2009年度、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したオリーブ生産量ランキングによると、1位は圧倒的な生産量を誇るスペイン(6,972,094トン)で、2位のイタリア(3,286,600トン)や3位のギリシャ(2,400,580トン)を大きく引き離しました。上位を占めるのは地中海沿岸諸国が多く、トルコやシリア、モロッコ、チュニジアも上位に入っています。一方、日本やアジア全般ではオリーブ生産が限定的で、中国と台湾を合わせた生産量は2,583トンと低い水準に留まっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 6,972,094 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 3,286,600 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 2,400,580 |
| 4 |
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アジア | 1,290,654 |
| 5 |
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アジア | 885,942 |
| 6 |
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アフリカ | 850,000 |
| 7 |
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アフリカ | 800,000 |
| 8 |
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アフリカ | 475,182 |
| 9 |
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アフリカ | 449,009 |
| 10 |
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ヨーロッパ | 422,978 |
| 11 |
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アフリカ | 170,890 |
| 12 |
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南アメリカ | 169,000 |
| 13 |
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アジア | 140,719 |
| 14 |
|
アジア | 105,000 |
| 15 |
|
アジア | 79,000 |
| 16 |
|
アジア | 78,450 |
| 17 |
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ヨーロッパ | 78,000 |
| 18 |
|
オセアニア | 62,655 |
| 19 |
|
南アメリカ | 54,000 |
| 20 |
|
北アメリカ | 42,003 |
| 21 |
|
南アメリカ | 37,170 |
| 22 |
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ヨーロッパ | 32,592 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 31,255 |
| 24 |
|
アジア | 30,500 |
| 25 |
|
アジア | 13,329 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 13,000 |
| 27 |
|
アジア | 12,992 |
| 28 |
|
南アメリカ | 10,369 |
| 29 |
|
アジア | 9,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 8,567 |
| 31 |
|
南アメリカ | 4,300 |
| 32 |
|
アジア | 2,583 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 1,682 |
| 34 |
|
アジア | 1,498 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 330 |
| 36 |
|
アジア | 111 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 97 |
| 38 |
|
アジア | 26 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 5 |
| 40 |
|
南アメリカ | 1 |
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2009年度のオリーブ生産量データは、地中海沿岸地域がオリーブの主要な生産拠点であることを物語っています。1位のスペインは、2位のイタリアや3位のギリシャと比較してもその生産規模が桁外れであり、6,972,094トンという数値は世界全体の需要を支える一大生産国としての地位を象徴しています。この背景には、スペインが広大な農業用地および高度な栽培技術を活用していることが挙げられます。また、イタリアやギリシャも多様なオリーブ品種の栽培を行い、オリーブオイル製造を含む関連産業が国の経済において大きな役割を果たしています。
4位のトルコや5位のシリア、6位のモロッコといった国々も、地中海気候の恩恵を受け、比較的高い生産量を記録しています。しかし、これらの国々の中には気候変動や水資源不足、紛争の影響を受ける地域も含まれており、持続的な生産を維持するには課題を抱えています。例えば、シリアではこの地域での政治的混乱が農業生産全体に影響を及ぼしており、特に農業インフラの修復と安定化が必要とされています。
アフリカ北部の国々、例えばモロッコやチュニジアも上位に含まれており、これらの国々では農業の近代化と輸出向け生産が進められています。こうした地域では、地元の労働者への技術教育や国際的な物流ネットワーク構築が、さらに生産と販売を加速する可能性があります。
一方でアジアやアメリカ大陸では、オリーブ生産はまだ限定的です。例えば、アメリカ合衆国が42,003トンを記録しているものの、ヨーロッパ諸国に比べるとまだ小規模で、国内ニーズを満たすために輸入へ依存している状況にあります。また、中国の生産量は2,583トンと極めて低く、アジア地域では多くの国がオリーブ栽培に適した環境条件を持たないことが伺えます。このような地域では大規模な栽培よりも、小規模での効率的なオリーブ生産技術の普及が鍵となるでしょう。
地域ごとの課題を見ていくと、気候変動による雨量の減少や災害リスク、それに伴う農地の劣化が各地で共通の懸念事項となっています。特にオリーブは乾燥した気候に適応していますが、極端な干ばつや洪水が発生すると、一気に生産量が落ち込む可能性があります。各国では、灌漑システムの強化や耐乾性の新品種導入などが今後の重要な対策となるでしょう。
また、地政学的リスクにも注意が必要です。例えば、中東や北アフリカなど一部の生産国では、地域衝突の継続がオリーブ農業の基盤を脅かしています。このような状況下では、国際機関が仲介する形での農業支援や技術提供が必要不可欠となります。
将来的には、地球規模の課題である気候変動や人口増加に備え、各国は協力して持続可能性を高める努力が必要です。具体的には、気象予測技術を活用した対応策の導入や、生産地間の国際的なネットワークを強化することが挙げられます。また、低生産地域の潜在力を引き出すために、教育プログラムや農村開発の支援を進めることも重要です。これらの取り組みが、オリーブ産業全体をより効率的かつ安定したものにするでしょう。
最終的に、2009年度のデータから見えてくるのは、地中海沿岸諸国の圧倒的な強みと、各地域が直面する課題の多様性です。これらを克服するためには、国境を越えた協力体制と技術革新の両輪が求められます。現状の分析を踏まえ、未来に向けた具体的な取り組みに注力することが、持続可能なオリーブ生産と産業の成長に寄与すると言えるでしょう。