Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、1979年度のオリーブ生産量ランキングでは、1位がイタリア(2,370,000トン)、2位がスペイン(2,300,100トン)、3位がギリシャ(1,182,380トン)という結果でした。このデータはオリーブが地中海沿岸諸国において重要な農産物であることを反映しており、上位10カ国のうち8カ国が地中海地域に集中しています。一方、それ以外の地域では生産規模が小さく、地域間で大きな差が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 2,370,000 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 2,300,100 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,182,380 |
| 4 |
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アフリカ | 437,000 |
| 5 |
|
アジア | 430,000 |
| 6 |
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ヨーロッパ | 409,780 |
| 7 |
|
アフリカ | 390,000 |
| 8 |
|
アジア | 195,950 |
| 9 |
|
アフリカ | 156,920 |
| 10 |
|
アフリカ | 100,000 |
| 11 |
|
南アメリカ | 95,000 |
| 12 |
|
北アメリカ | 56,250 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 32,000 |
| 14 |
|
南アメリカ | 30,782 |
| 15 |
|
アジア | 15,000 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 13,000 |
| 17 |
|
南アメリカ | 12,748 |
| 18 |
|
南アメリカ | 11,225 |
| 19 |
|
アジア | 10,668 |
| 20 |
|
アジア | 8,200 |
| 21 |
|
アジア | 7,000 |
| 22 |
|
アジア | 6,842 |
| 23 |
|
アフリカ | 6,108 |
| 24 |
|
アジア | 3,500 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 26 |
|
オセアニア | 3,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,700 |
| 28 |
|
南アメリカ | 975 |
| 29 |
|
アジア | 900 |
| 30 |
|
アジア | 509 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 17 |
| 32 |
|
アジア | 5 |
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1979年度のオリーブ生産量ランキングデータから明らかなのは、オリーブが圧倒的に地中海沿岸諸国で多く生産されているという事実です。1位のイタリア、2位のスペイン、3位のギリシャは、合計で世界全体の大部分の生産量を占めており、特にイタリアとスペインの2カ国で500万トン以上を生産しています。これらの国では昔からオリーブオイルの需要が高く、食文化や輸出産業の基盤になっています。ただし、スペインとイタリアの差はわずかに約7万トンであるため、地中海諸国間の生産競争が激しいこともわかります。
4位のチュニジアと5位のトルコは中規模の生産量を誇っており、それぞれ約43万トンから44万トンの生産を記録しています。これらの国もまた地中海沿岸に位置しており、気候条件や土壌などがオリーブ栽培に適しているため、比較的大きな生産力を持っています。ただし、これらの国々では生産量と輸出収益の間に課題がある可能性があります。たとえば、輸送インフラの改善や農業技術の導入により、生産性を向上させる余地があると考えられます。
また、上位10カ国の中でチュニジア、モロッコ、アルジェリア、リビアといった北アフリカ諸国が含まれています。これらの国々ではオリーブは農村経済の柱になっており、小規模農家の生計手段としての重要性も高いです。ただし、北アフリカ地域ではしばしば水不足や砂漠化が深刻な問題となり、農業全般に大きな課題を突き付けています。
一方、地域的には地中海地域以外ではオリーブ生産量が非常に限られていることも注目すべき点です。12位のアメリカ合衆国や11位のアルゼンチンなど地中海以外の国々では、単位収量が低い傾向にあり、生産量が数万トンに留まっています。特にアメリカでは、オリーブ栽培は主に州単位でカリフォルニアのような特定の地域に集中しており、他の農産物との競争や気候条件の違いから規模が拡大しづらい状況にあります。
さらに下位の国々では、地政学的背景がオリーブ生産に影響を及ぼしている可能性があります。例えば、イラン、イラク、ヨルダンといった中東諸国では、気候や地理的条件に加えて、地域衝突や紛争といった地政学的リスクが生産量に影響していると考えられます。また、オーストラリアのような新興国の産地では、1979年度時点では生産規模はまだ非常に小さいですが、その後の農業技術の進歩によって成長の余地が大きいとされています。
未来に向けて、このデータから考えるべき課題は多岐にわたります。まず、地中海地域では気候変動がオリーブ栽培に大きな影響を及ぼす可能性が指摘されています。地中海地域は気温上昇や降水量の減少といった影響を受けやすく、これに対処するためには、耐乾性に優れた品種の導入や灌漑技術の普及が不可欠です。北アフリカにおいては、水資源の確保や生産インフラの改善が求められます。
また、新興市場における栽培の推進も重要です。例えば、オーストラリアやアメリカでは、消費需要の高まりにあわせて生産技術を強化し、国内の消費をまかなうのみならず輸出も視野にいれた戦略を構築することで、地域経済の発展につなげることが可能です。同時に、国際協力を通じて技術の共有や市場の安定化を図ることも期待されます。
このように、オリーブの生産に関する地理的・気候的・経済的課題は多種多様ですが、それに取り組むことで生産の効率化と持続可能性を向上させ、将来的にはより多くの国々がオリーブ産業を育てていくことができるでしょう。これにより、多様な地域で経済的恩恵を享受できるようになることが期待されます。