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チリのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に発表したデータによると、チリのラズベリー生産量は1991年から2023年にかけて変動を示しています。1991年に15,857トンだった生産量は2000年代半ばに一時的な上昇を見せますが、その後減少と回復を繰り返しました。特に2013年に大きな減少が見られた後、2015年から2018年にかけて再度ピークに達しました。近年では2022年以降、大幅な低下が観測され、2023年には11,835トンまで減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,835
0.51% ↑
2022年 11,775
-25.86% ↓
2021年 15,883
-0.75% ↓
2020年 16,004
0.82% ↑
2019年 15,874
-18.36% ↓
2018年 19,445
1.32% ↑
2017年 19,191
0.84% ↑
2016年 19,030
4.06% ↑
2015年 18,287
35.47% ↑
2014年 13,499
-0.35% ↓
2013年 13,547
-21.66% ↓
2012年 17,293
1.39% ↑
2011年 17,056
0.94% ↑
2010年 16,896
-1.39% ↓
2009年 17,135
-0.86% ↓
2008年 17,284
-0.55% ↓
2007年 17,380
-1.22% ↓
2006年 17,594
7.39% ↑
2005年 16,384
5.47% ↑
2004年 15,535
-6.05% ↓
2003年 16,535
0.39% ↑
2002年 16,472
0.34% ↑
2001年 16,416
0.34% ↑
2000年 16,360
0.34% ↑
1999年 16,304
0.34% ↑
1998年 16,248
0.35% ↑
1997年 16,192
0.35% ↑
1996年 16,136
0.35% ↑
1995年 16,080
0.35% ↑
1994年 16,024
0.35% ↑
1993年 15,968
0.35% ↑
1992年 15,912
0.35% ↑
1991年 15,857 -

チリは南米有数の農業国であり、その地理的特性と気候条件はラズベリーの生産に適しています。しかし、1991年以降のラズベリー生産量データを見ると、安定した増加傾向とはいえず、年ごとにさまざまな変動が確認されています。

生産量の推移を見ると、1990年代から2000年代初頭にかけて徐々に上昇しましたが、2003年以降減少する年も見られます。2006年には17,594トンと著しく増加しましたが、その後も再び波形を描くような変動傾向を示しました。その中で、最も顕著な変化が見られたのは2013年の13,547トンへの大幅な生産量の低下です。これには、気候的な要因、国際競争の激化、さらにはラズベリー産業における国内の効率化の遅れが関与していると考えられます。

2015年以降は回復の兆しを見せ、特に2018年の19,445トンはほぼ過去最高水準となりました。しかし、近年では2019年以降の継続的な下降が顕著です。2023年の11,835トンは過去30年以上の中で最低水準の生産量となり、これは国内のラズベリー産業が深刻な課題に直面していることを示唆しています。

この下降の背景には、いくつかの要因が考えられます。一つに、気候変動による影響が挙げられます。チリの農業産業全体は降水量の減少や異常気象の増加といった気候的な影響を受けており、ラズベリー生産もその例外ではありません。また、新型コロナウイルスの世界的な流行は、農業労働力や輸出を含む物流へ大きな影響を及ぼしました。さらには、農業資源価格の上昇や他国との競争の激化も生産コストの増加を招き、産業の持続可能性を脅かしています。

今後の課題として、まずは効率的な水資源管理や気候適応技術の導入が挙げられます。また、ラズベリー生産を支える人材の育成や労働環境の改善も重要です。これには、農業従事者に対する働きやすい環境整備や所得安定化政策が含まれます。さらに、国内外の市場拡大を図るためには、高付加価値商品の開発やマーケティング戦略の強化が必要です。たとえば、チリ独自の「プレミアムラズベリー」のブランド化や、有機栽培の推進を通じた市場差別化が挙げられます。

地政学的な観点では、チリは主要な輸出先である北米や欧州連合へのアクセスが強みですが、これらの市場では他のラテンアメリカ諸国との競争が進んでいます。そのため、貿易協定の活用や、持続可能な農業政策を柱にした国際協力が求められるでしょう。

結論として、チリのラズベリー産業は記録的な低迷に直面していますが、適切な対策と技術革新を組み合わせることで、生産回復と持続可能な成長が期待されます。国際機関との連携や地域協力の枠組みをさらに強化し、長期的な視野で産業基盤の強化を図る必要があります。このためには、政府、農業界、そして研究機関が一体となって取り組むことが鍵となるでしょう。

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