世界のオリーブ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

国連食糧農業機関（FAO）の最新データによると、1972年度のオリーブ生産量ランキングでは、スペインが2,309,500トンで1位を獲得し、続いてイタリア（1,779,200トン）、ギリシャ（1,235,320トン）がそれぞれ2位と3位にランクインしました。これら3か国が世界のオリーブ生産量の上位を占め、特に地中海地域が世界のオリーブ産業の中心であることがデータから明らかになっています。一方で、アメリカ（21,954トン）や中国（910トン）のように生産量が比較的少ない国も見られ、各国の生産規模には大きな格差が存在しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	スペイン	ヨーロッパ	2,309,500
2	イタリア	ヨーロッパ	1,779,200
3	ギリシャ	ヨーロッパ	1,235,320
4	トルコ	アジア	1,019,000
5	ポルトガル	ヨーロッパ	406,029
6	チュニジア	アフリカ	358,000
7	モロッコ	アフリカ	195,000
8	アルジェリア	アフリカ	171,550
9	シリア・アラブ共和国	アジア	161,326
10	リビア	アフリカ	94,533
11	アルゼンチン	南アメリカ	59,034
12	アルバニア	ヨーロッパ	40,000
13	レバノン	アジア	39,603
14	ヨルダン	アジア	35,000
15	イスラエル	アジア	27,000
16	アメリカ合衆国	北アメリカ	21,954
17	キプロス	アジア	20,320
18	イラン（イスラム共和国）	アジア	13,500
19	メキシコ	南アメリカ	12,527
20	ペルー	南アメリカ	11,081
21	チリ	南アメリカ	11,000
22	イラク	アジア	10,000
23	エジプト	アフリカ	8,000
24	フランス	ヨーロッパ	6,680
25	オーストラリア	オセアニア	2,283
26	ウルグアイ	南アメリカ	2,150
27	エルサルバドル	南アメリカ	2,000
28	アフガニスタン	アジア	1,200
29	中国、台湾中国省	アジア	910
30	ブラジル	南アメリカ	832
31	マルタ	ヨーロッパ	8
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1972年当時のオリーブ生産量データによると、全体の生産量において地中海沿岸諸国が圧倒的な割合を占めています。特にスペイン、イタリア、ギリシャの3か国は、合計でおおよそ5,324,020トンを生産しており、これは全体における主要なシェアといえます。これらの国々は気候条件がオリーブ栽培に適しているため、歴史的にもオリーブ生産を中心とした農業経済が発展してきた背景があります。一方で、チュニジア（358,000トン）やモロッコ（195,000トン）のような地中海地域の南部諸国でも生産は盛んですが、スペインなどと比較するとまだ規模は小さい状況です。

ランキング上位にある国々は、長年にわたる農業技術の蓄積や広範な栽培エリア、そしてオリーブオイルなどの加工産業との相乗効果によって生産力を増強させています。しかし、気候変動の脅威や地中海地域における水不足、特定品種への依存など、将来的な生産に影響を及ぼす課題も存在しています。特にギリシャやトルコのような国々では、急速な都市化や農業用地の縮小も懸念されています。

一方で、ランキング下位に位置する国々、例えばアメリカやオーストラリアはオリーブ産業の新興勢力といえます。これらの国々では、オリーブ作物そのものは気候にも依りますが、主に輸出目的の高品質なオリーブオイル生産に投資する傾向が強まっています。アジア太平洋地域、特に中国や台湾、中国省（910トン）は1972年当時では限られた生産規模に留まっていますが、近年ではマーケットの拡大や栽培技術の導入によって急速な成長を遂げている地域とされています。

今後の課題として、気候変動への適応と持続可能な農業への移行が不可欠です。水の利用効率の向上や干ばつに耐性のある品種の導入は、特に地中海諸国にとって重要です。また、より正確な需要予測や生産地間での分業体制の構築も有効でしょう。地中海沿岸諸国は歴史的に協力関係を築いてきた例がありますが、さらに連携を深め、気候変動によるリスクを共有する枠組みを整えることが長期的に有益といえます。

地政学的なリスクとしては、特に中東地域のシリアやイスラエルのように、オリーブ栽培地が地域紛争の影響を受けている国があります。これらの国では、生産性や輸出の安定化が阻害される可能性が高く、国際的な支援や地域の平和構築が求められます。

地中海地域のオリーブ産業は、歴史的な背景や地理的条件、そして国際市場への供給という役割から、農業経済と食品生産の両面で重要な役割を果たしています。この産業を安定的・持続的に発展させるためには、国だけでなく国際機関が資金援助や技術協力を進めるべきです。そして、地域間の緊張緩和や災害リスク軽減対策も並行して進める必要があります。

結論として、1972年度から見られる主要な傾向や課題は、現在においても多くが続いており、持続可能な生産システムの確立と国際協力がオリーブ産業の未来を保証する鍵となっています。