国際連合食糧農業機関(FAO)の発表した2020年度のオリーブ生産量ランキングによると、1位はスペインで圧倒的な生産量8,137,810トンを記録しました。続いてギリシャが3,051,400トン、イタリアが2,207,150トンで2位と3位を占めています。これら上位3カ国だけで全体の半分以上を生産しており、地中海地域がオリーブ生産の中心地であることが明確です。一方、アジア・アメリカ諸国の生産量は全体的に少なく、地域ごとの大きな差が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 8,137,810 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 3,051,400 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 2,207,150 |
| 4 |
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アフリカ | 2,000,000 |
| 5 |
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アフリカ | 1,409,266 |
| 6 |
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アジア | 1,316,626 |
| 7 |
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アフリカ | 1,079,508 |
| 8 |
|
アフリカ | 968,400 |
| 9 |
|
アジア | 781,204 |
| 10 |
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ヨーロッパ | 735,350 |
| 11 |
|
アジア | 364,546 |
| 12 |
|
南アメリカ | 321,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 174,316 |
| 14 |
|
アフリカ | 172,520 |
| 15 |
|
アジア | 169,265 |
| 16 |
|
アジア | 136,380 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 131,971 |
| 18 |
|
南アメリカ | 130,817 |
| 19 |
|
アジア | 101,809 |
| 20 |
|
アジア | 83,000 |
| 21 |
|
アジア | 76,630 |
| 22 |
|
北アメリカ | 61,420 |
| 23 |
|
オセアニア | 48,204 |
| 24 |
|
アジア | 33,912 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 33,230 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 27,690 |
| 27 |
|
南アメリカ | 26,762 |
| 28 |
|
アジア | 22,010 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 12,020 |
| 30 |
|
南アメリカ | 11,273 |
| 31 |
|
アジア | 7,546 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 3,100 |
| 33 |
|
南アメリカ | 2,651 |
| 34 |
|
アジア | 2,622 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,931 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 985 |
| 37 |
|
アジア | 969 |
| 38 |
|
アジア | 740 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 295 |
| 40 |
|
アジア | 118 |
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2020年度のオリーブ生産量データを見ると、地中海沿岸諸国がオリーブ生産において圧倒的な優位性を保っていることがわかります。スペインは他国を大きく引き離し、8,137,810トンという生産量を記録しました。主要な生産地域であるアンダルシア地方は、温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれており、輸出の面でも重要な拠点となっています。スペインの独走に続くギリシャ(3,051,400トン)とイタリア(2,207,150トン)は高品質のオリーブオイルで世界的に知られています。
生産量4位のチュニジアは、中東・北アフリカ地域の中で注目すべき存在です。その生産量は2,000,000トンで、特に乾燥地域でも成長できるオリーブ栽培をうまく活用しています。この地域では、水資源が限られている中で、オリーブが経済や農村開発において重要な役割を果たしています。一方、モロッコ(1,409,266トン)やトルコ(1,316,626トン)も生産量を増加させており、彼らの農業政策が効を奏していると言えます。
これとは対照的に、アメリカ合衆国(61,420トン)やオーストラリア(48,204トン)などの非地中海諸国は、比較的小規模な生産を続けており、主に国内消費のための生産に留まっています。中国(2,622トン)のような新興経済国ではオリーブの栽培がまだ始まったばかりであり、消費需要の成長に比べて供給体制の整備が遅れています。
一部の地域で見られる課題として、新型コロナウイルスの影響や気候変動があります。2020年度はパンデミックによる労働力不足や物流の停滞が、収穫や輸送に影響を与えた可能性があります。また、近年の異常気象による干ばつや洪水などが、一部の主要生産国でオリーブの収穫期に大きな困難をもたらしました。例えば、チュニジアやモロッコではこうした環境要因が生産量増加の足かせともなっています。
今後の課題としては、持続可能な農業の実現が挙げられます。地中海沿岸諸国を中心としたオリーブ生産地では、水資源の管理や地力の回復が不可欠となっています。同時に、他の地域、特にアジア諸国では、農業技術の向上や生産設備への投資を通じて、生産力を高める必要があります。また、国際的には、地政学的リスクや摩擦がオリーブの輸出入に与える影響についても対策が求められています。紛争や関税政策の変動はオリーブやオリーブオイルの価格に直接影響を及ぼすため、地域間での協調や貿易ルートの多様化が今後重要となるでしょう。
結論として、このデータは地中海地域がオリーブの主要生産地であり続けていることを示すと同時に、気候変動や経済要因が今後の生産量に影響を与える可能性を示唆しています。各国は技術開発や輸出政策の見直しを進めるとともに、持続可能な取り組みを強化するべきです。また、国際機関は気候変動に対応する農業技術の研究支援や、輸出国と輸入国間の協力促進を図ることが求められています。これにより、オリーブの安定供給とその産業のさらなる発展が期待されます。