Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、1983年度のオリーブ生産量ランキングで1位はイタリア(4,206,000トン)、2位はギリシャ(1,430,530トン)、3位はスペイン(1,328,400トン)でした。これらの国々は地中海地域に位置し、同地域が世界のオリーブ生産の中心であることを強く示しています。この上位3カ国だけで、総生産量の約65%を占めることが確認されます。一方で、下位圏にはアジア、中南米の国々が含まれており、オリーブ生産の地域的偏りが顕著です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 4,206,000 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 1,430,530 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,328,400 |
| 4 |
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アフリカ | 750,000 |
| 5 |
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アジア | 400,000 |
| 6 |
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アフリカ | 273,900 |
| 7 |
|
アジア | 152,000 |
| 8 |
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アフリカ | 144,000 |
| 9 |
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アフリカ | 135,317 |
| 10 |
|
南アメリカ | 108,000 |
| 11 |
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ヨーロッパ | 90,692 |
| 12 |
|
北アメリカ | 55,340 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 45,000 |
| 14 |
|
アジア | 37,200 |
| 15 |
|
アジア | 22,200 |
| 16 |
|
アジア | 20,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 15,500 |
| 18 |
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南アメリカ | 10,635 |
| 19 |
|
アフリカ | 9,000 |
| 20 |
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南アメリカ | 8,670 |
| 21 |
|
アジア | 7,541 |
| 22 |
|
南アメリカ | 7,150 |
| 23 |
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南アメリカ | 3,200 |
| 24 |
|
アジア | 3,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 26 |
|
アジア | 3,000 |
| 27 |
|
オセアニア | 868 |
| 28 |
|
アジア | 639 |
| 29 |
|
アジア | 500 |
| 30 |
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南アメリカ | 171 |
| 31 |
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ヨーロッパ | 21 |
| 32 |
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アジア | 5 |
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1983年度のデータを見ると、オリーブ産業における地域分布が非常に偏っていることがわかります。イタリア、ギリシャ、スペインの3カ国が生産量の大部分を占め、合計で6,964,930トンと全体の65%を占めています。これに続くチュニジア、トルコ、モロッコなどの中東及び北アフリカ(MENA)地域の国々も、重要な生産国として存在感を示しています。オリーブは主に地中海性気候が適しているため、この地域的集中は気象条件や土壌の適性といった自然環境に依存していると考えられます。
上位3カ国の中でも、イタリアは突出しており、生産量は4,206,000トンに達しています。この数字は2位ギリシャの約3倍、3位スペインの約3.2倍にあたります。イタリアの高い生産量の要因は、長い歴史を持つ栽培技術と国内消費ならびに輸出需要に支えられています。例えば、イタリア産のオリーブオイルは品質の高さから世界的に評価されており、高付加価値の製品として国際市場での競争力が高いです。一方、ギリシャやスペインについても、伝統的な栽培地として高い生産量を維持し、国内外での消費が盛んです。
これに対して、アジアやアメリカ大陸の国々の生産量は非常に少なく、イタリアの生産量とは比較になりません。たとえばアメリカ合衆国の生産量は55,340トンで、イタリアのたった1.3%にしか過ぎません。また、アジア地域においては、イランの生産量がわずか7,541トン、中国(台湾 中国省)が639トンと極めて低くなっています。アジア地域の消費者層の嗜好がオリーブを中心とする地中海風の食事にまだ集中していない点も、生産量が低い要因の一つと言えるでしょう。
また、フランス(15,500トン)やアメリカなどの伝統的な消費国が比較的少ない生産量である点も興味深いです。これらの国々では、消費は主に輸入品に依存していると考えられ、大規模な国内生産を行う環境が必ずしも整っていないことが背景にあります。
地政学的観点から見ると、オリーブ生産は地域の安定に強く依存しています。たとえば、シリアやリビアのような中東地域では、近年の政治的不安定が生産量や貿易流通に影響を与える可能性が高く、将来的な課題として予測されます。さらに、モロッコやアルジェリアのような北アフリカの国々でも干ばつや降水量の減少が今後の生産性に影響を及ぼすリスクがあります。この点において、気候変動に関連した持続可能な農業技術の導入が重要になると考えられます。
世界的なオリーブ消費の増加傾向と共に、新たな生産地の拡大も必要と言えます。その中で具体的に提案できるのは、より多様な地域でのオリーブ栽培への取り組みです。例えば、オーストラリアや南米のアルゼンチンなど、既存の中規模生産地ではさらなる拡大の可能性が見込まれます。このような地域では、地元の気候条件や農業資源を活かし、現地消費を主軸としながら国際市場への輸出も進めるべきです。
総じて、地中海諸国がオリーブ生産の中心である現状は今後も続くことが予想されますが、同時に地球規模での需要増加や地域競争を見据え、多地域での生産体制の構築が求められます。これには、国際機関による技術支援や地域的な枠組みを通じた協力が必要です。また、農業の多角化や気候変動への対応策も同時に進めることで、持続可能なオリーブ生産を世界的に確保していくことが求められます。