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チリの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、チリの大麦生産量は1961年以降大きな変動を繰り返してきました。特に近年では、2018年から2020年にかけての急激な増加が目立ち、2019年には210,890トンと過去最大の生産量を記録しましたが、その後減少傾向を見せ、2023年には151,456トンとなりました。このデータは、国内の農業生産の変動だけでなく、気候条件や経済的要因も影響を与えている可能性を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 151,456
38.93% ↑
2022年 109,018
-30.8% ↓
2021年 157,531
-18.45% ↓
2020年 193,166
-8.4% ↓
2019年 210,890
23.58% ↑
2018年 170,652
78.73% ↑
2017年 95,482
-11.81% ↓
2016年 108,269
118.4% ↑
2015年 49,574
-39.8% ↓
2014年 82,350
3.44% ↑
2013年 79,611
4.92% ↑
2012年 75,879
-38.15% ↓
2011年 122,682
26% ↑
2010年 97,370
32.61% ↑
2009年 73,424
-23.41% ↓
2008年 95,869
9.07% ↑
2007年 87,895
-35.7% ↓
2006年 136,700
33.47% ↑
2005年 102,417
82.38% ↑
2004年 56,156
-27.08% ↓
2003年 77,010
-0.18% ↓
2002年 77,151
17.87% ↑
2001年 65,454
9.75% ↑
2000年 59,639
-26.8% ↓
1999年 81,473
-29.37% ↓
1998年 115,350
42.18% ↑
1997年 81,131
26.56% ↑
1996年 64,103
-29.27% ↓
1995年 90,630
-9.63% ↓
1994年 100,289
19.43% ↑
1993年 83,970
-23.03% ↓
1992年 109,089
1.99% ↑
1991年 106,959
16.79% ↑
1990年 91,585
7.64% ↑
1989年 85,087
4.25% ↑
1988年 81,619
68.88% ↑
1987年 48,331
-29.01% ↓
1986年 68,077
-19.87% ↓
1985年 84,960
15.58% ↑
1984年 73,510
0.37% ↑
1983年 73,240
-37.85% ↓
1982年 117,850
28.98% ↑
1981年 91,370
-12.96% ↓
1980年 104,980
-6.33% ↓
1979年 112,080
-10.71% ↓
1978年 125,520
-12.27% ↓
1977年 143,080
60.8% ↑
1976年 88,980
-26.19% ↓
1975年 120,560
-19.41% ↓
1974年 149,600
39.23% ↑
1973年 107,449
-22.69% ↓
1972年 138,990
22.3% ↑
1971年 113,648
16.68% ↑
1970年 97,401
21.6% ↑
1969年 80,100
-49.03% ↓
1968年 157,155
33.7% ↑
1967年 117,540
33.51% ↑
1966年 88,039
18.98% ↑
1965年 73,996
-8% ↓
1964年 80,430
15.34% ↑
1963年 69,730
-4.86% ↓
1962年 73,290
1.96% ↑
1961年 71,880 -

チリの大麦生産量は長期的に見ると非常に浮き沈みのある推移を示しており、これは農業に携わる地域的および経済的な要因、さらには地球規模の気候変動による影響を強く反映しています。1960年代から1970年代初頭にかけて、チリの大麦生産量は比較的低めの水準で推移していましたが、1970年代中盤以降、一時的な増加が見られました。この時代は、チリ国内の農業政策と地域的な需要が生産量に影響を与えたと考えられています。

近年に目を向けると、2018年から2020年にかけての急激な上昇が目立ち、この背景には、農業技術の導入や育種の改良による単位面積あたりの収量向上が寄与した可能性があります。また、国際市場における大麦の需要が拡大したことも、生産量増加の一因と考えられます。しかしながら、2022年にかけて再び生産量が減少したことは、気候変動や水資源問題、さらには農家経済の不安定さが関与している可能性を示唆しています。

チリでは乾燥した気候が広がる中で、農業用水の確保がますます難しくなっています。大麦の栽培に必要な気象条件が適合する地域は限られており、更に同国では外貨を稼ぐための他の作物(例えばワイン用ブドウなど)への転換が一部で進んでいることも生産量減少の背景として挙げられます。このように、チリの大麦生産量は国内外の農産物需要や地政学的状況にも影響を受ける複雑な動態を持っています。

国際的な立場から見ると、チリの大麦生産量は他の重要な生産国、例えばアメリカやドイツと比べて小規模ですが、国内の食品や飼料産業において重要な役割を果たしています。加えて、南米地域の気候多様性を活かし、適切な栽培技術を採用することで、持続可能な形での生産量増加が期待されています。これは、大麦が重要な飼料作物であるため、畜産業の発展に直接的に影響する点でも注目されています。

ここでチリが直面する主な課題は、持続的な生産体制を確立するための農業政策やインフラの整備です。たとえば、灌漑技術の改善、水資源の管理、適切な栽培地の選定が急務です。また、気候変動による予期せぬ被害を最小限に抑えるために、気象予測技術の実装や耐久性のある大麦品種の育成が重視されるべきです。さらに、国内外の市場需要に応じた生産戦略をとることで、収益の安定化が図られるでしょう。

将来的には、国際的な連携や貿易促進を通じて、チリ産大麦の市場競争力を強化していくことが重要です。これには、地域間での情報共有や技術移転が大きな鍵となります。国際協力を背景に、不安定要因を克服しつつ、環境負荷を軽減しながらの効率的な生産を目指すことが、チリにとって不可欠な道筋となるでしょう。