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エジプトのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エジプトのオレンジ生産量は年々増加傾向を示しており、2022年には約3,392,819トンに達しました。特に近年では、過去数十年の中でも大幅な成長を記録しており、エジプトは世界の主要なオレンジ生産国の1つとして重要な地位を築いています。一方で、一部の年では生産量が減少する波もあり、技術的・環境的な課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,700,000
9.05% ↑
2022年 3,392,819
6.91% ↑
2021年 3,173,430
-19.99% ↓
2020年 3,966,200
29.29% ↑
2019年 3,067,630
-0.59% ↓
2018年 3,085,986
-1.96% ↓
2017年 3,147,545
7.09% ↑
2016年 2,939,084
-12.3% ↓
2015年 3,351,307
6.87% ↑
2014年 3,135,931
9.84% ↑
2013年 2,855,022
2.46% ↑
2012年 2,786,397
8.1% ↑
2011年 2,577,720
7.36% ↑
2010年 2,401,015
1.21% ↑
2009年 2,372,257
10.93% ↑
2008年 2,138,425
4.08% ↑
2007年 2,054,626
-3.09% ↓
2006年 2,120,050
9.26% ↑
2005年 1,940,420
4.89% ↑
2004年 1,850,025
4.66% ↑
2003年 1,767,710
-2.26% ↓
2002年 1,808,579
6.62% ↑
2001年 1,696,290
5.33% ↑
2000年 1,610,520
-1.59% ↓
1999年 1,636,600
13.52% ↑
1998年 1,441,652
-5.29% ↓
1997年 1,522,098
-5.65% ↓
1996年 1,613,256
3.74% ↑
1995年 1,555,024
2.77% ↑
1994年 1,513,050
14.26% ↑
1993年 1,324,170
-25.25% ↓
1992年 1,771,457
9.06% ↑
1991年 1,624,238
3.17% ↑
1990年 1,574,287
12.61% ↑
1989年 1,398,000
16.6% ↑
1988年 1,199,000
-13.55% ↓
1987年 1,387,000
12.4% ↑
1986年 1,234,000
5.65% ↑
1985年 1,168,000
-1.18% ↓
1984年 1,182,000
-4.92% ↓
1983年 1,243,168
3.51% ↑
1982年 1,201,000
34.12% ↑
1981年 895,435
-2.76% ↓
1980年 920,881
-12.35% ↓
1979年 1,050,587
24.62% ↑
1978年 843,000
25.63% ↑
1977年 671,000
-14.14% ↓
1976年 781,503
-8.7% ↓
1975年 856,000
4.52% ↑
1974年 819,000
6.78% ↑
1973年 767,000
12.3% ↑
1972年 683,000
-3.42% ↓
1971年 707,202
24.73% ↑
1970年 567,000
-9.57% ↓
1969年 627,000
26.67% ↑
1968年 495,000
-6.95% ↓
1967年 532,000
9.07% ↑
1966年 487,760
43.46% ↑
1965年 340,000
3.34% ↑
1964年 329,000
-2.37% ↓
1963年 337,000
20.36% ↑
1962年 280,000
78.34% ↑
1961年 157,000 -

エジプトのオレンジ生産に関するデータを見てみると、1961年の157,000トンから2022年の3,392,819トンへと大きな伸びを遂げていることがわかります。この成長は、エジプトの農業における技術革新、灌漑システムの改善、そして果実の輸出産業の発展に支えられています。オレンジはエジプトにとって重要な輸出品の1つであり、特にヨーロッパ、アジア、中東諸国などの市場で高い需要を誇ります。

データの詳細を見ると、1960年代から1970年代にかけて生産量は着実に増加しているものの、年によっては減少も見られます。特に1968年や1977年には生産量が減少しています。この不安定な動きの背景には、当時の農業技術の限界や水資源利用の制約が関連している可能性があります。この時期にエジプトでは政治的・経済的な変化もあり、これが農業政策に影響を及ぼしていたと考えられます。

1980年代以降、エジプトは農業技術の近代化を加速させることで、大幅な生産量の向上を実現しました。特に1990年代以降は安定した増加傾向を示しており、2000年には生産量が1,600,000トンを超えています。この頃には灌漑技術や病害虫対策が強化され、品質管理の精度も向上したことで、輸出市場での競争力がさらに高まりました。

近年では、2014年以降3,000,000トンを超える生産量を維持し、2020年には特に高い水準である約3,966,200トンを記録しました。しかし2020年は新型コロナウイルスの影響で世界的な物流が混乱し、その後の年では生産量がわずかに減少しています。この影響は、輸出先市場における供給チェーンの混乱だけでなく、農作業の流れや労働力不足にも関連している可能性があります。

エジプトは地中海性気候を活用した農業生産の強みを持つ一方で、将来に向けた課題も見過ごすことはできません。例えば、気候変動による気温上昇や降水量の変化がもたらす農地の乾燥化、さらにはナイル川をめぐる水の確保問題が挙げられます。オレンジ生産は特に水の依存度が高いため、リソースマネジメントは急務といえます。また、地政学的リスクとしてエチオピアのグランド・ルネサンス・ダム(GERD)の建設に伴い、ナイル川の流量に関する議論が続いており、これはエジプトの農業全体に影響を与える恐れがあります。

これらの背景を踏まえ、エジプトが今後もオレンジ生産で国際市場における優位性を維持するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、省水型農業技術やスマート灌漑システムの導入をさらに促進することで、水資源の効率的な活用が求められます。加えて、気候変動に対応した農業政策の見直しや、耐性の高いオレンジ品種の研究開発も重要です。例えば、新たな品種は温暖化に対応しつつ、高い収量を確保することが期待されています。

また、エジプト政府と輸出パートナー国との協力を深化させることで、物流の円滑化や輸出市場の拡大にも貢献できます。特にデジタル技術を活用した国際的な取引プラットフォームの構築は、エジプトのオレンジをより多くの市場に迅速に届ける手段として有効でしょう。

結論として、エジプトのオレンジ生産は過去数十年間で顕著な成長を遂げ、それに伴い国際市場での地位を確立しています。しかし、今後の持続可能な成長には、水資源管理、気候変動対応、物流インフラの向上など、多岐にわたる課題に取り組む必要があります。これにより、エジプトは世界の主要なオレンジ供給国としてのポジションをさらに強化することができるでしょう。