国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の2023年度のデータによると、世界のオリーブ生産量ランキングで最も多かったのはスペインで、5,101,010トンという圧倒的な生産量を記録しました。2位はイタリア(2,397,880トン)、3位はトルコ(1,520,000トン)が続きました。これら上位3か国が世界のオリーブ生産の大部分を占めており、主に地中海地域が全体の供給を支えています。一方で、ランキング下位のマルタでは20トンと極小規模の生産にとどまっており、全世界的な生産格差の大きさが浮き彫りとなっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 5,101,010 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 2,397,880 |
| 3 |
|
アジア | 1,520,000 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 1,194,990 |
| 5 |
|
アフリカ | 1,077,206 |
| 6 |
|
アフリカ | 1,046,056 |
| 7 |
|
アフリカ | 1,034,310 |
| 8 |
|
アフリカ | 904,014 |
| 9 |
|
アジア | 697,325 |
| 10 |
|
アジア | 391,034 |
| 11 |
|
南アメリカ | 344,715 |
| 12 |
|
南アメリカ | 206,983 |
| 13 |
|
アジア | 169,458 |
| 14 |
|
アフリカ | 147,411 |
| 15 |
|
アジア | 136,176 |
| 16 |
|
南アメリカ | 131,440 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 117,618 |
| 18 |
|
アジア | 113,789 |
| 19 |
|
アジア | 110,771 |
| 20 |
|
北アメリカ | 110,220 |
| 21 |
|
オセアニア | 100,536 |
| 22 |
|
アジア | 46,000 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 29,850 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 29,740 |
| 25 |
|
アジア | 29,210 |
| 26 |
|
南アメリカ | 23,653 |
| 27 |
|
アジア | 21,930 |
| 28 |
|
南アメリカ | 14,000 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 11,742 |
| 30 |
|
南アメリカ | 11,451 |
| 31 |
|
アジア | 7,785 |
| 32 |
|
南アメリカ | 6,864 |
| 33 |
|
アジア | 5,691 |
| 34 |
|
アジア | 2,617 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 1,310 |
| 36 |
|
アジア | 687 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 497 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 382 |
| 39 |
|
アジア | 117 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 20 |
| + すべての国を見る | |||
2023年度のデータを見ると、オリーブの生産量の分布には地理的な特徴が顕著に現れています。例えば、地中海沿岸諸国が上位を占めている理由は、この地域が古くからオリーブ栽培に適した気候条件—夏が乾燥しており、冬は穏やか—に恵まれているためです。スペインは5,101,010トンを生産し、2位のイタリアの約2倍以上の生産量を誇り、世界市場への供給を担っています。この成功の背景には、広大な耕作地を活用した集約的農業技術の導入や、オリーブオイル輸出体制の整備が挙げられます。
イタリアはスペインに次ぐ生産量を記録しましたが、その多くは高級オリーブオイルとして付加価値の高い製品に加工・輸出されています。トルコ、ポルトガル、チュニジアも上位に位置し、いずれも地中海地域の影響を色濃く受けている国々です。また、北アフリカのモロッコやエジプトも、年間100万トン前後を生産しており、この地域はオリーブ生産地としての重要性を増しています。
一方、ランキング下位に目を向けると、中国、台湾省や日本など非地中海地域での生産はごく少量にとどまっており、主に自国消費を中心とした小規模生産が主流です。例えば、37位のボスニア・ヘルツェゴビナや40位のマルタなどでは100トン台にも満たない生産量であることが分かります。
このような生産量の偏在にはいくつかの課題も指摘されています。気候変動による干ばつや高温の影響は、地中海沿岸諸国をはじめとするオリーブ主要生産地に深刻な影響を与えており、特に乾燥地帯のチュニジアやモロッコでは水資源不足が深刻化しています。このまま何の対策もとらなければ、持続可能な生産体制の確保が困難になる恐れがあります。
また、地政学的なリスク、特に中東地域や北アフリカの不安定な政情は供給網にも影響を与える可能性があります。たとえば、シリアやリビアでは地域衝突の影響で農地が破壊され、農業従事者の生活が困窮しています。この結果、これらの国々の生産量は大きく落ち込んでいます。同様に、ヨルダンやパレスチナ、さらにはイスラエルでも地政学的リスクがオリーブの栽培や輸出を安定させる障害となっており、地域間協力の枠組みが必要です。
未来への提言として、まずは干ばつや気候変動への適応策が求められます。具体的には、水資源の効率的な利用を可能にする灌漑設備の導入や、耐乾燥性が高いオリーブ品種の開発と普及が鍵となります。また、地域内外の協力を強化し、特に北アフリカや中東地域での国際的な技術支援を拡充することが重要です。さらに、小規模な生産国にも目を向け、技術移転やインフラ整備を通じて生産性向上を図れば、オリーブ市場全体の持続可能性が大きく向上するでしょう。
結論として、スペインやイタリアといった主要国が牽引する形で、オリーブ生産は世界の需要を支え続けていますが、気候変動や地域紛争といった課題に直面しています。FAOや他の国際機関が中心となり、持続可能で安定したオリーブ供給を実現するための具体的な対策を講じることが急務となっています。