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エジプトのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、エジプトにおけるオリーブ生産量は1961年の8,564トンから、2022年には1,137,076トンへと大幅に増加しています。1960年代から1980年代中頃までは数万トンの範囲で推移していましたが、1990年以降生産量が急増し、特に2000年以降は50万トンを超える水準に成長しました。さらに2017年以降は100万トン台を記録しており、今やオリーブ生産における世界的な重要地域として注目されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,034,310
-9.04% ↓
2022年 1,137,076
7.62% ↑
2021年 1,056,548
9.1% ↑
2020年 968,400
-1.28% ↓
2019年 981,000
-9.48% ↓
2018年 1,083,771
-1% ↓
2017年 1,094,724
25.15% ↑
2016年 874,748
25.16% ↑
2015年 698,927
23.56% ↑
2014年 565,669
4.41% ↑
2013年 541,790
-3.78% ↓
2012年 563,070
22.5% ↑
2011年 459,650
17.58% ↑
2010年 390,932
-12.93% ↓
2009年 449,009
-6.47% ↓
2008年 480,071
-5.32% ↓
2007年 507,053
1.41% ↑
2006年 500,000
61.29% ↑
2005年 310,000
-1.65% ↓
2004年 315,193
53.96% ↑
2003年 204,722
-39.15% ↓
2002年 336,442
14.47% ↑
2001年 293,903
4.32% ↑
2000年 281,745
-1.86% ↓
1999年 287,080
43.54% ↑
1998年 200,000 -
1997年 200,000
-3.91% ↓
1996年 208,133
0.07% ↑
1995年 207,982
59.63% ↑
1994年 130,287
16.65% ↑
1993年 111,687
17.58% ↑
1992年 94,991
94.95% ↑
1991年 48,725
16.12% ↑
1990年 41,962
29.93% ↑
1989年 32,297
5.51% ↑
1988年 30,609
5.55% ↑
1987年 29,000
7.41% ↑
1986年 27,000
200% ↑
1985年 9,000
12.5% ↑
1984年 8,000
-11.11% ↓
1983年 9,000
18.42% ↑
1982年 7,600
40.85% ↑
1981年 5,396
28.75% ↑
1980年 4,191
-31.39% ↓
1979年 6,108
9.27% ↑
1978年 5,590
1.67% ↑
1977年 5,498
-27.82% ↓
1976年 7,617
-4.79% ↓
1975年 8,000 -
1974年 8,000 -
1973年 8,000 -
1972年 8,000
36.17% ↑
1971年 5,875
-16.07% ↓
1970年 7,000
-12.5% ↓
1969年 8,000 -
1968年 8,000
-27.27% ↓
1967年 11,000
58.23% ↑
1966年 6,952
-32.96% ↓
1965年 10,370
0.4% ↑
1964年 10,329
32.34% ↑
1963年 7,805
-33.43% ↓
1962年 11,725
36.91% ↑
1961年 8,564 -

エジプトのオリーブ生産量は1960年代から長らく低い水準で停滞していましたが、1990年代以降急速な増加を見せています。1992年には9万トン台に達し、その後数年間で安定的な成長を遂げ、1995年には20万トンを超えました。2000年代に入ると30万トン台に推移し、2006年には初めて50万トンを超える記録的な成長を達成しました。そして2017年以降、年間100万トンを上回る生産量を維持しています。この背景には、灌漑技術の進歩や農業政策の改善、また政府によるオリーブ栽培推進プログラムの導入が挙げられます。

一方で、この急激な成長によって新たな課題も浮かび上がっています。第一に、オリーブ栽培に必要な水資源の確保が挙げられます。エジプトはナイル川に大きく依存している国で、近年隣接するエチオピアとの間で進行中のグランド・ルネサンス・ダム建設関連の水資源争奪が緊急の課題となっています。オリーブのように水を必要とする作物の増産は国としての水資源管理計画への強い依存を伴います。この課題に対処するためには効率的な灌漑システムのさらなる普及と普及率の向上が必要です。

また、輸出競争力の確保も重要な論点です。世界的には、スペインやイタリアがオリーブの主要生産国であり、これらの国々は伝統的に高品質で広く知られています。これに比べ、エジプトのオリーブ産業では大量生産は可能なものの、品質やブランド力で劣る場合が多く、高付加価値の製品化戦略が遅れているのが現状です。例えば、オリーブオイルの精製や加工品としての競争力を高めるためには、設備投資の強化や農業における技術指導の充実が必要です。

さらに、農業従事者の労働環境や収入安定も無視できない点です。オリーブ産業が地元の雇用を支えている一方で、特に労働者の賃金や技術トレーニングといった面ではまだ改善の余地があるとされています。これには、適切な補助金制度や地域間協力を通じた持続可能な農業改革が求められています。

またエジプト国内での需要と輸出市場の均衡も重要です。近年のデータでは、エジプトは中東地域のオリーブ輸出において影響力を拡大していますが、国外市場だけでなく国内市場の需要にも応える必要があります。この点において、食品加工業や消費者市場のさらなる発展が課題です。

地政学的なリスクとして、ナイル川流域における地域衝突や気候変動の影響が挙げられます。過去数十年でエジプトの農業全体がナイル河川の水量変動や干ばつによって深刻な影響を受けてきたことからも、オリーブ産業もこれらリスクに直面する可能性があります。特に気候変動は降水量の激減や極端な気温変化をもたらし、オリーブ栽培に必要な条件を脅かす可能性があります。

結論として、エジプトはオリーブ生産において国際市場でのさらなる成長の可能性を秘めているものの、持続可能性を確保するために数多くの挑戦を抱えています。具体的には、効率的な水資源管理の強化、科学技術の活用による高品質化、輸出先の多角化、そして労働者の条件改善などが重要です。また、気候変動への適応戦略にも早急に取り組む必要があります。これらの取り組みによってエジプトはオリーブ生産大国として、安定かつ持続可能な成長を実現するでしょう。

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