2018年のオリーブ生産量ランキングによると、スペインが約9,819,570トンで圧倒的な首位を占め、世界のオリーブ生産を牽引しています。2位のギリシャと3位のイタリアは、それぞれ2,764,628トンと1,953,540トンを生産し、地中海沿岸の国々が上位を占めています。10位以内には、地中海南岸のチュニジアやモロッコ、トルコ、エジプトなどもランクインしており、オリーブ生産の主力地域が地中海に集中していることがわかります。他の主要な生産国となる中南米やアジア・オセアニア地域の生産量は比較的少なく、分布に地域差が顕著です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 9,819,570 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 2,764,628 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 1,953,540 |
| 4 |
|
アフリカ | 1,617,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 1,561,465 |
| 6 |
|
アジア | 1,500,467 |
| 7 |
|
アフリカ | 1,083,771 |
| 8 |
|
アフリカ | 860,784 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 738,550 |
| 10 |
|
アジア | 664,643 |
| 11 |
|
アジア | 357,819 |
| 12 |
|
南アメリカ | 303,989 |
| 13 |
|
南アメリカ | 188,982 |
| 14 |
|
アジア | 145,000 |
| 15 |
|
アフリカ | 141,680 |
| 16 |
|
南アメリカ | 126,000 |
| 17 |
|
アジア | 125,150 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 117,573 |
| 19 |
|
オセアニア | 89,700 |
| 20 |
|
アジア | 85,913 |
| 21 |
|
アジア | 59,345 |
| 22 |
|
アジア | 54,500 |
| 23 |
|
北アメリカ | 48,630 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 28,420 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 26,040 |
| 26 |
|
アジア | 20,030 |
| 27 |
|
南アメリカ | 15,107 |
| 28 |
|
アジア | 12,292 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 11,801 |
| 30 |
|
南アメリカ | 11,240 |
| 31 |
|
アジア | 7,645 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 3,960 |
| 33 |
|
アジア | 2,598 |
| 34 |
|
南アメリカ | 2,500 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,620 |
| 36 |
|
アジア | 1,073 |
| 37 |
|
アジア | 784 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 610 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 279 |
| 40 |
|
アジア | 116 |
| + すべての国を見る | |||
オリーブの生産は、地中海性気候を基盤とした特定の環境に依存しているため、生産が地中海地域に集中しているのが特徴的です。ランキングトップのスペインは、9,819,570トンという圧倒的な生産量を誇ります。これは2位のギリシャや3位のイタリアの数倍にあたり、スペインが世界のオリーブ市場で果たしている中心的な役割を象徴しています。スペインにおける生産の高効率性は、適切な気候条件、広大な農地、ならびに長い栽培文化に支えられており、技術革新の恩恵も大きいです。特にアンダルシア地方が重要な生産拠点となっています。
上位10位のランキングには、スペインのほかギリシャ、イタリア、チュニジア、モロッコ、トルコなどが含まれ、これらの国々は古代から続くオリーブ栽培の中心地であることがわかります。これらの国では、オリーブの実自体の生産に加えて、オリーブオイルの製造や輸出なども重要な産業であり、経済への貢献度も高いです。一方で11位以下では、エジプトやアルジェリアなどアフリカの北部諸国が地中海沿岸に位置することを活かして一定の生産量を達成しているものの、上位国に比べると規模は小規模です。また、この地域では政治的不安定さや水資源の不足といった課題が影響している可能性があります。
欧州以外では、アルゼンチン(12位)やチリ(16位)といった中南米諸国が一定の生産量を示しており、この地域における潜在力も注目に値します。しかし、これらの新興生産国の競争力を高めるためには、輸送や流通、国際認知度の向上が課題となるでしょう。
日本における状況を見ると、オリーブ栽培は香川県小豆島などで行われていますが、2018年時点ではランキングに入るほどの大規模生産はありません。国内消費のほとんどは輸入品に依存しており、特にスペインやイタリアからの輸入が主力です。日本においてオリーブの栽培面積を拡大することは、地理的条件を考慮すると難しいですが、品質重視の特産品としての高付加価値な生産に注力すると、国内外での市場価値が高まる可能性があります。
また、地政学的な背景も重要な視点です。オリーブ栽培地の多くは、気候変動や水不足、紛争などの影響を受けやすい地域に位置しています。例えば、シリアやリビアといった国々は、過去の争乱による農業基盤の破壊や労働力不足に対応することに苦慮しています。また、気候変動の進行により、旱魃や地域によっては洪水が頻繁化し、オリーブの安定生産に 大きな障害となるリスクが高まっています。これに対処するためには、耐乾性や病気への耐性をもつ品種の研究・導入が必要不可欠です。
未来への具体的な対策としては、まず気候変動の影響を緩和するための国際的な技術共有が重要です。例えば、高効率な灌漑技術や、気候に強いオリーブの栽培方法について、技術先進国からの支援が期待されます。また、地域間協力を強化する枠組みの構築も欠かせません。地中海諸国が共同で市場を拡大する政策をとり、安定的な価格調整メカニズムを構築することで、農家の収益性向上や消費者への安定供給が実現します。
結論として、2018年のオリーブ生産量データは、地中海地域がこの産業で主導的な地位を占めていることを示しており、気候や地政学的リスクへの対応が今後の課題と言えます。日本やその他の地域では、独自の高付加価値モデルなどを活用することで市場への貢献が期待できるでしょう。地球規模の資源管理と持続可能な農業の実践が、オリーブ市場と環境の両立に不可欠です。