世界のオリーブ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関が発表した2006年度のデータによると、世界のオリーブ生産量で1位はスペイン（567万9,021トン）、2位はイタリア（341万5,683トン）、3位はギリシャ（242万5,149トン）でした。これら上位3カ国が他を大きく引き離しており、地中海地域がオリーブ生産の主要拠点であることが明確です。一方で、日本を含む東アジアや南米などは生産量が非常に少なく、世界全体の分布において地域間の大きな偏りが見られます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	スペイン	ヨーロッパ	5,679,021
2	イタリア	ヨーロッパ	3,415,683
3	ギリシャ	ヨーロッパ	2,425,149
4	トルコ	アジア	1,766,749
5	チュニジア	アフリカ	1,218,000
6	シリア・アラブ共和国	アジア	1,190,780
7	モロッコ	アフリカ	631,210
8	エジプト	アフリカ	500,000
9	ポルトガル	ヨーロッパ	372,012
10	アルジェリア	アフリカ	264,733
11	リビア	アフリカ	180,000
12	レバノン	アジア	177,300
13	アルゼンチン	南アメリカ	170,000
14	ヨルダン	アジア	146,829
15	パレスチナ国	アジア	137,805
16	イスラエル	アジア	60,000
17	イラン（イスラム共和国）	アジア	54,713
18	ペルー	南アメリカ	52,298
19	アメリカ合衆国	北アメリカ	45,360
20	オーストラリア	オセアニア	42,177
21	アルバニア	ヨーロッパ	40,200
22	チリ	南アメリカ	30,000
23	クロアチア	ヨーロッパ	27,530
24	キプロス	アジア	23,400
25	フランス	ヨーロッパ	18,382
26	北マケドニア	ヨーロッパ	12,000
27	メキシコ	南アメリカ	9,642
28	エルサルバドル	南アメリカ	7,364
29	ウルグアイ	南アメリカ	4,200
30	イラク	アジア	3,000
31	中国、台湾 中国省	アジア	2,499
32	スロベニア	ヨーロッパ	1,765
33	アフガニスタン	アジア	1,592
34	アゼルバイジャン	アジア	1,148
35	モンテネグロ	ヨーロッパ	352
36	ウズベキスタン	アジア	108
37	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	41
38	クウェート	アジア	27
39	マルタ	ヨーロッパ	5
40	ブラジル	南アメリカ	2
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2006年度のオリーブ生産量ランキングを見ると、スペイン、イタリア、ギリシャの3カ国がトップ3を占め、世界の生産量において圧倒的な地位を示しています。スペインの生産量は567万トンを超え、単独で第2位のイタリアと約220万トンの差をつけています。これらの国々はいずれも地中海性気候に属し、オリーブ栽培に適した土壌や気候条件が整っていることがその背景にあります。また、これらの地域ではオリーブオイルが食文化の中心を成しており、長い歴史と伝統を背景に農業技術や熟練の知識が蓄積されている点が特徴です。

4位にはトルコ（176万6,749トン）、5位にはチュニジア（121万8,000トン）が入り、これらもまた地中海沿岸の国々です。6位のシリア（119万780トン）は中東地域に属していますが、地中海性気候を共有する国であり、多くの生産地が地理的に集中していることがわかります。一方で、同ランク下位の国を見ると、オリーブの生産量が圧倒的に少なく、最下位のブラジルではわずか2トンにとどまっています。こうした世界的な生産分布の偏重は、地理的条件や歴史的背景が影響していることを如実に示しています。

このランキングにはいくつかの課題も見られます。例えば、中東や北アフリカ地域ではオリーブの生産量は高いものの、これらの地域はしばしば地政学的リスクに直面しています。深刻な内戦や政治的不安定、さらには気候変動の影響から、持続可能な農業生産の維持が難しい状況があります。特にシリアにおいては、近年の紛争により農業インフラが破壊され、長期的な生産への影響が懸念されています。また、チュニジアやモロッコのような国々では、持続可能な水資源の管理が今後の重要課題となるでしょう。オリーブは乾燥地帯でも栽培可能な植物ではありますが、基盤となる灌漑インフラの整備は生産性向上に不可欠です。

さらに、ランキング中位以下の国々、特にオーストラリアやアメリカ、アルゼンチンなどで取り組まれている新しい生産モデルにも注目が必要です。これらの国々では、近代的な灌漑技術や品種改良を活用し、効率的かつ競争力のある生産体制を整えつつあります。このような動きは、地中海地域の伝統的な生産国にとって競争となるばかりでなく、オリーブ製品の新しい市場の開拓にもつながります。しかし、こうした競争力を高める政策には、気候変動への対応や、有機栽培など消費者ニーズに合わせた農産物の提供など、多面的な戦略が求められます。

日本では、オリーブ栽培が盛んな瀬戸内地域が存在するものの、地理的・気候的条件の制約から依然として生産量が少なく、国産オリーブ需要の大部分を輸入に頼っています。他のアジア地域、とりわけ中国や韓国ではまだ生産量が少なく、市場拡大に向けた本格的な農業振興策は具体化していません。このため、日中韓を含めた東アジア地域においては、将来的に持続可能なオリーブ産業を築き上げるために、技術移転や国際協力の枠組み構築が必要とされます。

結論として、2006年度のオリーブ生産量ランキングを見ると、地中海地域が世界の供給の中核を担っている一方で、その地理的偏りが明らかになります。これに加え、紛争や気候変動がオリーブ産業に影響を及ぼす中、安定的な生産体制を築くためには、国際的な協力体制や環境適応型の灌漑技術などの導入が重要です。地中海以外の地域でも適切な政策支援を通じて、生産の多様化と持続可能性の確保が重要課題として位置付けられるでしょう。このような取り組みを通じて、オリーブ産業そのものの発展と、各国の経済や食文化の多様性向上に寄与することが期待されます。