国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1976年度のオリーブ生産量ランキングによると、1位はスペインで2,138,800トン、2位はイタリアで1,668,100トン、3位はギリシャで1,099,240トンのオリーブを生産しました。この3国が世界のオリーブ生産の中心的役割を担っており、特にスペインは他国を大きく引き離した生産量を誇っています。一方でアフリカや中東地域の一部でも生産が行われており、チュニジア、モロッコ、シリアが顕著な成果を見せています。アメリカ合衆国やアルゼンチン、ブラジルなど、新興地域での生産が小規模ながら登場していることも注目すべき点です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 2,138,800 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 1,668,100 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,099,240 |
| 4 |
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アジア | 1,097,000 |
| 5 |
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アフリカ | 435,200 |
| 6 |
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アフリカ | 304,000 |
| 7 |
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ヨーロッパ | 277,891 |
| 8 |
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アジア | 233,403 |
| 9 |
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アフリカ | 221,015 |
| 10 |
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アフリカ | 155,096 |
| 11 |
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南アメリカ | 79,300 |
| 12 |
|
北アメリカ | 72,574 |
| 13 |
|
アジア | 51,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 42,000 |
| 15 |
|
アジア | 22,540 |
| 16 |
|
アジア | 19,500 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 16,212 |
| 18 |
|
南アメリカ | 11,800 |
| 19 |
|
アジア | 10,160 |
| 20 |
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南アメリカ | 9,728 |
| 21 |
|
アジア | 9,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,617 |
| 23 |
|
南アメリカ | 7,410 |
| 24 |
|
アジア | 7,000 |
| 25 |
|
オセアニア | 3,144 |
| 26 |
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南アメリカ | 2,800 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,500 |
| 28 |
|
アジア | 1,336 |
| 29 |
|
アジア | 1,236 |
| 30 |
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南アメリカ | 1,190 |
| 31 |
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ヨーロッパ | 18 |
| 32 |
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アジア | 4 |
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1976年度のオリーブ生産は、主に地中海沿岸諸国が主導しており、特にスペイン、イタリア、ギリシャの存在感が際立っています。これらの地域は地中海性気候の恩恵を受け、オリーブの栽培に適した土地と気候条件を有しています。1位のスペインは2,138,800トンの生産量を記録しており、2位のイタリアを大きく引き離しています。スペインの圧倒的な生産量は、その大規模な農園経営と伝統的なオリーブ栽培技術の発展によるものであり、輸出市場の重要なプレーヤーとしても機能しています。しかし、2,938,100トンを生産したイタリアも、産地としての多様性や品質管理に重点を置いており、高価格なバージンオリーブオイルを国際市場で提供しています。このように、ランキング上位国はただ生産量が高いだけでなく、品質にも重きを置いている点が特徴と言えます。
一方、第4位や第5位にトルコやチュニジアの名が挙がることから、地中海地域全体でのオリーブ生産への依存が見て取れます。これらの国々では、比較的小規模であるものの伝統的な方法による生産が行われており、地域経済にとって重要な位置を占めています。ただし、トルコやチュニジアは当時、農業技術の整備や灌漑設備、また国際貿易インフラの整備が不十分であるため、生産量の増加に一定の制約を抱えていました。
また、アメリカ合衆国やアルゼンチンなどの非地中海地域の国々がランキングに登場していることは注目すべき点です。これらの国々では、生産量こそ地中海諸国に比べて少ないものの、食文化の多様化や健康志向の広まりを背景に、オリーブ生産の潜在的な成長が見込まれていました。特にアメリカでは、西海岸地域を中心に、オリーブの商業的生産が進められていましたが、気候や土壌の違いから生産量は他国に比べて控えめでした。
しかし、ランキング下位に目を向けるとマルタやクウェートのように、生産量が極めて少量またはゼロに近い国も含まれています。これらの国々は地理的な条件や気候、さらに土地利用の制約もあり、本格的なオリーブ栽培が困難な状況にあります。このことから、オリーブの生産は地理的条件に強く依存しており、地中海地域以外では大規模な商業的生産が難しい実態が明確になっています。
課題としては、地中海地域における気候変動の影響が挙げられます。オリーブは火災や乾燥など長期の環境変化に対して一定の耐性がありますが、極端な気温上昇や水資源不足が進めば、収量や品質に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、地域紛争や地政学的な緊張も、特にシリアやチュニジアなど一部の生産国にとって供給網の崩壊リスクを高める要因です。
今後の具体的な提案としては、気候適応型農業技術の導入や、水資源管理の効率化が不可欠です。また、地中海沿岸諸国間での協力を強化し、相互の技術交流や市場調整を促進する枠組みが課題解決の鍵となるでしょう。さらには、新興国でのオリーブ栽培の潜在性を研究し、また国際貿易機関を通じて効率的な輸出入体制を整えることで、地中海地域への過度な依存を軽減することが可能です。
総じて、1976年度のデータは、地中海地域が世界のオリーブ生産において抜きん出た地位を占めていることを示していますが、生産地域の多様化と将来を見据えた持続可能な農業システムの構築が求められることは明白です。国際的な取り組みがこれらの課題に効率的に対応することで、オリーブ農業全体がさらなる発展を遂げることが期待されます。