世界のオリーブ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

1988年度のオリーブ生産量ランキングデータによると、世界最大のオリーブ生産国はスペインで2,223,700トン、次いでイタリアが2,218,130トン、ギリシャが1,603,430トンでした。これら3カ国が全体の生産量の大部分を占める結果となり、地中海沿岸地域がオリーブ生産の中心地であることを示しています。一方で、これらの国々以外の生産量は圧倒的に少なく、全体として非常に偏った分布が見られました。日本を含めたアジアや南米、オセアニア地域における生産は限定的で、地域ごとの特色と課題が浮かび上がります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	スペイン	ヨーロッパ	2,223,700
2	イタリア	ヨーロッパ	2,218,130
3	ギリシャ	ヨーロッパ	1,603,430
4	トルコ	アジア	1,100,000
5	シリア・アラブ共和国	アジア	487,179
6	モロッコ	アフリカ	347,000
7	チュニジア	アフリカ	270,000
8	アルジェリア	アフリカ	142,892
9	ポルトガル	ヨーロッパ	129,700
10	アルゼンチン	南アメリカ	111,200
11	アメリカ合衆国	北アメリカ	79,380
12	ヨルダン	アジア	70,795
13	リビア	アフリカ	61,958
14	レバノン	アジア	39,420
15	イスラエル	アジア	39,000
16	エジプト	アフリカ	30,609
17	アルバニア	ヨーロッパ	23,400
18	キプロス	アジア	18,000
19	イラン（イスラム共和国）	アジア	14,312
20	イラク	アジア	11,000
21	メキシコ	南アメリカ	10,516
22	ペルー	南アメリカ	8,565
23	フランス	ヨーロッパ	7,400
24	チリ	南アメリカ	5,200
25	エルサルバドル	南アメリカ	3,400
26	ウルグアイ	南アメリカ	3,000
27	中国、台湾中国省	アジア	1,900
28	アフガニスタン	アジア	1,070
29	オーストラリア	オセアニア	597
30	マルタ	ヨーロッパ	18
31	ブラジル	南アメリカ	11
32	クウェート	アジア	10
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1988年のオリーブ生産量ランキングでは、スペインが最も多くのオリーブを生産し、イタリア、ギリシャと続きました。この三国は合計で約6,045,260トンを生産し、全世界の生産量の約80％を占めています。この統計は、地中海沿岸地域がオリーブ栽培に最適な気候条件を持つことを裏付けており、長い歴史と文化の中で培われた農業技術の成果とも言えます。一方、トルコも重要な生産国として1,100,000トンを記録し、地中海地域外での大規模生産国として注目されています。

地中海沿岸以外では生産量が大幅に減少し、ランキング下位の国々ではほとんど産業化されていないのが特徴的です。たとえば中国、台湾やオーストラリアなどでは数百トン未満の生産にとどまり、気候条件や市場規模の問題がその背景にあると考えられます。反対にアルゼンチンやアメリカなどでは、地中海地域への輸出を重視したオリーブ栽培が徐々に発展しつつある段階にありました。

低生産量国が抱える課題としては、適切な栽培条件やインフラの不足が挙げられます。また、消費・生産への文化的な関心の薄さや、国際市場における競争力の低さが成長の阻害要因となっています。この点において、地中海諸国との生産量の差は、単なる気候の違いだけでなく、栽培技術や市場へのアクセスの格差も大きく影響しています。

また、紛争地であるシリアやリビアなどの中東地域がランキングに顔を出し、特にシリアは487,179トンと中位に位置しました。中東地域では内戦や制裁が生産や輸出経済に影響を与え、生産量増加の大きなハードルになっています。同様に、これらの状況が地域の農業従事者の生活基盤を脅かしているため、国際的な支援が急がれます。

未来への課題としては、気候変動による生産量への影響も無視できません。オリーブは乾燥地帯に強い作物ですが、過度の気温上昇や異常気候は、収量や品質に悪影響を及ぼす可能性があります。このような気候問題に対応するため、生産地では水資源管理の効率化や耐候性のある品種改良が急務です。そして、低生産量の国々においては地域間交流を強化し、技術供与や輸送インフラ整備による能力向上を目指すべきでしょう。

加えて、オリーブ市場への関心が低い地域では、地元消費を含めたオリーブ製品の需要喚起が求められます。例えば、食文化への認識を高めるキャンペーンや、健康志向に合った商品の普及が経済効果を促進するでしょう。また、国際機関は紛争地域での農業支援を拡充し、安定的な供給体制の構築を支える役割を担う必要があります。

結論として、1988年のデータから見えるのは生産地の偏在性と、地政学や市場環境がその背後にあるということです。既存の主要生産国は気候変動への対応に力を注ぎつつ、中小生産国との協力を深めることが生産全体の向上に寄与します。国際社会全体での技術共有や投資支援を進めることが、持続可能なオリーブ産業の未来を構築する鍵となります。