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エジプトのナス生産量推移(1961年~2023年)

FAO(Food and Agriculture Organization、国際連合食糧農業機関)が公表した最新データによれば、エジプトのナス生産量は1961年の127,000トンから2022年には1,396,725トンまで増加しました。ナスの生産量は年々増加傾向にあるものの、特定の期間には減少や停滞も見られます。この半世紀以上にわたるデータから、エジプトにおける農業政策や気候条件、国際需給バランスの影響が生産量の推移に反映されていることが伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,859,439
33.13% ↑
2022年 1,396,725
-1.28% ↓
2021年 1,414,860
10.68% ↑
2020年 1,278,350
-5.11% ↓
2019年 1,347,230
14.25% ↑
2018年 1,179,173
-14.32% ↓
2017年 1,376,303
5.85% ↑
2016年 1,300,265
8.27% ↑
2015年 1,200,971
-4.53% ↓
2014年 1,257,913
0.9% ↑
2013年 1,246,707
4.43% ↑
2012年 1,193,854
2.35% ↑
2011年 1,166,430
-5.15% ↓
2010年 1,229,792
-4.68% ↓
2009年 1,290,190
3.82% ↑
2008年 1,242,665
7.07% ↑
2007年 1,160,621
-1.67% ↓
2006年 1,180,280
2.11% ↑
2005年 1,155,920
10.43% ↑
2004年 1,046,742
1.99% ↑
2003年 1,026,353
24.13% ↑
2002年 826,870
17.61% ↑
2001年 703,062
-0.82% ↓
2000年 708,840
26.13% ↑
1999年 562,000
0.36% ↑
1998年 560,000
0.9% ↑
1997年 555,000
0.9% ↑
1996年 550,044
38.06% ↑
1995年 398,409
9.15% ↑
1994年 365,000
6.41% ↑
1993年 343,000
0.01% ↑
1992年 342,974
-17.39% ↓
1991年 415,163
7.83% ↑
1990年 385,000
5.77% ↑
1989年 364,000
-1.89% ↓
1988年 371,000
-13.92% ↓
1987年 431,000
0.94% ↑
1986年 427,000
32.2% ↑
1985年 323,000
17.88% ↑
1984年 274,000
-7.74% ↓
1983年 297,000
-2.96% ↓
1982年 306,067
3.23% ↑
1981年 296,487
4.26% ↑
1980年 284,367
-8.94% ↓
1979年 312,291
10.74% ↑
1978年 282,000
17.74% ↑
1977年 239,504
4.25% ↑
1976年 229,736
5.74% ↑
1975年 217,267
1.53% ↑
1974年 214,000
7% ↑
1973年 200,000
-2.44% ↓
1972年 205,000
-8.07% ↓
1971年 223,000
2.29% ↑
1970年 218,000
-6.84% ↓
1969年 234,000
11.96% ↑
1968年 209,000
6.41% ↑
1967年 196,409
-0.01% ↓
1966年 196,426
10.98% ↑
1965年 177,000
1.72% ↑
1964年 174,000
8.07% ↑
1963年 161,000
14.18% ↑
1962年 141,000
11.02% ↑
1961年 127,000 -

エジプトのナス生産は、国内の食料供給や農業輸出において重要な位置を占めています。データを見ると1960年代から1970年代にかけては緩やかな増加を示し、1980年代から1990年代前半には生産量が伸び悩む時期がありました。しかしながら、2000年代に入ると急激に生産量が増加し、特に2003年から2006年にかけて生産量が1,000,000トンを超える劇的な成長を記録しています。この上昇は、エジプト政府が農業生産性向上を目的とした政策改革を実施したことや、灌漑技術の進化、さらには輸出需要の拡大に起因すると考えられます。

エジプトはナスの主要生産国の一つであり、その生産量の増加は国内消費の安定化だけでなく、国際市場への影響力の強化にもつながっています。しかし、細かく見てみると、生産量は一貫して増加しているわけではなく、例えば2008年から2011年の間や2018年には減少傾向も見られます。これらの変動については、地政学リスクや経済的要因、さらには気候変動が関連していると考えられます。特に2011年は「アラブの春」の影響で、エジプト全土で農業生産活動が一時的に低迷したことが背景にある可能性があります。

また、2020年以降も新型コロナウイルスのパンデミックがナス生産にも影響を及ぼしました。世界的な物流の停滞や労働力不足、肥料価格の高騰が農業全般に課題をもたらし、2020年の生産量は2019年をやや下回る結果となりました。ただし、その後の2021年には1,414,860トンと過去最高を記録しており、エジプトの農業部門が持つ回復力の強さもうかがえます。

今後の課題としては、人口増加が進む中でさらに安定した生産基盤の構築が求められます。また、生産されたナスの品質や付加価値を高め、国際市場での競争力を維持することも肝心です。環境面においては、気候変動への適応が急務となっています。具体的には、耐旱性(乾燥に強い)品種の開発や、持続可能な農業技術の普及が不可欠です。また、エジプトならではの地理的利点を生かし、地域間での輸出協力を強化することも視野に入れるべきでしょう。

エジプトのナス生産が持つもう一つの課題は、地域格差の解消です。大都市周辺や肥沃な農業地帯では生産量が多い一方で、それ以外の地域は限られた技術や資源で農業を行っているケースが多くあります。このため、エジプト全土での農業振興を図るためには、技術支援やインフラの整備が重要です。

結論として、エジプトのナス生産量は過去60年以上の間で劇的に増加し、世界農業の中で存在感を示しています。しかし、生産量の持続的な成長や国際市場での地位向上のためには、政策支援や技術革新、地域間協力の強化などが鍵になります。ナスという単一作物を通して、エジプトの農業全体が直面する課題や可能性を読み解くことができ、今後の脆弱性克服と効率化が期待されます。エジプト政府および国際機関は、灌漑技術や品種改良を一層進展させるとともに、気候変動に対処するための包括的な戦略を開発するべきです。