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エジプトのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

最新の国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、エジプトのカリフラワーとブロッコリーの生産量は2023年時点で116,611トンです。この数値は、過去数十年の間で急激な増減を経て、ここ数年間は中程度の安定した水準に達しています。1970年代には徐々に増加していましたが、1980年代の後半には変動が目立ち、特に2011年以降は急激な増産とその後の減少を繰り返していることが分かります。こうした推移の要因には、国内外の政治的・経済的状況や、気候変動の影響が関与している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 116,611
2.14% ↑
2022年 114,168
3.39% ↑
2021年 110,425
-3.98% ↓
2020年 115,000
8.85% ↑
2019年 105,650
5.04% ↑
2018年 100,576
-7.52% ↓
2017年 108,756
5.15% ↑
2016年 103,431
-43.36% ↓
2015年 182,615
16.89% ↑
2014年 156,226
17.53% ↑
2013年 132,923
-22.31% ↓
2012年 171,088
-14.97% ↓
2011年 201,201
70.71% ↑
2010年 117,864
18.46% ↑
2009年 99,494
-20.2% ↓
2008年 124,680
7.84% ↑
2007年 115,620
-8.03% ↓
2006年 125,720
10.67% ↑
2005年 113,600
-13.42% ↓
2004年 131,209
19.7% ↑
2003年 109,618
-0.72% ↓
2002年 110,409
0.5% ↑
2001年 109,864
0.1% ↑
2000年 109,751
-0.91% ↓
1999年 110,764
-3.47% ↓
1998年 114,741
23.62% ↑
1997年 92,820
-9.96% ↓
1996年 103,086
-5.8% ↓
1995年 109,436
3.24% ↑
1994年 106,000
0.95% ↑
1993年 105,000
9.12% ↑
1992年 96,228
15.58% ↑
1991年 83,259
-2.72% ↓
1990年 85,583
20.54% ↑
1989年 71,000
-29.7% ↓
1988年 101,000
-10.62% ↓
1987年 113,000
17.71% ↑
1986年 96,000
3.23% ↑
1985年 93,000
3.33% ↑
1984年 90,000
-5.26% ↓
1983年 95,000
3.08% ↑
1982年 92,164
-7.63% ↓
1981年 99,774
2.43% ↑
1980年 97,403
0.06% ↑
1979年 97,341
13.73% ↑
1978年 85,592
-1.06% ↓
1977年 86,510
4.77% ↑
1976年 82,575
17.96% ↑
1975年 70,000
18.64% ↑
1974年 59,000
-15.71% ↓
1973年 70,000
-6.67% ↓
1972年 75,000
-1.32% ↓
1971年 76,000
1.33% ↑
1970年 75,000
7.14% ↑
1969年 70,000
1.45% ↑
1968年 69,000
39.3% ↑
1967年 49,533
-19.71% ↓
1966年 61,694
4.38% ↑
1965年 59,106
6.97% ↑
1964年 55,254
15.32% ↑
1963年 47,912
1.34% ↑
1962年 47,280
-6.54% ↓
1961年 50,586 -

エジプトのカリフラワーとブロッコリーの生産量は、長期的に見ると成長と停滞、そして変動の幅が大きい動向を辿っています。1960年代の生産量はおおむね50,000トン±数千トンの範囲で推移していましたが、その後1970年代にかけて拡大し、1979年には97,341トンと急増しました。この当初の増産は農業技術の改善や栽培面積の拡大が要因と考えられます。また、市場での需要の増加や政府による農業振興政策も、生産量の向上に寄与した可能性があります。

1980年代から1990年代前半にかけては、概ね90,000トンから100,000トンの範囲で安定的に推移しましたが、その後の1990年代後半には114,741トンに達するなど、一時的なピークが見られました。しかし、1989年や2009年など数回にわたり顕著な減少が見られ、その背景には外的な要因が関わっていると推定されます。1989年の落ち込み(71,000トン)は、当時の地政学的事情や国内の経済混乱が影響した可能性が高いと考えられます。さらに、2009年の減少(99,494トン)に関しては、世界的な経済不況や気候変動、さらには作物の病害虫の影響により農業生産が一時停滞したことが影響しているかもしれません。

2011年には生産量が飛躍的に増加し、201,201トンという記録的な数値に達しました。この大幅な増加の背景として、エジプト国内の政治的変動、農地の再分配、そして市場自国需要の急拡大が影響したと推測されます。しかし、その後数年間は増減を繰り返しつつ、思わしくない年間も見られます。たとえば、2016年には過去の平均水準を下回る103,431トンに減少しました。

近年、エジプトは再び115,000トン前後の中程度の安定推移を見せています。この傾向は、生産技術の一層の向上や市場の安定化、また政府が農業分野における国家戦略を強化している可能性を示しています。しかしながら、この水準は急激に増大した2011年や2015年の規模には達しておらず、エジプト農業の持続的発展における課題が残されています。

気候変動は、エジプトの農業における重要な課題の1つです。エジプトは乾燥地域であるため、水資源の制約が農業生産に直接的な影響を与えます。近年ナイル川流域を巡った地域衝突や水資源の利用問題が取り沙汰されており、これらの地政学的リスクが今後の農業生産にさらなる緊張をもたらす可能性があります。また、気候危機により気温が上昇し、作物に対する熱ストレスや病害虫の蔓延が深刻化する恐れもあります。

このような状況の中で、エジプトが取るべき具体的な対策としては、農業灌漑システムの近代化と効率化、新たな耐熱性を有するカリフラワー・ブロッコリ―品種の開発、および持続可能な農業モデルの普及が挙げられます。また、地域間協力の強化(たとえば、ナイル川流域の他国との協調管理)も、農業の安定確保に資する重要な手段です。さらに、国際機関や民間セクターとの連携による技術移転や投資促進も奨励されるべきです。

結論として、エジプトのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移は、全世界的な食糧供給において重要な指標と言えます。これらのデータは、単なる数値ではなく、地域のサステイナビリティや経済的安定性、そして地球規模の食糧安全保障に直結していることが明白です。したがって、エジプトだけでなく、国際社会や関連する諸機関が協力し、その安定的・効率的拡大を支える対策を講じる必要があると言えるでしょう。