Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2000年度のオリーブ生産量ランキングによると、世界最大の生産国はスペインで4,943,800トン、生産量の大部分を占めています。イタリア(2,821,000トン)とギリシャ(2,501,916トン)が続き、これらの国々は世界のオリーブ生産をけん引している中心的な存在です。一方、アジアやアメリカ地域での生産は相対的に少なく、アフリカ北部や地中海沿岸諸国がこの分野で重要な役割を果たしていることが明らかです。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 4,943,800 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 2,821,000 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 2,501,916 |
| 4 |
|
アジア | 1,800,000 |
| 5 |
|
アジア | 866,052 |
| 6 |
|
アフリカ | 550,000 |
| 7 |
|
アフリカ | 400,000 |
| 8 |
|
アフリカ | 281,745 |
| 9 |
|
アフリカ | 217,112 |
| 10 |
|
アジア | 189,500 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 174,418 |
| 12 |
|
アフリカ | 165,000 |
| 13 |
|
アジア | 156,493 |
| 14 |
|
アジア | 134,285 |
| 15 |
|
南アメリカ | 110,000 |
| 16 |
|
北アメリカ | 72,570 |
| 17 |
|
アジア | 56,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 36,200 |
| 19 |
|
アジア | 34,649 |
| 20 |
|
南アメリカ | 30,023 |
| 21 |
|
アジア | 21,000 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 16,542 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 16,215 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 15,200 |
| 25 |
|
南アメリカ | 11,500 |
| 26 |
|
南アメリカ | 9,288 |
| 27 |
|
アジア | 6,000 |
| 28 |
|
南アメリカ | 5,425 |
| 29 |
|
南アメリカ | 3,200 |
| 30 |
|
アジア | 2,604 |
| 31 |
|
オセアニア | 1,397 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 1,150 |
| 33 |
|
アジア | 1,100 |
| 34 |
|
アジア | 952 |
| 35 |
|
アジア | 108 |
| 36 |
|
南アメリカ | 4 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 3 |
| 38 |
|
アジア | 1 |
| + すべての国を見る | |||
2000年度のオリーブ生産量ランキングに基づくと、地中海気候の特性を生かした地中海沿岸諸国が圧倒的に強い競争力を発揮しています。スペインが約4,940,000トンを生産し、総生産量の約35%を占めて独走的な地位を確立しています。これは国内の広大な農地と、長年の栽培技術の蓄積が貢献していると考えられます。また、イタリアとギリシャを加えた上位3か国だけで世界全体の約60%以上を占め、この地域の気候条件と長い歴史に裏付けられた文化的背景が、オリーブ生産における競争優位性を支えていることが分かります。
一方で、4位のトルコ(1,800,000トン)やシリア・アラブ共和国(866,052トン)、チュニジア(550,000トン)などの中東や北アフリカの国々も重要な貢献を示しています。この地域では、地中海性の気候がオリーブ栽培に適しており、特にチュニジアなどでは貿易の主要商品としてオリーブオイルが国の経済に大きく寄与しています。一方で、長期的な政情不安や水資源不足が生産に悪影響を及ぼす可能性も懸念されています。
アジア、中南米、北米など、それ以外の地域での生産量は著しく低いことがデータから明らかです。たとえば、アメリカ合衆国の生産量は72,570トンと上位諸国に比べてわずかです。これは、気候条件の制約に加え、国内消費の多くが輸入に依存していることによります。さらに、アジア地域では、中国や日本での生産規模が非常に小さく(中国台湾ですら2,604トン)、オリーブが特定地域の作物であることを反映しています。
このデータから浮き彫りになるのは、オリーブ生産地が非常に地域的に偏在しているという事実です。地中海沿岸を中心に集中しており、気候条件や技術的インフラの整備の差が背景にあると考えられます。この構図の中で、日本を含む気候が適さない国々にとっては、地中海地域からの輸入に大きく依存せざるを得ない現状があります。
未来の課題としては、地中海沿岸諸国での気候変動リスクが挙げられます。地中海地域は近年気温の上昇や降水量の減少に直面しており、これがオリーブの栽培に悪影響を与えるとされます。さらに、政情不安定な地域においては生産の安定性を確保する取り組みが重要になってきます。たとえば、シリアやリビアでは国内の紛争が農業全体に深刻な打撃を与えています。そのため、農業技術の国際的な共有や、生産過程の効率化、さらには水資源管理の面での国際協力が求められます。
他方で、アメリカや中南米、オセアニアといった地域での新たな生産国の台頭は、この分野での課題を一部緩和する可能性を秘めています。気候適応型の品種改良といった研究や、持続可能な長期的栽培モデルの導入を進めることで、潜在的な生産地の広がりが期待されます。これにより、中東や地中海地域に偏りがちな供給ネットワークを多角化し、安定的な生産と世界的な需要のバランスを取ることが可能となるでしょう。
結論として、オリーブ生産における地中海地域の主導的な役割を認識しつつ、気候変動や地政学的リスクを軽減するための具体的な対策が求められます。国際機関や政府間協力により、栽培技術の普及と地球規模の資源管理を強化し、持続可能な生産体制を確立する必要があります。また、オリーブを産業資源として活用する新興国への支援を強化することが長期的には世界全体の農業安定性にも寄与すると考えられます。