近年では、2020年に27,200トンと過去最高を記録し、その後も比較的高水準を維持しています。この推移は、国際市場や国内農業政策、気候条件などの要因が複雑に絡み合った結果です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 25,739
18.9% ↑
2022年 21,647
-13.29% ↓
2021年 24,965
-8.22% ↓
2020年 27,200
30.5% ↑
2019年 20,843
6.34% ↑
2018年 19,600
2.25% ↑
2017年 19,168
22.15% ↑
2016年 15,692
20.47% ↑
2015年 13,025
-5.29% ↓
2014年 13,753
11.32% ↑
2013年 12,354
-17.64% ↓
2012年 15,000
7.14% ↑
2011年 14,000
16.67% ↑
2010年 12,000
0.71% ↑
2009年 11,915
75.22% ↑
2008年 6,800
-2.86% ↓
2007年 7,000
-41.67% ↓
2006年 12,000
-29.41% ↓
2005年 17,000
-8.11% ↓
2004年 18,500
-5.13% ↓
2003年 19,500
-2.5% ↓
2002年 20,000
-4.76% ↓
2001年 21,000
-2.33% ↓
2000年 21,500
2.38% ↑
1999年 21,000
7.25% ↑
1998年 19,581
22.38% ↑
1997年 16,000
-27.27% ↓
1996年 22,000
10% ↑
1995年 20,000
3.11% ↑
1994年 19,396
-19.85% ↓
1993年 24,200
-5.01% ↓
1992年 25,477
70.41% ↑
1991年 14,950
-11.25% ↓
1990年 16,846
16.21% ↑
1989年 14,496
-25.52% ↓
1988年 19,462
62.63% ↑
1987年 11,967
19.67% ↑
1986年 10,000
9.33% ↑
1985年 9,147
19.57% ↑
1984年 7,650
9.29% ↑
1983年 7,000
8.53% ↑
1982年 6,450
2.38% ↑
1981年 6,300
-30% ↓
1980年 9,000
-44.44% ↓
1979年 16,200
-8.99% ↓
1978年 17,800
-2.73% ↓
1977年 18,300
28.87% ↑
1976年 14,200
5.19% ↑
1975年 13,500
-3.57% ↓
1974年 14,000
7.69% ↑
1973年 13,000
8.33% ↑
1972年 12,000
9.09% ↑
1971年 11,000
10% ↑
1970年 10,000 -
1969年 10,000 -
1968年 10,000 -
1967年 10,000 -
1966年 10,000
-9.89% ↓
1965年 11,097
10.97% ↑
1964年 10,000 -
1963年 10,000
25% ↑
1962年 8,000
-20% ↓
1961年 10,000 -

1960年代のチリでは、農業が主に国内消費を目的としていた時代で、ニンニクの生産量は10,000トン前後という安定的な規模に留まっていました。この期間は、国内の農業政策が比較的単調で、市場の国際化も進んでいなかったため、生産の拡大余地が限られていました。しかし1970年代になると、国際市場でのチリ産農産物の需要が高まり、輸出を視野に入れた生産体制へと変化しました。この影響を受け、1977年には生産量が18,300トンまで増加しています。

その後の1980年代には、9,000トンを下回る年があり、生産量に大きな落ち込みが見られました。この時期の低迷は、国内の経済的な困難や農業インフラの不足、さらには病害虫の影響も原因として考えられます。しかし1986年以降、徐々に生産量が回復し、1992年には25,477トンを記録しています。この急増は、輸出機会の拡大とともに、効率的な生産技術の導入が寄与したと考えられます。

2000年代以降の推移では、生産量が年度によって変動しているのが特徴的です。この時期、チリ農業は気候変動の影響を受け始めており、水不足や気温上昇が生産に直接的な影響を与えるようになりました。特に2007年から2008年の生産量は7,000トンを下回り、近年としては最低でした。一方、2020年には27,200トンと大幅な増加を見せました。この急上昇は、既存の作物管理技術の改善や、輸出マーケットでの需要拡大によるものと考えられます。同時に、新型コロナウイルスの影響で供給が減少した市場への輸出ニーズも、この年の生産向上に関連した要因である可能性があります。

2020年以降、チリのニンニク生産量はやや下降傾向を示しましたが、2023年には25,739トンと再び増加を見せました。この背景には、農業支援政策や地域的な気候条件の改善が考えられます。ただし、近年の生産変動は、外的要因に大きく影響を受ける脆弱なシステムにも起因している点が課題です。

チリのニンニク生産の現状を世界的に見た場合、主要生産国である中国(数百万トン規模)との差は大きいものの、南米地域では重要な輸出国と位置づけられています。競合国であるアルゼンチンやペルーとの比較では、品質面での優位性に加え、持続可能な農業生産への取り組みが差別化要素とされています。

将来的な課題として、気候変動への適応が挙げられます。雨水の偏在や高温による乾燥は、ニンニク農業にとって深刻な問題です。また、国際市場における競争環境の厳しさも見過ごせません。これを受けて、具体的な対策としては、灌漑設備の改善や水資源の効率的利用、さらには耐病性品種の開発が求められます。また、既存の輸出マーケットを維持するための品質基準の徹底と、新たなマーケットの開拓も重要となるでしょう。

地政学的には、チリのニンニク輸出に対する貿易摩擦や関税政策の影響も無視できません。特に経済パートナーシップ協定(EPA)を活用した関係国との貿易促進が、今後の優先課題として挙げられます。並行して、地域内での協力体制を強化し、農業技術の共同開発を進めることも有効な解決策となり得ます。

結論として、データはチリが国際的なニンニク供給国としての地位を徐々に確立していることを示しています。ただし、厳しい気候条件や国際情勢の変化への対応が不可欠です。具体的には、気候適応策の推進、競争力の維持、持続可能な農業への移行を中心とした政策展開が、ニンニク生産業の安定と発展に大いに寄与するでしょう。

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