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チリのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)による最新データでは、チリのブドウ生産量は1961年の853,000トンから2023年の2,320,962トンへと増加しています。しかし、生産量は一貫して増え続けたわけではなく、特に近年は気候変動や輸出市場の変動などにより、生産量が減少する傾向がみられます。チリは、世界的に知られるワイン生産国でもあり、同国のブドウ生産はワイン輸出に重要な寄与をしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,320,962
-3.4% ↓
2022年 2,402,686
2.71% ↑
2021年 2,339,343
-3.92% ↓
2020年 2,434,664
-10.32% ↓
2019年 2,714,691
-4.01% ↓
2018年 2,828,021
18.67% ↑
2017年 2,383,095
-3.86% ↓
2016年 2,478,780
-12.78% ↓
2015年 2,842,135
12.32% ↑
2014年 2,530,462
-14.38% ↓
2013年 2,955,472
1.12% ↑
2012年 2,922,684
10.54% ↑
2011年 2,644,050
0.57% ↑
2010年 2,629,024
1.12% ↑
2009年 2,600,000
8.33% ↑
2008年 2,400,000
2.13% ↑
2007年 2,350,000
2.17% ↑
2006年 2,300,000
2.22% ↑
2005年 2,250,000
18.42% ↑
2004年 1,900,000
-4.28% ↓
2003年 1,985,000
13.43% ↑
2002年 1,750,000
-2.81% ↓
2001年 1,800,548
-5.23% ↓
2000年 1,899,943
20.63% ↑
1999年 1,575,000
-4.09% ↓
1998年 1,642,093
-1.62% ↓
1997年 1,669,190
2.41% ↑
1996年 1,629,905
6.8% ↑
1995年 1,526,160
5.33% ↑
1994年 1,448,960
11.44% ↑
1993年 1,300,220
13.99% ↑
1992年 1,140,660
-3.85% ↓
1991年 1,186,390
1.33% ↑
1990年 1,170,800
12.9% ↑
1989年 1,037,000
3.79% ↑
1988年 999,100
3.75% ↑
1987年 963,000
7% ↑
1986年 900,000
-10% ↓
1985年 1,000,000
11.11% ↑
1984年 900,000
-10% ↓
1983年 1,000,000
-13.04% ↓
1982年 1,150,000
4.55% ↑
1981年 1,100,000
4.76% ↑
1980年 1,050,000 -
1979年 1,050,000
9.95% ↑
1978年 955,000
1.6% ↑
1977年 940,000
11.77% ↑
1976年 841,000
9.65% ↑
1975年 767,000
-5.07% ↓
1974年 808,000
-15.22% ↓
1973年 953,000
-8.1% ↓
1972年 1,037,000
13.96% ↑
1971年 910,000
36.23% ↑
1970年 668,000
-5.78% ↓
1969年 709,000
-24.81% ↓
1968年 943,000
9.27% ↑
1967年 863,000
3.23% ↑
1966年 836,000
32.7% ↑
1965年 630,000
-26.06% ↓
1964年 852,000
6.1% ↑
1963年 803,000
-17.39% ↓
1962年 972,000
13.95% ↑
1961年 853,000 -

1961年から2023年までの約60年間のデータを見ると、チリのブドウ生産量は明確な増加傾向を示しています。最初の数十年間(特に1961年から1980年代)は、生産量が年間800,000トンから1,000,000トンの間で推移し、一定の安定性がありました。その後、1990年代以降には持続的な成長が観察され、2000年には過去最高の1,899,943トン、さらに2006年以降は2,000,000トンを超える生産量が続きました。しかし、2013年以降には変動が顕著となり、2014年の2,530,462トンや2020年の2,434,664トン、そして2023年には2,320,962トンへと減少する傾向が見られます。

この増減の背景にはいくつかの要因があります。まず、気候変動の影響が近年大きくなっています。チリでは干ばつや大雨など、極端な気象イベントが頻発しており、これが農業生産に直接打撃を与えています。また、ブドウは特に天候に敏感な作物であり、気温や降水量の変化が生産量に直結するため、このような変動は避けられません。さらに、労働力不足や生産コストの上昇といった経済的課題も無視できません。

国際的な市場での競争が激化していることも、チリのブドウ生産への挑戦といえるでしょう。アメリカやフランス、イタリア、オーストラリアといった他の主要ブドウ・ワイン生産国も、品質や輸送コスト、貿易政策で競争を続けています。特に近年では、輸出向けのワイン生産に関連した市場の変動が、原材料としてのブドウ需要に影響を及ぼしています。一例として、中国や北米市場における需要の変動が挙げられます。

さらに、地政学的な背景も無視することはできません。例えば、2023年時点ではウクライナ紛争やそれに伴う世界的なエネルギー危機が発生しており、これらが農業資材や燃料コストの高騰を引き起こしました。このことは、特に輸送費が重要なチリにとって、生産コストの増加を意味します。

今後のチリにはいくつかの課題と対策が必要です。まず、気候変動への対応として、耐干ばつ性の高いブドウ品種の導入や、灌漑技術の改良、農業用水の再利用システムの構築を進めるべきです。これらは、持続可能な農業の基盤を強化するために重要です。また、輸出市場の多様化を図り、中国やアジア地域にとどまらない新たな国際市場の開拓が求められます。さらに、生産農家への技術支援や補助金政策などを通じて、生産効率を改善する流れも欠かせないでしょう。

結論として、チリのブドウ生産量は過去60年間にわたって増加傾向にありますが、現状の課題を直視し、具体的な対策を講じることが必要不可欠です。チリ政府と国際機関が協力し持続可能な対策を導入することで、同国のブドウ産業のさらなる発展が期待されます。また、このような取り組みは世界的な気候変動の進展に向けて、他国のモデルケースともなるでしょう。