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エジプトのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、エジプトのレモン・ライム生産量は1961年の40,000トンから着実に増加し、1990年代には大きく成長しました。1990年に407,723トンと初めて40万トンを超え、その後2002年~2023年の間は30万~38万トンの範囲で推移しています。直近の2023年には359,452トンを記録しており、安定した生産が続いていることがわかります。しかし、中長期的な生産の変動や近年の停滞気味の推移には、気象条件や農業政策、地政学的な影響が関連しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 359,452
0.51% ↑
2022年 357,621
-2.98% ↓
2021年 368,595
-2.01% ↓
2020年 376,150
19.97% ↑
2019年 313,540
-11.59% ↓
2018年 354,625
-2.99% ↓
2017年 365,545
5% ↑
2016年 348,126
-1.25% ↓
2015年 352,522
16.05% ↑
2014年 303,774
0.43% ↑
2013年 302,471
-0.42% ↓
2012年 303,752
2.35% ↑
2011年 296,773
-6.71% ↓
2010年 318,111
2.68% ↑
2009年 309,795
-6.05% ↓
2008年 329,741
1.61% ↑
2007年 324,509
2.69% ↑
2006年 316,011
-6.51% ↓
2005年 338,000
-0.04% ↓
2004年 338,127
2.02% ↑
2003年 331,440
1.48% ↑
2002年 326,592
10.24% ↑
2001年 296,267
7.94% ↑
2000年 274,484
-1.49% ↓
1999年 278,637
10.34% ↑
1998年 252,525
-4.26% ↓
1997年 263,770
-15.57% ↓
1996年 312,407
1.58% ↑
1995年 307,547
3.85% ↑
1994年 296,149
-7.9% ↓
1993年 321,539
4.1% ↑
1992年 308,871
-24.79% ↓
1991年 410,673
0.72% ↑
1990年 407,723
70.6% ↑
1989年 239,000
0.51% ↑
1988年 237,796
13.78% ↑
1987年 209,000
0.97% ↑
1986年 207,000
72.5% ↑
1985年 120,000
2.56% ↑
1984年 117,000
-41.79% ↓
1983年 201,000
17.54% ↑
1982年 171,000
181.31% ↑
1981年 60,788
-17.7% ↓
1980年 73,861
11.89% ↑
1979年 66,012
8.03% ↑
1978年 61,104
22.12% ↑
1977年 50,037
3.14% ↑
1976年 48,514
-17.77% ↓
1975年 59,000
-19.18% ↓
1974年 73,000
-10.98% ↓
1973年 82,000
10.81% ↑
1972年 74,000
-9.76% ↓
1971年 82,000
-1.2% ↓
1970年 83,000
13.7% ↑
1969年 73,000
12.31% ↑
1968年 65,000
-25.29% ↓
1967年 87,000
29.85% ↑
1966年 67,000
-19.28% ↓
1965年 83,000
-5.68% ↓
1964年 88,000
76% ↑
1963年 50,000
-13.79% ↓
1962年 58,000
45% ↑
1961年 40,000 -

エジプトは地中海性気候を生かし、レモン・ライムの重要な生産・輸出国として知られています。1960年代のデータを見ると、生産量は約4万トンから約10万トンの範囲で変動しており、1964年には一時的に88,000トンに達しましたが、その後は安定しない動きが見られました。この時期、農業従事者やインフラ整備の遅れが、生産拡大を妨げる要因の一つであったと考えられます。

1980年代には、農業技術の向上や灌漑システムの整備が進み、生産量が急激に増加しました。特に1982年以降、10万トンを大幅に超える増加が顕著であり、1990年には407,723トンと、この時点で過去最高の生産量を記録しました。この大幅な成長は、国際市場への輸出拡大や国内消費拡大への取り組みが奏功した結果と考えられます。

しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、生産量の成長はやや減速し、30万~40万トンの範囲での変動が見られるようになりました。この要因の一つには、地政学的な不安定性が挙げられます。この時期、エジプトを含む中東地域では国際的な緊張が高まり、輸出先との貿易関係や国内の農業政策にも影響を与えました。また、気候変動が農作物全般に影響を及ぼした可能性もあります。

直近の2020年代においても、生産量は30万トン台後半で推移していますが、2020年の376,150トンをピークに全体的にはやや減少気味となっています。2023年には359,452トンと前年度をわずかに上回りましたが、再び40万トンを超える水準には達していません。これには、気候変動による高温や干ばつ、さらには農業技術の普及が停滞している現状など、複合的な要因が絡んでいると考えられます。

こうした現状を踏まえ、今後の課題として、まず農業インフラの更なる近代化が挙げられます。エジプトの農業は、ナイル川の水資源に強く依存しているため、より効率的な灌漑技術の導入が必要です。また、気候変動への適応を目指した作物改良や収穫技術の進化も重要です。さらに、国際市場における競争力を高めるために、有機農法やサステナビリティを意識した農業経営へと転換を図ることが一つの方向性となるでしょう。

加えて、世界的な需要拡大のポテンシャルも見落とせません。レモン・ライムはビタミンCの豊富な供給源として注目されており、特に健康志向が高まる中でその需要は増加すると予測されます。エジプトはこの機会を活用して輸出先を多様化するとともに、国内市場の需要を掘り起こす努力を進めるべきです。そのためには、政府と農業従事者、輸出業者の協力体制を強化する必要があります。

結論として、エジプトのレモン・ライム生産量は、長期的には着実に成長を遂げたものの、近年の停滞や気候リスクへの対策が急務となっています。今後、農業技術の近代化や輸出戦略の多角化、環境リスクへの対応を進めることで、この重要な農産物の持続的な生産と供給を確保できるでしょう。また、国際機関や他の生産国との連携を強化することも、競争力向上のための有効な手段となりえます。

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