Skip to main content

エジプトのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公開したデータによると、エジプトのサツマイモ生産量は長期的に増加傾向にあります。2022年には508,314トンに達し、1961年の87,544トンから約5.8倍に拡大しました。特に2000年以降、急速な生産増加が見られ、その理由として、農業技術の進展や輸出需要の増加が挙げられます。一方で、近年一部の年に生産量の減少も観察され、気候変動や地域的な課題が影響している可能性が示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 423,423
-16.7% ↓
2022年 508,314
3.49% ↑
2021年 491,182
-7.55% ↓
2020年 531,285
18.86% ↑
2019年 447,000
-10.02% ↓
2018年 496,753
39.81% ↑
2017年 355,298
-21.83% ↓
2016年 454,493
11.32% ↑
2015年 408,280
20.42% ↑
2014年 339,049
-9.69% ↓
2013年 375,444
17.6% ↑
2012年 319,247
16.12% ↑
2011年 274,935
-25.87% ↓
2010年 370,905
3.82% ↑
2009年 357,266
37.95% ↑
2008年 258,983
-28.76% ↓
2007年 363,560
3.41% ↑
2006年 351,577
0.45% ↑
2005年 350,000
29.34% ↑
2004年 270,611
-12.02% ↓
2003年 307,595
32.34% ↑
2002年 232,433
-26.14% ↓
2001年 314,707
26.11% ↑
2000年 249,548
-1.39% ↓
1999年 253,053
12.19% ↑
1998年 225,560
18.51% ↑
1997年 190,323
28.92% ↑
1996年 147,629
-10.54% ↓
1995年 165,016
8.38% ↑
1994年 152,262
6.53% ↑
1993年 142,929
59.14% ↑
1992年 89,815
-29.57% ↓
1991年 127,520
24.66% ↑
1990年 102,295
86.91% ↑
1989年 54,731
-52.82% ↓
1988年 116,000
84.13% ↑
1987年 63,000
-43.24% ↓
1986年 111,000
-15.91% ↓
1985年 132,000
37.5% ↑
1984年 96,000
15.66% ↑
1983年 83,000
-33.59% ↓
1982年 124,984
45.41% ↑
1981年 85,952
-0.34% ↓
1980年 86,243
-16.77% ↓
1979年 103,615
63.66% ↑
1978年 63,310
-7.56% ↓
1977年 68,488
-0.74% ↓
1976年 69,000
-8% ↓
1975年 75,000
25% ↑
1974年 60,000 -
1973年 60,000
-30.23% ↓
1972年 86,000
2.38% ↑
1971年 84,000
-1.18% ↓
1970年 85,000
-6.12% ↓
1969年 90,545
16.08% ↑
1968年 78,000
14.6% ↑
1967年 68,060
-18.05% ↓
1966年 83,050
-3.12% ↓
1965年 85,729
-2.7% ↓
1964年 88,107
6.9% ↑
1963年 82,422
6.46% ↑
1962年 77,423
-11.56% ↓
1961年 87,544 -

エジプトにおけるサツマイモ生産量の推移を見ると、1961年から1970年代後半までは生産量がおおむね安定していましたが、1979年以降、大きな変動を見せながら成長が進んでいます。その後、1990年代半ばから2000年代初頭にかけては、持続的な増加が顕著となり、2010年代後半から2020年代にかけてさらに加速しました。例えば、2018年には496,753トン、2020年には531,285トンを記録し、いずれも大幅な増加を示しています。

この生産量の大幅な増加の背景には、複数の要因が考えられます。まず、エジプト政府の農業政策による支援が挙げられます。サツマイモはエジプトの温暖な気候と広大な農地に適した作物であり、生産効率向上のための技術革新や灌漑設備の導入が進められています。また、グローバル市場における健康志向の高まりに伴い、輸出需要が増えたことも重要な要因です。エジプト産のサツマイモはその品質と価格競争力が評価され、ヨーロッパやアラブ諸国などへの輸出が拡大しました。

しかし、課題も存在します。近年、気候変動の影響による不規則な天候や高温、干ばつなどが一部の年の生産量に影響を与えています。例えば、2017年や2019年のように、減少傾向が見られる年もあります。また、地域競争や市場の不確実性もエジプトのサツマイモ産業が直面する問題です。さらに、国内外ともに労働力不足や生産コストの増加が課題です。

地政学的背景も無視できません。2011年以降のアラブの春やそれに続く地域の政治的不安定は、一時的に農業全体の効率を低下させる要因となりました。特に輸出用インフラや川沿いの農業用水管理への影響が懸念されましたが、近年はこれを克服し、安定した成長を取り戻しています。

未来への提言としては、まずこうした気候変動リスクに適応する農業技術のさらなる普及が必要です。例えば、干ばつ耐性品種を開発し、温室効果ガスの削減につながる持続可能な農業手法を導入することが考えられます。また、地域間協力を通じて、輸出市場の多様化や効率的な貿易ルートの確保を目指すべきです。さらに、国内市場の需要拡大を進めることも、農家の安定収入確保の鍵となります。たとえば、加工食品向けの付加価値製品を開発し、国内消費を促進する施策が有効でしょう。

結論として、エジプトのサツマイモ生産量は著しい成長を遂げていますが、今後も持続可能な農業手法、輸出市場の多様化、気候変動への適応策を採用することが重要です。国際機関や隣国との協力を強化することで、エジプトの農業全体の競争力を一層高めることが期待されます。