Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2011年度のオリーブ生産量ランキングによると、1位はスペイン(7,820,060トン)、2位はイタリア(3,182,204トン)、3位はギリシャ(2,491,026トン)で、これら3か国が他を圧倒する生産量を誇っています。中東や北アフリカ地域でも重要な農産物としての地位を占めており、トルコ、モロッコ、シリア・アラブ共和国といった国々が続いています。一方で、アメリカやオーストラリアのような非伝統的な生産国もランキングに登場しており、世界各地でのオリーブ生産の多様化が見てとれます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 7,820,060 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 3,182,204 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 2,491,026 |
| 4 |
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アジア | 1,750,000 |
| 5 |
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アフリカ | 1,415,902 |
| 6 |
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アジア | 1,095,043 |
| 7 |
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アフリカ | 610,776 |
| 8 |
|
アフリカ | 562,000 |
| 9 |
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ヨーロッパ | 519,780 |
| 10 |
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アフリカ | 459,650 |
| 11 |
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南アメリカ | 248,261 |
| 12 |
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アフリカ | 187,310 |
| 13 |
|
アジア | 131,847 |
| 14 |
|
アジア | 102,980 |
| 15 |
|
オセアニア | 91,067 |
| 16 |
|
アジア | 88,000 |
| 17 |
|
アジア | 75,530 |
| 18 |
|
南アメリカ | 73,855 |
| 19 |
|
南アメリカ | 73,092 |
| 20 |
|
アジア | 66,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 65,400 |
| 22 |
|
北アメリカ | 64,592 |
| 23 |
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ヨーロッパ | 31,423 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 23,320 |
| 25 |
|
アジア | 17,421 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 12,000 |
| 27 |
|
アジア | 10,650 |
| 28 |
|
南アメリカ | 9,476 |
| 29 |
|
南アメリカ | 6,969 |
| 30 |
|
アジア | 6,600 |
| 31 |
|
南アメリカ | 5,411 |
| 32 |
|
アジア | 2,614 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 1,704 |
| 34 |
|
アジア | 1,659 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 321 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 153 |
| 37 |
|
アジア | 137 |
| 38 |
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アジア | 111 |
| 39 |
|
南アメリカ | 77 |
| 40 |
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ヨーロッパ | 25 |
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2011年度のオリーブ生産量ランキングのデータは、地中海地域がオリーブ生産の中心であり続けていることを示しています。スペインは他国を大きく引き離してトップに君臨しており、全体の約36%を占める圧倒的な生産量を誇ります。オリーブはスペイン経済や農業にとって極めて重要な作物であり、特にアンダルシア地方を中心に集約的に生産されています。続くイタリアとギリシャもそれぞれ約15%と12%のシェアを占め、これら3か国で世界総生産量の約63%を担っています。
トルコ(1,750,000トン)やモロッコ(1,415,902トン)は、地理的条件に恵まれた地中海沿岸を活かして順調な成長を遂げています。特にモロッコは欧州諸国への輸出を積極的に展開しており、オリーブ油の国際市場での地位向上にも注力しています。一方、シリア・アラブ共和国(1,095,043トン)やチュニジア(562,000トン)は、長期間にわたる国内の紛争や政治的不安定さが生産に影響を与えている可能性があります。それにもかかわらず両国は地中海地域の主要生産国としての地位を維持しています。
一方、ヨーロッパ以外の地域では中南米やオセアニア諸国が注目されています。アルゼンチン(248,261トン)やチリ(73,855トン)は、地中海性気候の特性を活かしながら、新興のオリーブ生産地として成長を続けています。また、オーストラリア(91,067トン)は技術革新や機械化の導入により、今後増産が期待されています。アメリカ合衆国(64,592トン)は主にカリフォルニアでの生産に依存していますが、まだ国内需要を完全に満たすことには至っていません。
これらのデータから浮かび上がる課題としては、まず気候変動が挙げられます。オリーブは気候の変化に敏感な作物であり、降水量や気温の変動が生産量に直結するため、特に温暖化や異常気象の影響が懸念されています。また、地政学的なリスクも深刻です。例えば、シリアのように内戦によるインフラの破壊や労働力不足が生産に悪影響を及ぼしています。さらに、生産量だけでなく品質をどのように保つかも重要な課題です。特に新興市場では、生産拡大とともに高品質なオリーブやオリーブ油の安定供給の確保が鍵となるでしょう。
こうした課題に対し、国際社会や各国政府が取るべき対策にはいくつかのポイントがあります。まず、気候変動への適応策として、オリーブ品種の改良や灌漑技術の開発の推進が挙げられます。また、紛争地域では、安定した農業活動を支えるためのインフラ整備や労働環境の復旧が求められます。さらに、オリーブは輸出製品としてのポテンシャルが非常に高いことから、生産国間の国際協力により市場の安定化や需要の拡大を目指すべきです。特に地中海沿岸諸国は、持続可能な農業を推進しつつ、観光産業との連携を図る戦略も考えられます。
2011年度のデータを見る限り、オリーブ生産は依然として地中海地域に集中していますが、その枠を超えた広がりも顕著です。今後、気候変動や地政学的リスクへの適応が進めば、これまで以上にオリーブ産業の持続可能な発展が期待できるでしょう。それと同時に、品質の向上や消費国の需要との調和も重要な課題として浮上することが予測されます。これらを克服することで、オリーブ生産はさらなる経済的価値を生み出し、国際的に重要な資源となり続けるでしょう。