国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、1962年度のオリーブ生産量ランキングでは、1位がイタリア(1,741,000トン)、続いて2位がスペイン(1,641,000トン)、3位のギリシャは469,700トンとなっています。このランキングでは地中海沿岸諸国が上位を占めており、特にイタリアとスペインの2か国で世界全体の生産量の大半を占めています。一方でアメリカ合衆国(47,173トン)のように、地中海地域以外の国のランクインもあり、オリーブ栽培の拡がりつつある一面が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 1,741,000 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 1,641,000 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 469,700 |
| 4 |
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ヨーロッパ | 370,000 |
| 5 |
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アジア | 290,190 |
| 6 |
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アフリカ | 225,000 |
| 7 |
|
アフリカ | 145,000 |
| 8 |
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アフリカ | 143,000 |
| 9 |
|
アジア | 87,285 |
| 10 |
|
北アメリカ | 47,173 |
| 11 |
|
南アメリカ | 45,000 |
| 12 |
|
アフリカ | 36,700 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 27,000 |
| 14 |
|
南アメリカ | 20,000 |
| 15 |
|
アジア | 16,000 |
| 16 |
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南アメリカ | 15,272 |
| 17 |
|
アジア | 15,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 11,725 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 9,424 |
| 20 |
|
アジア | 8,000 |
| 21 |
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アジア | 7,354 |
| 22 |
|
アジア | 6,299 |
| 23 |
|
アジア | 4,800 |
| 24 |
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南アメリカ | 4,266 |
| 25 |
|
アジア | 1,864 |
| 26 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 27 |
|
アジア | 1,100 |
| 28 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 29 |
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オセアニア | 958 |
| 30 |
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南アメリカ | 575 |
| 31 |
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ヨーロッパ | 16 |
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1962年度のオリーブ生産量データを見ると、全体の特徴として地中海性気候がオリーブ栽培に適していることが鮮明に現れています。上位10か国のうち8か国が地中海沿岸に位置しており、気候条件が果樹の成長に理想的であることが裏付けられています。特に、1位のイタリアと2位のスペインは突出した生産量を誇り、両国の生産量の合計で3,382,000トンとなり、世界全体の生産量の半数以上を占めています。イタリアは各地で多品種のオリーブ栽培を行い、高品質なオリーブオイルの生産国としても知られています。一方、スペインは特に南部のアンダルシア地方が栽培の中心地で、大規模な集中生産が主流です。
また、興味深いのは、3位のギリシャがスペインと大きな差(約1,171,300トン)をつけられている点です。これは、ギリシャが中小規模の農園での家族経営を主としている一方で、生産効率の限界が見られる点が一因と考えられます。さらに、4位のポルトガルや5位のトルコが地中海地域の中でも重要な生産国となっていることが確認できます。6位以下では北アフリカ諸国(チュニジア、モロッコ、アルジェリアなど)が上位に食い込んでおり、この地域はオリーブ生産量の拡大が期待される成長市場と考えられます。
一方で、アメリカ合衆国(47,173トン)やアルゼンチン(45,000トン)など、地中海性気候以外に属する地域でもオリーブ栽培が広がっています。アメリカのカリフォルニア州は同国の主要な生産エリアであり、技術革新や機械化が進むことで今後の生産増加が見込まれます。ただし、これらの国々の生産量は地中海諸国に比べるとまだ少量であり、市場競争力は依然として限定的です。
このデータから考察される課題として、地域ごとの気候変動リスクが挙げられます。例えば、地中海沿岸地域は近年干ばつの影響を受けやすくなっており、将来的にオリーブの収穫量や品質に影響を及ぼす可能性があります。また、地域ごとの労働力不足や経済環境の違いも、生産拡大や品質向上のカギを握る重要な要素です。イタリアやスペインではEUの補助金が生産者を支える一方で、北アフリカや中東地域ではインフラの整備や技術導入が不十分な場合があり、生産効率を高める余地が残されています。
将来的には、気候条件の変化に対応した耐干ばつ性の高い品種の導入や栽培方法の改革が重要となるでしょう。さらに、地中海地域以外の国々が競争力を高めるには、生産プロセスの効率化や高付加価値製品(例:高品質オリーブオイル)の生産に注力するべきです。国連や地域機関による収穫技術や灌漑技術の普及支援も、農家への教育や投資として効果的だと考えられます。
最終的に、このランキングは各国のオリーブ産業の発展状況と課題を反映しています。生産規模が大きい国々はその地位を維持するための持続可能な生産戦略を立案すべきです。また、生産量が限られている国々は国際市場への参入を目指して、独自のブランド戦略や差別化を図る方向での発展が求められるでしょう。このような対策を講じることで、オリーブ生産は地球規模でより持続可能で安定した産業となる可能性があります。